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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第二章 ゲーム本編――始動
70/185

尊いもの

Side Juli


どうしてどうしてどうしてどうして!!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!!



体中がバラバラになるような痛み。実際にバラバラになりかけているのだが……。あのクソ女の所為じゃないのが悔しい。


まさか、グレースがアタシごとあの女を攻撃するとは思わなかった。


だって、どんなに喧嘩したって仲間だし。


いつもグレースを諫めていたヌフィストも、にこにこしているが、何も言わない。


どうして。



……………………。


そう言えば、いつもヌフィストはなんだかんだ仲裁するふりをしてグレースを庇っていた気がする。アルテオが何か言っても、そうだった。


ヌフィストがグレースのことが好きとか、そう言うんじゃなくて、ただ単純に私たちを仲間として見ていない……。そんな感じだった。


他より強い駒。そんな扱いだったのだ。



だから、アタシたちが犠牲になることでステラを占領できるなら、喜んで殺すだろう。

こうなったのは、アタシがクソ女の挑発にまんまと乗って、それでいて倒せなかったから。


許さない。



だからって、後ろから攻撃することなくない?魔術師が剣士並みに接近こなせるとかズルっしょ。

ずっとローブ着込んでさ、いかにも魔術師ですって。それで接近戦とか余裕?そんなのわかる訳ないっしょ。


タールに殺されそうになって、内心歓喜したけど颯爽と仲間が現れて救われちゃってさ。

その後二人でイチャイチャ?ふざけんじゃないわよ。


殺してやる。殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる……。


許さない。



何とか起き上がって、クソ女を殺そうともがいていると、視線を感じた。目だけを動かして周囲を探るが、視線の主は分からない。なんだか嫌な予感がする。全てを見透かされているような……。そんな感じに心なしか身震いをした。


また視線を感じる。クソ女とそいつを救った鬼がアタシを見ていた。タールと戦ってたんじゃないの!?そいつらの視線に殺気がこもっていることに気づき、震えあがる。



「タール!助けてよ!アタシを救って!!」

「なんでだ?」

「え?」

「自分の心配は自分でしろよ。ステラがいまだに攻略出来ねェのはお前が実力不足の癖に先走るからだろ。お前の代わりはいくらでもいンだよ」

あっさりタールに見捨てられ、目の前が真っ暗になる。なかなか動けないうちに目の前に鬼が立った。


「やめて!殺さないで!!」

「は?アンタはそれを聞き入れたことあンのか?」

「……え?」

「それでも、ノア兄が殺せ、と言ったンだ。悪いが、アンタの命乞いは聞き入れることはできねェよ」

「なっ……!」

許さない。許さない許さない許さない許さない。


鬼がどこからか、身長より大きい剣を取り出し大きく振りかぶる。


「じゃあな。あの世で、今までのことを悔いろ」

「や、やめ……!」

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない。

許さない許さない許さない許さない許さな…………。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



Side Lars


無感情に今自分が殺した女を見下ろす。本当に殺せたのか、じっと見て観察したが、全く動こうとしない。


「ふーん。彼岸の力は本物か」

「疑ってたのか?」

「その角がただの飾りかもしんねェだろ?」

「ンな訳あるか」

こいつはミリア(半身)を殺そうとした。憎い相手なので、自然と目が据わる。


それに――仲間を簡単に見捨てるヤツは嫌いだ。



「でもまあ、俺の脅威にはなりえねェけどな」

「ハハッ、そうかよ。一生油断しとけ」

赤髪の大男と睨み合いが発生した。俺に態度が気に入ったのか、ニヤリと笑い、唐突に名乗った。


「俺の名はバンヴァタール。まあ覚えとけ」

「……俺の名はラース。名乗られたからな、名乗り返さないのは失礼だ。――だが、仲間を平気で見捨てるようなヤツに覚えられたくねェけどな」

「仲間?ハッ、ソイツは駒だよ、駒。いくらでも替えが利く。最近は調子乗ってグレースに突っかかってきてたからな。正直邪魔に思ってたンだ」

まるで、なんとも思ってないような言い方だ。いや、実際なんとも思ってないのだろう。俺は、そんな物言いに強い不快感に襲われた。

そう感じたのは、俺だけじゃなかったようだった。


「あんたね!命は尊いものなのよ!?どんな悪人でも!それに、仮にも味方でしょうが!!」

ミリアは戦争が終結する度に、死者に祈りを捧げている。

自分の手で奪った命だ。そうするのはただの自己満足かもしれない。それはミリアも自覚している。だが、それでもミリアは死者へ祈りを捧げるのをやめない。……本当に優しい女だ。


「命が尊い?そんな世迷言言ってる場合かよ。使えないヤツをそのままのさばらせても邪魔なだけだろ?選定してるンだよ、選定をな」

「あんたにどんな権限があってそんなことしてんのよ!」

「は?普通だろ?組織に必要か不必要か。それを選定することの何が悪い?」

「悪いわよ!」

『ミリアちゃん。君の考えは美徳だけど今は優先順位を考えて』

ミリアは怒り冷めやらぬ様子だが、ノア兄が酷く冷たい口調でそう言った。……いや、ノア兄は冷静にそう言っているだけだ。それが、冷たく感じたのは俺の主観だ。


『……………………………わかった』

『うん、ありがとう』

ミリアはひどく葛藤したに違いない。俺は、そんなミリアの葛藤を無駄にしないように足を踏み出した。

ラースとタールって似てるよな……。口調が似てるのは、ラースはただ言語が少し不自由なだけで、タールはチャラい所があるだけで、偶然なんだけれども。


リズは某文豪アニメのドS女医の口調をイメージ。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



それと今更ではありますが……。


特別実験体―AM―OD―01(オーワン)   暗殺者 ”鮮血の死神”    アイン

特別実験体―AM―OD―02(オーツー)   狙撃手 ”百発百中”     ゼスト

特別実験体―AM―OD―03(オースリー)   賢者  ”全色(ぜんしき)の魔術姫”   ミリア

特別実験体―AM―OD―04(オーフォー)   聖女  ”不死の聖女”    ララ

特別実験体―AM―OD―05(オーファイブ)  狂戦士 ”終焉の狂戦士(バーサーカー)”   ラース

特別実験体―AM―OD―06(オーシックス)  司令官 ”絶対零度の司令官” ノア

特別実験体―AM―OD―07(オーセブン)   重戦士 ”扇薙(せんてい)の大剣”    エリック

特別実験体―AM―OD―08(オーエイト)   盾職  ”不動の堅壁”    オットー

特別実験体―AM―OD―09(オーナイン)   鍛冶師 ”世界最高の鍛冶師” リズ

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