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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第二章 ゲーム本編――始動

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ステラ防衛戦

Side Zest


ノアと共に、息を殺して転移魔法陣――があるらしいところに射線を通せるところで、ショットガンを構えて息をひそめていた。


ちなみに物陰に隠れるのは意味がない。周囲の索敵に視覚のみに頼っている訳ではない。だから隠れても無駄だ。



しばらく無言で待っていると、魔法陣に魔力が迸り始めた。美しく光り輝き、線が浮かび上がっていた。

光の粒子がどこからともなく大量に集まり、人を模っていく。すると途端に光の粒子が急激に消え失せ、5人分の姿が浮かび上がった。


「ふーん?ここがオケディアか?前と変わってんな」

赤髪の男がしきりに辺りを見回している。身長は2mはあるだろう。


「そりゃそうだろ。前っていったいいつの話だよ」

緑髪の男が茶化したように言う。


「じめじめしてんの萎えるー。なんでこんなくらいとこに転移魔法陣敷いてんの?」

金髪でギャルっぽい雰囲気の女が爪をいじっていた。


「目が厳しいのよ。目立つところに転移陣を敷いてごらんなさい。見つかったら消されるだけじゃすまないわよ」

緑髪の女が腰に手を当てて言った。


「全く、この魔方陣の欠陥ではないですか?最大5人しか転移できないじゃないですか」

やれやれ、と言わんばかりに紫髪の男が眼鏡を直しながら言った。


「転移ってどれだけ魔力を食うと思ってんだ。5人も一度に転移できる時点でかなり優秀だと思うぞ」

緑髪の男が苦笑しながら言っていた。


5人全員が余裕そうだ。明らかに舐めている。まあ、それも理解できる程の魔力をまとっているため、傲慢になるのも無理はない。

だが、九星を舐めて無防備に直通の転移魔法陣を使うのは愚策だったな。地獄の底で悔やむといい。


俺は赤髪の男の額に狙いをつけた。



―――ゼスト君、やれ。



ノアから通信を受け取った。俺は迷わず引き金を引いた。


大きな銃声が響きわたる。銃弾は俺狙い通り、奴の脳天をぶち抜いた。



「タール!!!」

緑髪の女が驚いたように言う。


突然聞こえた銃声と、倒れた赤髪の男に奴らは驚いていたが、すぐに冷静に辺りをうかがっていた。


「まさか、ここがばれていたなんて」

「こそこそしてるなんてダルいんですけどー。さっさとでてきてくんない?」

「さすがに少し舐めすぎていましたね」

そう言いつつ、見えない筈の俺の方に向いていた。


俺は銃を撃ったことで、位置をあらかた特定されてしまったため、移動する。ショットガンを背負い、腰のホルスターからピストルを二丁取り出した。



―――いくよ。



ノアの合図とともに俺はピストルを撃つ。全く油断した訳ではない。頭を撃ち抜いただけで死ぬなんて思わなかったから、何発も頭や心臓に銃弾を撃ち込んだ。


ノアもノアで奴らを挟んで俺の体面に立っていた。そして身動きが取れないように足元を氷漬けにした後、ピストルの弾を全て使いきった後すぐに、全身を氷漬けにした。


「これでやられてくれれば話が早いんだけどな……」

ついそう呟いてしまった。



「無理だね。僕たちのやることは、足止めだよ。相手を倒すことじゃない。――アイン君がいない以上、ラース君に頼るしかない」

「は?それはどういう――」

「そろそろララちゃんたちが駆けつけてくるころだから、透明化を解くよ」

ノアが不思議なことを呟いた後、そう言った。俺は浮かび上がった疑問をひとまず忘れ、目の前の敵を倒すことだけに集中した。



「ノア!あいつらは人間なのか!?」

「いや、違う。ウィキッドという種族で、弱点は――よくわからない。ただ、頭や心臓を撃ち抜いただけでは死なないのは確かだ」

「そんなに簡単に倒せないか」

小声でノアとやり取りした。


「あそこにいたわ!」

まあ当然、透明化を解いたので見つかった。


「へえ?俺の脳天ぶち抜いたのはどっちだ?」

「異能力、か……。想像以上の威力だな」

「興味深い……。ウィキッド最強のバンヴァタールに何発も食らわせるとは……」

「ならこれでもくらっとけ」

奴ら――ウィキッドの紫髪の男にピストルを撃った。

先ほどまで使っていた鉛の銃弾ではない。土魔法と火魔法で作った銃弾だ。


先ほどの弾は、普通の銃弾にリズが異能力で付与(エンチャント)してくれたものだ。

対してこれは俺の魔法だ。威力はこちらの方が高いが、俺の魔力を使うため、必要な時以外では使いたくない。



「ついでに僕の魔法も味わってよ。僕――“絶対零度の司令官”て呼ばれているんだ」

そう言って、魔法を放つ。俺の銃弾も、ノアの魔法も避けられてしまったが、それもすべてノアの計算通りだった。


「ったく、人使い荒いなあ!」

「異能力の、話?なら、焼かれて、死ね」

突然聞き覚えのある声がしたかと思うと、肉を切る生々しい音が聞こえた。そのすぐ後に結界が張られ、中を激しく焼く炎の音がする。


エリックとオットーが駆けつけてくれたようだ。


「痛ぇな、出合頭に胴体半分に切るやつがあるかよ」

「タール!油断しすぎよ!」

「てか、まだでてくんの?ダルいんだけど」

どうやら無傷のようだった。


「やられているばかりじゃいられないんでね」

緑髪の男がそう言うと、あたりに毒霧が漂い始めた。


「そうよ。これっぽっちの攻撃で死ぬとか、本当に甘く見られたものね」

緑髪の女がそう言うと、鉄扇をとりだし、構えた。


「オケディアは不都合なんですよ、私たちの計画には。地図から消えて貰いましょう」

紫髪の男は地面に手をつき、幽霊を召喚した。


「戦いとか、爪とか欠けちゃうし、服とかせっかくメイクした顔とかにも埃とかかかっちゃうし、あんましたくないんだよね。でも、やんなきゃけない時もあるっしょ?」

金髪の女はそう言って剣を取り出した。


「かかって来いよ、人間」

赤髪の男はそう言って俺たちを煽ってきた。


「あまり僕たちを舐めてると、痛い目に合うよ?大昔にそう学ばなかったかい?」

ノアも相手の煽りを何倍にして返していた。

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