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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第二章 ゲーム本編――始動
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ラース先生!

「魔物は、魔障と呼ばれる地獄の魔力と、似た特性を持つ魔力、から生まれる。えーと、そいつらは、ほとんどが獰猛で、生者を、襲う。それから……人型や虫型、四足獣型、無形物型など、様々な種類が存在している」

「そして、普通の獣とは違い身体能力が高く魔法を使います。稀に知能を持つものもいるため、討伐には十分な注意が必要です」

一番重要な情報が抜けていたため、慌てて付け加える。


「ありがとな、アイン」

「何でいつも魔物を狩っている割に、魔物についての基礎知識がないの?」

「大体石投げたわ終わりだろ」

「……」

むしろなんで知識いるの?と思ってそうな表情に僕は頭を抱えた。



「え……石投げたら終わるの?」

「いや、無理だろ」

「鍛えたらいけるんじゃ……」

「ラース兄さん今すぐ角出してください」

「いいぞ」

学生が変なことを言い出す。そもそも石を投げて終わるのは、彼岸の中でも剛腕で有名な鬼人であり、九星の一員だからこそなのだ。そもそもの下地が違いすぎる。


ラース兄さんは赤黒い角をにょきっと生やした。瞳孔が縦に長くなり、明らかに人間ではないことが分かる。



「魔物か?!」

「鬼だ!」

「あ"あ"?誰が鬼だ!!」

「そう怒らないで。学生をビビらせてどうするの」

「鬼は許さねェ。俺は鬼人で!鬼じゃねェっつうの!!!」

「人間にそんなこと分かる筈ないでしょう」

誰かの鬼発言にキレるラース兄さんをなだめる。鬼人を鬼と間違えると、すぐにこうなる。数少ないラース兄さんのプライドだ。



「本当に、人間ではないのか」

マティアス様が興味津々といった様子でラース兄さんを観察していた。


「そうだが?俺はちゃんと人間じゃねェからな。本当に、窮屈でたまらねェ」

そう言い、ラース兄さんは角をしまい瞳孔を元に戻した。

まあ、本来の姿はそちらなので、人間の姿のままだと窮屈に感じるのだろう。僕もそう感じなくはないが、今すぐに本当の姿になりたいという程ではない。



ラース兄さんが人間の姿に戻ったことで、学生は落ち着きを見せていた。



「よし、落ち着いたか。まず最初の課題は……」

そこで地獄のような課題が出されるのだ。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「は?もう終わったのかよ、あいつ……」

「もう、だめだ……」

「俺の屍を超えてくれえ……」

「終わる気がしなあい……」

阿鼻叫喚な訓練場。本当にかわいそうだし、女子生徒はとっくのとうに皆リタイアしている。男子生徒も半分以上はリタイヤしている。



「情けねェな」

「あれが普通。ラース兄さんが異常。そもそも九星の訓練メニューを普通の人間にやらせないでよ!」

「あれくらいはミリアもララもやってたから普通じゃねェのか?」

「あの訓練メニューは他の軍人だってやらないんだよ?ラース兄さんがやらせているのは、その軍人がやるレベルじゃないかな?確か」

「それもできないのか?」

「できる訳ないでしょう!!」

暖簾に腕押し並みに話というか常識が通じない。ラース兄さんはなんだかんだ言って普通の人間に会う機会が少ないから、加減が分からないのだろう。決して意地悪したくてああいう事をやっているのではない。


「とにかく、ラース兄さんと違って彼らには魔法があるから、ラース兄さんの想像以上に体を鍛える必要もない。

それに、ラース兄さんだって、石で魔物を倒せるけれど、普通に倒すこともあるでしょう?そういうことを教えるのが一番いいんじゃないかな」

「大体拳で頭が吹き飛ぶが」

「頭が吹き飛ばなかった魔物の話をすればいいから。ラース兄さんが苦戦した魔物のエピソードとか。多分、少しは参考になると思う」

「結局困ったらアインに聞けばいいか」

「僕は学生だよ?」

溜息を吐きつつ、ラース兄さんはこういう存在だった、と思い出して懐かしい気持ちになる。

すぐにものを壊してノア兄さんやゼスト兄さんに叱られていた。



「まあ、ノア兄さんの要望にも応えなきゃね。――ラース兄さん。まず、ガラスを扱うように行動してみて。それだけでも十分変わるから」

「今でも十分やってる」

「より一層それを意識して。それと、自分の力を、体の奥底に封印する。魔力とか、彼岸特有の力とか。人間の姿になっていることで、素の力は案外弱い。だから、筋力低下の魔法を常時かけるよりかは十分いいと思うよ」

「そうなのか!じゃあ、俺が今までやってきていたのは、応急処置ってとこか?」

「6割方そうだね。でも、意識することで、無自覚に力が封印されるから、それを自覚して更に封印する力の量を増やせばいい。封印は簡単に解こうと思ったら解ける封をした方がいいよ」

「成程な……」

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