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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第五章 Unidentified

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悪い意味での生命の神秘

ブクマ十人達成!!ありがとうございます!!


間違えて先に投稿してしまいました!

Side Raymond


「確かに、変な奴らがいますね。紫色の」

昨日、アインに言われたとおり、学園に忍び込んでみていると、確かに不審な奴らがうろついていた。

こんなんじゃ、ばれるのも時間の問題ですね、と思いつつ、その女を監視し続けていた。


「これくらいでオレを殺そうって、ナメすぎでしょ~」

私の隣には、チャラい男がいた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「学園が騒がしくなってきましたね、ウルガ」

「そうだね」

明日は、学園の行事らしい。だからか、学園全体が浮かれているのだろう。



ウルガは、前よりかなり流暢(りゅうちょう)に話せるようになった。

アインに言われてウルガの発音を矯正(きょうせい)しているとき、アインもよく人間の言葉を話せるな、と思ったのだ。


アインも、かなり注意深く聞かないとわからないが、話しづらそうなところがある。とは言っても、本人はあまり意識していないようだが。



ウルガは、薬の飴を舐めさせていると、すっかり飴を舐めるのが習慣になってしまった。

別にいいし、こちらとしても助かる。アインも、ウルガの好き嫌いに配慮しているのか、色は寒色系の飴をくれる。味は一応柿味は避けているらしい。多分、色がオレンジだから、柿が嫌いなんだろうけれど。



別にどうでもいいのだが、なんでこんなにオレンジを嫌い、青を好むのだろう。アインに聞いてみたが、半身の持っている色が青いからか、()の持つ色が青いからのどっちかだろう、と言っていた。できれば、後者の方が私的には嬉しい。



「ウルガ、飴美味しいですか?」

「おいシい」

まだ、発音は要練習というところだろう。



そうウルガと戯れていると、一つの足音がこちらに近づいてきた。


「随分と、遅かったですね」

「これでも、早めに来た方なんだ。――はい、追加分」

そう言うと、足音の主――アインが、青系色の綺麗な飴玉の入った袋を渡してくれた。


「ありがとう。ウルガが、気に入っているんだ」

そう言って、私はウルガの頭を撫でる。ウルガは、気持ちよさそうに目を閉じる。


「そこまで懐いているなんて、珍しい」

「そうか?」

「自覚なし?」

不思議そうに聞くが、そもそも死んだドラゴンの巣にあった卵を食べようとして持ち帰った。それが持って帰っているうちに(かえ)ってしまったのだ。


そこから生まれたのが、まさかの人間で、しばらくフリーズした。赤ん坊はすぐに泣きだし、物凄く慌てた。急いで街に出て、牛乳を買い、子供に与えた。

その翌日に、肉を食べていたのには卒倒しかけた。


ちなみに、龍人は生まれてすぐでも、歯が生えているから肉を食べれるらしい。焦って損した。



そういう経緯があって、私は子供――ウルガを育てていたのだ。


それが今から八年前。ウルガは今8歳だ。

とても頭のいい子で、実験器具を壊したり、という事もない。



「ちょっと、きな臭いかもしれない」

「――突然、どうしましたか?」

「昨日、どこにいた?」

「……」

それに、黙ってしまった。


「それに、悪魔が味方になった。――口封じされるかも」

「まさか」

そんな動き、全く感じ取れなかったが。そもそも、動きを隠すなんてこと、奴らが思いつくのだろうか。


「明日から、部外者が多く出入りする。その中に紛れ込むことも可能だ」

「それを、奴らができるのか?」

「それを奴らができるようにした奴が、その悪魔だよ」

「なにやっているんですか……」

裏切るなら、そんな技術を教えないでくださいよ、と思ってしまう。


「そんなに疑うなら、自分の目で確かめてみてはいかが?僕はこれから忙しくなるから」

「忙しく?」

「このタイミングで奴らが忍び込んでくる意味は何だと思う?」

「成程、ここに悪魔がいるんですね?」

私の言葉に、アインは頷いた。


「その悪魔を絶対に殺すために、手練れを送り込むだろう。だから、僕はそいつらを殺す」

「それに協力してほしいんですか?」

「たぶん、僕に協力しないと、悪魔の次に殺されるのはレイモンド、君になる」

「確かに、それはそうですね……」

悪魔が奴らを裏切ったから、殺される。なら、ずっと昔に裏切った私は、指名手配されていることだろう。



「やっぱり、彼岸が懐くなんて、本当に信じられない」

「自分の目で見たでしょう?」

「でも、鳥のような習性はないのに……」

「感情なんか、理論で説明できることばかりじゃないでしょう?」

「それはそうだけど……」

それでも、どこか納得できなそうな表情だが、何とか落としどころを見つけたのだろう。


「明日、悪魔と接点を持っておきます」

「ありがとう。できれば、僕は悪魔と会いたくないから……」

このままアインと悪魔の連絡係になれ、と。確かに、吸血鬼は本能的に悪魔のことが苦手だ。蛙と蛇のような関係なのだろう。



「悪魔って、ウルガと会わせて大丈夫なんですか?」

「おそらく」

「恐らくですか……」

「子供に手を出す奴じゃないと、信じることしかできないかな」

「悪魔って、やバいやつなのか」

「ええ、ちなみに国外追放処分を受けている吸血鬼は、ほとんど悪魔の子だね。……別に悪魔自身も気性が悪い訳でもないのに……」

悪い意味での生命の神秘。アイン曰く、その悪魔は話が通じるらしいので、変に警戒しなくともいいらしい。


でも、ウルガは一時的にアインに預けようかな……。

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