表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第二章 ゲーム本編――始動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/282

規格外同士の戦い

Side Noah


決定打が足りないな……。僕の魔法は、リズちゃんが『付与(エンチャント)魔法(・マジック)』をかけてくれるから、何とか敵に通じているみたいだが、リズちゃんは異能力を覚醒させていないから、目に見えた効果はない。


ただ、そこは九星。力のごり押しも可能だ。まあ、それでも完全に無傷なのが三人いるが。



『これ、もしかして効いてる!?』

『んー何で効いてるんだろうね……?あれで効くの、ちょっと強いウィキッドくらいなんだけど』

『異能力を使ったら、とりあえず攻撃が通るし、その攻撃が強力過ぎるからじゃないか?タールと呼ばれた男は、何度も同じところに鉛玉ぶち込んでるが、傷一つない。だが、あの紫男は血が流れてるぞ』

『なんでもいいんだよ、攻撃がとおりゃあねェ!ほら、さっさと倒すよ!』

『そうだな。何でもいいだろ』

『でもエリックは、全く傷を与えれていないようだけどねェ?』

『あ"あ"!?』

『喧嘩しない、喧嘩しない』



……本当に、元気だなあ……。


未知の敵に相変わらずな九星に、僕は思わず笑みがこぼれる。敵には、僕たちの会話は聞こえていないため、突然笑った僕に警戒していた。


「お、お前!何を笑っている!?」

「人間ごときが、私たちに勝てる道理がないのですよ。さっさと降伏しなさい。苦しみなく殺してあげますよ」

「「「「「「「断る」」」」」」」

ふざけたことを言う紫髪の男に、全員で断る。


「はあ?力の差、分かってないの?どー考えてもうちらが強いに決まってんでしょ?馬鹿なの?」

「そう言うあんたが馬鹿なのよ!いい?私たちはね、目標があるの。それはね、あんたのような雑魚に殺されるようじゃ達成できないのよ!!」

「ざ、雑魚!?」

「そうよ!あんたなんか、必ず倒すことができる強敵くらいじゃない!雑魚よ、雑魚!」

「ミリアちゃん、やめなさい」

敵を煽っちゃいけません。


ミリアちゃんがヒートアップする度に、魔法の威力が強力になり、範囲が広がる。それでも九星に当たっていないところを見ると、十分冷静ではある。


「ブッ殺す!!!!!」

だが、相手が冷静であるとは限らない。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



Side Miria


金髪の女は、顔を真っ赤にして怒鳴る。私の魔法を時々斬ってはいるが、そもそも私の異能力は魔法全般に関するものだ。ノア兄の言いつけで、温存しているので全力は出していない。



「魔術師対剣士ってさ、基本的に魔術師の方が強いんだよね。リーチが長いから」

「突然何言ってんのよ、あんた!」

「でもさ、私は九星。魔法はできるけど、接近戦はできないので負けました、じゃあお話にもならない訳。だって、魔術師の弱点ってさ、接近戦だもの」

「は?当たり前のこと言って何がしたい訳?私強いんです、っていうアピール?」

金髪の女は、私を馬鹿にしたような表情で嘲る。


「馬鹿じゃないの?つまりさ――あんたごときの剣術じゃあ、私の相手にもならない」

私は、常にローブを着ている。魔術師っぽい服装。それで、私に接近戦を仕掛けた敵を騙すのだ。


ローブを脱ぎ、その下に来ていた私の服に、女は驚いた表情をした。


「そ、それって……!」

「私はね、接近戦もできるしオト兄がいるから、私が自分の魔法に突っ込んでいっても、怪我をしない。でもあなたはどうでしょうね?ただでさえ、しのぐことも困難な魔法の雨に、接近戦もこなす魔術師が突っ込んでくるの。どう?」

私は、オト兄にアイコンタクトをして、結界を張ってもらった。ぴったりと、私を覆う結界を。


それでも敵は強力。ちょっと意表を突いただけで、倒すことはできない。けれど、この環境じゃあ、いつまでもつのかしら?



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



Side Lara


「聖職者相手に死者を出すなんて、なんて強気なのかしら」

私は、紫髪の男性を見てそう言った。


「馬鹿なだけじゃないかい?」

リズちゃんはそう言うけれど、そもそも死霊魔術師(ネクロマンサー)は、聖なる気配は本能的に嫌がるもの。

だからこそ、とても豪胆に違いないの。――私が治せなかったものは、アイン君の傷跡ぐらい。回復魔法の強さは、魔術師本人の神聖さに大きく左右される。回復魔法とは言うものの、魔法とはまた違う位置づけであることは間違いない。


そんな私の目の前で、死者を操っている。そんなのは死者に対する冒涜。私が最も忌み嫌うものだわ。



「初めまして、私はこの国の王妃です。名前は――言わなくてもいいでしょうね。どうせ、貴方は私に殺されるんですもの」

私はにっこりと紫髪の男性に言った。ノア君が煽らないの、って言いそうだけれど相手の冷静さをなくすのは、戦いにおいて重要なことなのよ?


「これはこれはご丁寧に。では私も自己紹介を――と言いたいところですが、所詮死ぬ人間に教えても無駄なだけなので。さあ、我々を甘く見た報いを受けなさい」

男は馬鹿にしたように笑い、死者に私たちを殺すように命令する。私はにっこりと笑ったまま、その場に立っていた。


死者が私たちに襲い掛かりそして――私の半径5mに入ろうとしてすぐさま浄化され消える。誰も彼もが私たちに触れることはなかった。


「な!」

「あら、貴方方を甘く見た報い――でしたかしら?私に全く近寄れないようですけれど」

私は上品に笑い、懐から杖を取り出す。そして、杖を大きく掲げ、周囲を浄化した。


「死者!死者がいない!貴様、一体何をした!!」

「なにを、って……。ただ周囲を浄化しただけですが?」

「はあ!?何を言っている!?国の外に置いておいた死者すら消えたのだぞ!」

「ええ、()()を浄化しましたの。どんな遠い所からも死者を呼べないように。()()の国ごと浄化させていただきましたわ」

私は、絶望の表情をしている紫髪の男性に、とびっきりの笑みを浮かべて見せた。その隣で、得意げに、どこか私を呆れてリズちゃんは笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ