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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第五章 Unidentified

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謎の黒ずくめ

Side Unidentified


あの少女を部屋に誘う。

親しくなったから、というのもあるが、魔法祭で気づいた。


あの力は、異能力だ。

融合魔法を簡単に放てるようになる異能力。


あの方は、それを英雄候補に植え付ける、とおっしゃっていた。

まさか、適当に選んだ職場で、そんな出会いがあるとは、これっぽっちも思ってはいなかったが、都合がいいかもしれない。


私は翼を広げ、穏やかに微笑んで待つ。

天使の存在は、知っているだろう。


あの方が、どこにいるのかはわからない。けれど、近くにはいるのだろう。

あの方は、英雄候補の近くにいる、とおっしゃっていた。



候補。あの方法では、強力な英雄を作り出すことはできないらしい。

それが難点なのだが、力がない以上、数を増やすしかないようで……。


全てを解決してくれるくらい、力が強い英雄が現れれば、というのがもはやあの方の口癖になっていた。

あの方は、案内人だ。だから、どう足掻いても英雄になることができない。

国への奉仕精神が高い、あの方のことだ。自分を今も責めていらっしゃるのだろう。



だから、私も協力する。今、どれくらい計画が進んでいて、どの計画が進行中で、なんてこと、欠片もわからない。

あの方とは、ついぞ接触を図れなかった。



私はやる。やり切る。そう並々ならぬ覚悟を決め、それを悟られないように優雅に振舞った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



Side Sattie


楽しみ~!私、友達の家(夏休みの別荘は除く)に遊びに行ったことがなかったから、とっても新鮮!


私は、今にも鼻歌を歌いながらスキップ思想は私を見たジェシカ様は、苦笑している。

本当に、大人びている。子供っぽい私とは大違いだ。


服も、水色のワンピースドレスで、上品ながらも普段よりカジュアルだ。

対してラファエルさんは、学園の制服だ。

元々は私服を着ていこうとしていたらしいが、普段は付けないブローチを付けたアインから、ダメ出しをされたらしい。


それで、普段と変わらない出で立ちになったらしい。……もしかして、ラファエルさんの私服ってダサいのかしら?


ちなみに私は、制服だ。そもそも私はいい感じの服なんて一着も持ってない。

素直にコーディネートは諦めた。



「この組み合わせは、初めてですわね」

「そうですね!クラスも違いますし!」

「そうだな。……アインが来ると思っていたんだがな」

珍しすぎるメンバーに、ラファエルさんは気まずそうだ。


「確か、お世話になった方が今日、誕生日だそうよ?」

「お世話になった人……誰だ?」

「誰なんだろう……」

なんとなく、普段何してるのかわからないんだよね。想像もつかない。

物凄く早起きしちゃったときに、鍛錬しているのを見かけるくらいだし。


あれは、舞を舞っているみたいで綺麗だったなぁ……。


「他にも誘ったんですけど、マティアス様はカーティス様と用事があるっておっしゃっていましたし、ハロルド様は勉強したいから、ルー様は、お兄さんとの約束があって、フィンレー様は……」

「調べもの、だったな。一体何を調べているのやら」

ラファエルさんが、私の言葉の続きを言う。


ともかく、皆見事に予定があるお陰で、こんな珍しいメンバーになったのだが。

ちなみに先輩方は、勉強会を開いていたり、婚約者とのデートの予定だったりして、誰一人として予定は空いてなかった。


……そんなに予定が丸被りすることあるんだ、と思ったのは私だけではなかった筈。



「ここで待ち合わせかしら?」

「そうですけど……来ませんね」

「時間、間違えてないよな?」

「そんなことしないよ!」

ラファエルさんがジト目で言った言葉に、反射で返したが、私も内心ひやひやしていた。


しかし、それも杞憂だったらしい。



「サティ様ご一行でお間違いないでしょうか」

「え?」

聞いたことがない声に振り返ると、そこには仮面で顔を隠した人物がいた。


「……誰だ?」

ラファエルさんが分かりやすく警戒する。私も、魔法をいつでも撃てるよう、準備をする。


「これは失礼いたしました。――私の名前は、ウリアです。どうぞよしなに」

「……女だな」

「え?」

ラファエルさんが、小さく私たちにしか聞こえないように呟く。


仮面の人物――ウリアは、体形を隠すようなゆったりとした黒ずくめの服に身を包んでいる。

声も中性的で、男性か女性かは判断できない。



「……流石ですね。ばれてしまったようです」

「ええーっ!?」

「そろそろ、皆さまをご案内したいのですが……よろしいでしょうか」

「誰が怪しいやつについて行くと?」

「困りましたね。――では、こうしましょうか。貴方方の中で、最も強い人物を、私が制圧して見せます。これで、貴方方は私に従う他ないと、理解するでしょう」

そう言うや否や、ウリアはどこからか短刀を取り出す。

私は、ラファエルさんに視線を送ったが、ラファエルさんはすぐに両手を上げた。


「降参だ。――無駄に体力を消費したくない」

「え」

「理解いただけたようで何よりです。――では、着いてきてください。私はただの案内にすぎませんから」

ウリアは、ラファエルの降伏宣言を聞くや否や、短刀をすぐに懐に収め、歩き始める。

私たちは、慌ててウリアの後を追うことしかできなかった。

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