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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第五章 Unidentified

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専属護衛

Side Finlay


ヴェネッサに、マクレーン家のことを話してよかったのか。


普通は、よくないだろう。


ヴェネッサは、マクレーンの長男と繋がっている。だから、そこ経由で色々と伝わるだろう。

そうして、俺は暗殺者の手にかかって死に、無事自分たちの平穏は保たれる……。


それが、ヴェネッサの考えだ。

そもそも、今までだって暗殺者が来ていたし、それなのにかすり傷一つせずに生き延びている。

何らかの対策があるとは、一切思わないのだろうか?


おめおめと逃げ帰ったヴェネッサを思い出しながら、ソファに座りながら、傍らに視線を送る。


「卿は――ってそうか、ルルディにとられたんだよな……」

そもそも、留学する数年前の出来事だ。なのに、ここにいると、つい卿を呼んでしまう。



俺は、この国から離れる時に言われたことを思い出していた。



卿とは、俺をずっと守ってくれていた、騎士のことだ。


彼は、実力者ではあるものの、平民である、という理由でここに飛ばされた。

俺は左遷先だ。はは、笑える。


だから、最初はとんでもなく俺に失礼だったし、子供だったこともあり、俺は卿が怖くて嫌いだった。


だが、俺が暗殺者につけ狙われるようになってから、卿の態度が変わった。

まず俺を主として認めてくれた。


そして、俺が何かをできる度、褒めてくれた。

俺は段々卿に懐いていった。


元々、卿は自分の不遇な境遇に嘆いて無表情でいることが多かった。

だが、俺と一緒にいるうちに笑顔を浮かべるようになった卿に、ルルディ――俺の妹であり、この国の唯一の王女が見初めてしまった。


俺は、そこまで権力がある訳でもなかったから、とても簡単にルルディに卿を取られてしまった。


俺は、卿がルルディに膝を折っているのを見て、全てがどうでもよくなった。

たまにすれ違っても、もう卿とは目も合わない。


だから、俺の護衛はいない。

あれから、専属護衛というものを、作ることをやめていた。


どうせ、誰もなりたがらないし、ちょうどよかった。


だから、マティアス王子が専属護衛と仲良くしているのを見て、胸に苦しいものがこみあげていた。



「まあ、要がいるしもう護衛なんかいらないか」

強がりの言葉だ。だが、何よりも正しい。


どうせ、誰が来ても要がいれば、簡単に追い出してくれる。

要は吸血鬼だ。アインができることは、要にだって大体できる。



そう思っていた。

俺は、吸血鬼がなぜ戦いに向かないのか。

アインが、どれほど血のにじむ努力をしていたのか。


それを、何も知らなかった。俺は、武術に関して、何も知らなかった。

だから、寝室にまで暗殺者が忍び込んでいた。


寝ていた時に侵入されたため、ベッドに縫い付けられていた。


「おい、それを置け。今貴様が何をしようとしているのか、分かっているのか!?」

「――どうやら、お前が生きていると都合が悪い人間がいるらしくてな。だから、死んでくれよ」

そう言って、暗殺者は俺に刃を向けた。俺はそれに身を凍らせた。


「俺を殺しても、何の意味もないぞ……。この国は、久遠によって攻め滅ぼされる。きっと、お前も、そしてその依頼主も、きっと久遠によって殺される」

俺は暗殺者を説得しようとする。

しかし、暗殺者はそんなことは関係ない、とばかりに笑う。


「そうなる前に逃げればいいだろ」

「逃げ切れればいいがな」

俺は、精一杯強がった。魔法も使えない、戦闘能力もない俺は、この状況を打破することはできない。


もっとまじめに剣術でも習えばよかった、と思うが、そもそも戦闘に関しての才能の欠片もない俺が、この暗殺者を前にしても、何とかなっただろうか……。


それでも、俺は生きなければならない。どんなに絶望的な状況でも、俺は生き延びなければならない。イーストフールのため、ロースタスのため。


必ず、生きなければならない。


「俺は死ぬ訳にはいかないんだよ!」

「だが、俺は死んでくれた方が嬉しいな。お前を殺せば、法外な報酬を貰える。だから――」

「待て」

俺は暗殺者の一言に、気にかかる。


「なんだ?命乞いしたくなった――」

「法外の報酬ってなんだ」

「は?」

ニヤついたままの暗殺者の言葉を遮り、俺は気になったことを口にする。

暗殺者がそんなこと、知っている訳がないのに。


案の定、暗殺者は呆気に取られていた。


「この国には、法外の報酬を払えるくらいの金なんか、ない筈だ。だって、収入と支出が全く釣り合ってない。それに、大臣たちが横領して、そもそも帳簿すらあっていないというのに……」

「ま、待て。まさか俺は――」

「お前、法外の報酬と言われたが、どれくらい払うと言われたんだ?」

「は?そんなん金貨百枚に決まってるだろ」

「……はあ」

「お、おい!なんだよ!」

暗殺者は、俺の溜息に動揺する。


「お前、何も思わなかったのか?王族の暗殺に、たかが金貨百枚?ミスリル硬貨一枚ですら、足りないのに。今、自分が何をしているのか、本当に理解しているのか?そして、そんなことをしておいて、簡単に逃げれるとでも?」

「ぐ……」

「そして、国庫にはミスリル硬貨一枚分すらない。それでも金貨九十万枚はあるが」

暗殺者の表情が、くるくると変わる。先ほどまで、ずっと挑発的に笑っていただけなのに。


「……」

「この国、今はこんなだが、かなり重要な国だからな。そして、俺は他国から王に望まれている。あの馬鹿が、そんなことを考えれるとは思えないが」

「じゃ、じゃあ俺は……」

「無能と無知が合わさると、とんでもなく非常識な状況が生まれるな」

俺は、すっかり呆れかえってしまっていた。

暗殺者も、すっかり俺への殺意が萎えてしまっているようだ。



その時だった。


「殿下、大丈夫ですか!?――貴様!!」

激しい足音の後、扉からしてはいけない音を立てながら、俺の寝室に入ってきた男がいる。


「――卿」

そこには、過去に俺の専属護衛を務め、今はルルディの護衛を務めている、卿――ケイがいた。


ルルディの護衛になった後、一番最初に言われたのが、ケイを名前で呼ぶな、ということだった。

だから、俺はせめてもの抵抗として、同じ音の敬称で呼んでいた。


「叩っ斬ってやる!」

ケイが、鬼気迫る様子で、剣を構えていた。俺たちは顔を見合わせ、今の状況を思い出した。


ナイフを持った暗殺者と、その暗殺者に拘束されている俺。

ケイから見れば、確実に俺は殺されかけていると思うだろう。


暗殺者は慌てて俺から離れ、そして俺は怒りで興奮しているケイを何とかなだめた。

そう言えば、忘れてました!一応、この世界の硬貨についてです!


銅貨一枚=百円

銀貨一枚=一万円

金貨一枚=百万円

ミスリル硬貨一枚=一兆円


銅貨一枚=小銅貨十枚

小銀貨一枚=銅貨十枚

銀貨一枚=小銀貨十枚

小金貨一枚=銀貨十枚

金貨一枚=小金貨十枚

ミスリル硬貨一枚=金貨百万枚


ミスリル硬貨は、ほとんど使われることはない。

だから、ミスリル硬貨ではなく、金貨百万枚の方がよく使われる。


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