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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第五章 Unidentified

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護衛依頼

ちょっと間が空いてすみません!これからも、ちょくちょく投稿していきます!

Side Sue


「あらやだ!卵買い忘れちゃった!」

私は、慌ててバッグを持って家を出る。


そう言えば、あの時も皇君と一緒に買い物に行ったな、と思い出す。

あの時は、物凄く気まずかった。


けれど、八百屋の店主のお陰で、打ち解けることができたんだっけ。

今もその店主は健在だが、息子夫婦も一緒に店頭に立っている。

将来、どうやら跡を継ぐ予定らしい。


ああ、時間を感じるな。


今日は、息子さん夫婦はいないようだ。店主夫婦で店に立っている。


「いらっしゃい!お、スーちゃん!相変わらずの美魔女だなぁ!」

しわが増え、白髪が増えた店主が、相変わらずの世辞を言う。


「こらあんた!なーに人妻に鼻伸ばしてんだい!」

「あいた!」

相変わらずの店主に、店主の奥さんがやってきて、店主を豪快に叩く。私は、相変わらずな二人に笑ったが、10年前よりも、しわと白髪が増えた。


でも私は、昔と全く変わらない。今も、要と結ばれた時と同じ、20代の見た目。

今は、全然誤魔化せるが、いつか誤魔化しが効かなくなるかもしれない。



「卵を買い忘れちゃって。――いいのあります?」

「おうよ!うちの卵はみんな新鮮さ!」

「あんたねぇ!ほらスーちゃん、この卵がお勧めだよ!」

店主の奥さんが、いい感じの卵を見繕ってくれる。


「いつか、その美貌を保つ方法を教えてくれよ」

「ははは……」

私は、適当に誤魔化した。流石に、彼岸の魔族と結婚すれば、寿命がかなり延びる(その彼岸が半身だった場合に限る)という事を、教える訳にはいかない。


人族の国では、魔族はかなり少ない。

素性を隠す要のためにも、それを言う訳にはいかない。



「毎度あり~」

「ありがとね~」

店主夫妻に手を振り、私は帰路についた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「君さ、めっちゃ美人じゃん。なあ、俺たちの相手をしてくれよ」

「天国を見せてやるぜ?」

ガラの悪い二人組の男たち。私は無視した。


私は不倫はしないし、要という愛する夫がいる。

それに、私は要がいなかったとしても、絶対相手にしない。


「ほら、俺たちめっちゃモテるんだよ。めっちゃ顔いいしな」

「な?テクもいいしさ」

「……」

私は、ひたすらに無視する。一体どこが顔がいいんだろう?

昔の客とか、要や皇君の方が、ずっと綺麗だ。


それに、にやにや笑っているのが、気持ち悪い。昔、私をベッドに誘おうとした客のような目つきをしている。


「おい、調子に乗んなよ!」

「美人だからって、お高く留まりやがって!」

そう言って、男たちのうち一人は、私の腕を掴んだ。


「キャッ!」

かなり強い力で掴まれたため、思わず口から悲鳴が漏れる。


「こっちこい!」

「優しく言っているうちに素直に応じればよかったのにな?」

「いや!放して!誰か助けて!!」

男たちは私を裏路地に引き込もうとする。

私は、必死に抵抗するが、男の力に敵う訳もなく、ズルズルと、引きずられていく。


必死に助けを求めたが、通行人がいない。それでも、諦めない。


「誰か!助けて!」

「黙れよ!」

「――!!」

私を掴んでいない方の男が、私の口をふさぐ。それでも髪を振り乱しながら、何とか拘束から逃れようとする。


しかし、一向に拘束は緩まない。涙があふれてくる。


「おい、やめろよ」

唐突に、そんな声が上から聞こえた。


「誰だ!」

「これは合意なんだよ。関係ないやつは引っ込んでろ!」

私を掴んでいる男たちが叫ぶ。

上を見てみると、そこには三人の男女がいた。


「そうは思えないな」

「女の子襲うとか、サイテー!」

「そんなことしなきゃ、相手がいないんですかー?」

「てめぇ!」

「降りて来い!」

彼らは、男たちを煽る。男たちは、その挑発にまんまと引っかかり、懐からナイフを取り出した。


それと同時に、私は解放された。


「!!」

私は、逃げようとしたが、足が震えて動けない。逃げなきゃ!で、でも……。


「こっちだ」

「え……?」

私は、声がした方を見た。そこには、白髪赤眼の青年がいた。


「ダッサ。悔しければここまで来たら?」

「調子に乗るなよ!」

男たちは、すっかり彼らに夢中になっていた。


「じゃ、さっさと逃げるか」

「え?」

私が困惑している間に、青年は私を抱え上げ、そのまま飛んだ。


「えええ!?」

「じっとして。落とすから」

「は、はい……」

私は、すっかり青ざめてしまった。

こっそり下をうかがうと、そこには家の屋根が……。


「あ、ちょっと!」

私は、その青年の慌てた声を最後に、気絶してしまった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「おい、どうするんだよ」

「なんで連れてきた」

「さすがに、知らない人に家知られてるとか、怖いだろ」

「いや、依頼人と知り合いじゃん」

「それでもだ。それに、見た感じ普通の人間ぽかったし、目隠しすればいい」

そんな会話が、聞こえてきた。私は、びっくりして飛び起きてしまった。

そこには、少し年齢がバラバラな、男女がいた。

その中には、私を助けてくれた人たちもいた。


「お、起きた?」

「あ、ええと、はい……」

「ラファエルが空飛ぶから~」

「まさか、気絶するとは思わなかったんだよ」

「うわ。そういう所がモテないんだよ」

「お前だってモテてないだろ」

「なにを!」

「ええっと……」

「ちょっと!困惑してるでしょ!」

私は、言い合いを始めた彼らに、何を言ったらいいか考えあぐねていると、それに気づいたらしい少女が、彼らに注意した。


「あの、助けていただきありがとうございます。それで、ここは……」

「隠れ家的な?あまり人に話してほしくないんだ」

「分かりました」

「悪いがな、そういう――って、え?」

なにやら、訳ありのようだ。別に、秘密にすることは問題ないため、素直に了承する。


「それは嬉しいけど……」

「それよりも、聞きたいことがあるの」

私は、白髪赤眼の青年――ラファエルさんに、目を向けながら言った。


「貴方、彼岸ね?」

「えっと……」

「いいのよ、隠さなくても。私の夫は、彼岸だから」

要は、空を飛ぶことができないけれど、翼を生やすことはできる。だから、魔族の翼は何度も見たことがあった。

彼は、翼の形から見て、天使なのだろうか。


「ええ!?」

「じゃ、こ、この人って、ま、まさか……」

「羨ましい!!!なんで、イケメンはこんな美女と結婚できるんだよ!それに、まだめっちゃ若いだろ!」

「俺もイケメンに生まれたかった!!!」

「お、落ち着いて……」

どうやら要を知っているらしい。要、物凄い有名人ね。


「い、一体、どんな人なの!?」

「えっと……?」

「貴女の旦那さんよ!」

「とても格好良くて、強い人です。いつも私を気遣ってくれて……。笑顔が素敵な人ですよ」

「……想像がつかない!」

「顔か!?やっぱ顔なのか!?」

「いつも仏頂面なのに!?」

「のろけだ……のろけだ……」

そ、そんなに要は不愛想なの……?街の皆から、旦那さんはいつも笑っていていい人ね、とか言われているのに!?


「そ、そうだ、血!血はどう吸うのか!?」

「それはちょっと……」

「ちょっと、デリカシーどこに置いてきたのよ、このノンデリ!」

「だって気になるだろ!?」

他の吸血鬼のことを、よく知らないけれど、普段しっかりしている要は、吸血の時は甘えたになる。そこが、また可愛いのだ。


「ともかく、その、依頼という言葉が聞こえたんですけど……?」

「「「あ」」」

私の言葉に、あの助けてくれた、ラファエルさん以外の三人が、物凄く叱られていた。

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