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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第五章 Unidentified

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思い当たりと美人

Side Miria


「ねえサティ、レイモンドという人物に心当たりはないのかしら?」

「う、うん。名前も聞いたことないよ」

「はあ、どうしましょうか……」

私は、サティに九星のテレパシーに組み込んだ後、改めて聞くが、収穫はなかった。



「まあ、いいわ。まだまだ滞在時間はあるし。――ねえ、学園を見て回りたいんだけど……」

「いいと思うよ!行こう行こう!」

サティが、私の手を引く。



――相変わらず元気だな。



私は、そう思いながらサティについて行った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



Side Raphael


俺は、いつもよりもずっと遅い時間に起きた。


休みなのだから、当然と言えよう。


もう昼過ぎだ。


俺は、顔を洗って制服に着替える。寝癖が酷い髪を整えて、食堂へと向かった。

この時間帯、人はまばらな筈だが、案外人がいた。

そのことに不思議に思ったが、理由が分かった。


どうやらサティが、美人を連れてきたらしい。


「なあなあ、あの人めっちゃ可愛くないか?」

「な!マジで可愛い。新しい教師?」

という会話も聞こえる。


見ると、確かにサティと青髪の美人が、楽しそうに談笑していた。



俺は気になったが、喧騒の中にはあまり行きたくない。

しかし、そんな願いも空しく、サティは大勢の中から、俺を見つけ出したようだ。


まあ、白髪は目立つだろう。



「ラファエルさん!」

「今更だが、ラファエルでいい。同じ平民だろ。――で、その方はどなた?」

青色の髪に、黄色と紫のオッドアイ。気が強そうな美人だ。

ちなみに胸は――お察しだ。


「初めまして。私は、ミリア・オーブ・アストロロジーよ。貴方は?」

「俺は、ラファエルです。……アストロロジー?」

なんだか聞き覚えがあるな。特に、アインの肩書きに。


「聞き覚えがあるの?」

「ミリアちゃん、私とアインとラファエルは同じ平民の生徒会役員だよ」

「あら、そうなのね」

ミリアがそう言って笑った。


「あの子、大丈夫かしら。繊細な子だから、色々と心配で……。それに、サティが恋愛小説を薦めた、なんて言うものだし……」

そう言って、ミリアは心配そうな表情をした。


俺は昼食を頼み、その質問に答えた。


「アインは、周りともうまく付き合っていますよ。恋愛小説については……一応事実ですね」

繊細さの欠片もなさそうな鬼畜教官の姿や、学園を揺るがす事件とかも伏せて伝えた。


というか繊細……?まあ、確かに思い当たるけれども……。


「でもアインは、訓練の時物凄く厳しいの!すっごくスパルタで!ねえ、ラファエル!」

「ああ。普通に殺される。痛みに慣れるため、ってなんだ?でも実際慣れてそうなんだよな……」

俺は、すぐさまサティの言葉に同意した。ミリアは、苦い顔をしている。


「え、殺されてるの?大丈夫?」

「ああ。俺は彼岸だから、死ににくいんだ」

「そうなんだ!」

サティよ、それでいいのか?


「アインと個人的に会っているのかしら?」

「そうですね、同じ彼岸なので、仲間意識もあったんでしょう」

俺は笑顔で答える。

ちなみにアインは、俺がペスケ・ビアンケの一員だから外でも会っているだけだ。


「そう、なら聞きたいことがあるのだけど……」

そう言って、ミリアが切り出した話はこうだ。


どうやら、レイモンドという人物を探しているらしい。


アインと同じ研究者で、受け取って欲しい薬があるのだとか。


なんだか聞いたことがある名前だな。


「知ってますよ」

「まあ、あと何日かあるし、知らなくても――え?知ってる?」

「はい。ただ、アインと一緒に会っていただけなので、俺からレイモンドに連絡を取れるかどうかわかりませんが」

でもあのアインのことだし、きっとレイモンドに話を通している気がするが。



「おそらく観光をしていたら、向こうから来るんじゃないですか?」

「それもそうね」

ミリアは、アインが事前に手を回さない訳がないと、思ったのだろう。


「ねえ、ラファエル。さっきミリアちゃんが、レイモンドさんの名前をマティアス様の前で出したら、物凄く怒っちゃって……。何か思い当たる?」

「さあ。物腰は丁寧だし、マティアス様は不敬にも寛容な方だろ?まあ、アインと一緒にいる、という事に嫉妬してそうだが、俺と一緒にいる時には何も言わないからな」

心当たりがない。何も言わないだけで、物凄く睨んでくるが、そんなに怒るほどでもない。


だって、アインの気持ちは明らかに、マティアスに向いているから。


だから、レイモンドがアインに何かやらかさない限り、マティアスがキレることはない筈だが……。



「……そう、人格的に破綻していなければいいわ」

「破綻はしてないんじゃないですか?拾った子供を可愛がっているらしいですし」

俺は、ウルガの様子を思い浮かべながら、そう答えた。


ウルガがよくなついていた。

だから、人格破綻者じゃない……と思う。

むしろ、終夜の方がやばいと思う。


「そうなんだ……」

「ただ、ちょっと視線が怪しい気がする」

「だめじゃん!」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「――という事があった」

「は?青髪オッドアイ美人?ずる」

「お前だけ美人と話せるなんかずるいー!!」

「知るか」

わーわー騒いでいたが、お前ら昔ぼろくそに言っていたの忘れたのか?


「一応、その人の二つ名は“全色の魔術姫”だぞ?」

「マジで姫だったじゃん」

「胸は?デカくないと許さん」

「マジできもい。お前、そこまでイケメンじゃないのに言うな」

相変わらずだな、とのんきに眺めていたが、一気に奴らは俺に詰め寄ってきた。


「ここに一回連れてきてよ!」

「は?無理に決まってんだろ。それに、連れてきたところで、アインという超絶美形を見ているんだぞ?何がしたいかは特に聞かんが、無駄だと言っておく」

俺はそうきっぱり言うと、男どもは血涙を流していた。

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