表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第五章 Unidentified
157/186

変わらぬ会話

ep.27で、おかしい所を訂正しました!

今日は、魔法祭当日だ。魔法祭は、二日間かけて行われる。



「わあ、楽しみです!!」

サティが、楽しそうにはしゃいでいる。


「いっぱい頑張ったし、大丈夫、大丈夫、大丈……」

「ルー、もうちょっと落ち着いてください」

「あらあらルー、これを飲んで、落ち着きなさいな」

ルーが目を回していると、ジェシカ様からの救いの手。ルーは、ジェシカ様から手渡されたグラスの中の水を飲み干し、一息ついた。


「あ、ありがとうございます、ジェシカ様!!」

「お嬢様なのに、準備がいいね~」

勢い良く頭を下げるルーと、ジェシカ様の準備の良さを感心するカーティス様。


「ルーは若干あがり症気味だから、事前に用意しておいたのですわ」

「あれ?そんなにルーと仲良かったっけ?」

カーティス様の疑問に、僕も言われて初めて気になった。確かにあまり、一緒にいないような……。



「カーティス、敬語だ」

「別にいーじゃん~。ね~ジェシカ」

「カーティス!!」

「なに嫉妬?怖~い」

ハロルド様とカーティス様のいつもの掛け合いが始まった。サティも、よく生徒会で見ているから、慣れたものだ。



「ハロルド、諦めろ。カーティスは昔からああいう男だ」

「はあ、もっとちゃんとしてほしいんですがね」

「きちんとしなければならないときには、きちんとしているから、問題はないだろう。……それにもう既に、痛い目には合っているからな」

「今、何を?」

「なんでもない。お前も、もう少し砕けたらどうだ?」

「さすがに王族相手には……」

「お前も、相変わらずだな」

これもまた、何度も聞いたことのある会話だ。こういうやり取りをするたびに僕は、カーティス様とハロルド様は似た者同士だと思ってしまう。



「アイン、期待している」

「はい、ご期待に沿えるよう、がんばります」

僕は胸に手を置き、一礼する。それにマティ様は、満足そうに頷いたのが分かった。



「あ、もうそろそろ生徒会専用の席にいかなきゃですか!?」

「あ、そうなんだ……。サティ、がんばってね」

「はい!ルーこそ、がんばってください!!」

この二人は、訓練を重ねて、より仲良くなった。やっぱり、ちょっと遠慮していた部分もあったのだが、等しく僕に叩きのめされているうちに、何か通じ合うところがあったのだろう。


ちなみに、聖水を何度も作っているうちに、僕の表情が引きつっていることに気づかれた。そこから、僕が聖水をかなり苦手にしているという事も、芋づる的にばれてしまったのである。

それはもう、かなりの笑顔で僕に聖水を放ってくるのが怖すぎた。僕、そんなに二人を傷つけていたかな……?



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



Side Gabriel


私は、生徒会席に座る殿方をじっと見つめていた。


「ああ、今日も麗しいですわ……!」

「そうですわね、マルティン公爵令息様にアイン様……!あ、こちらを向きましたわ!」

「最初は愛想のない、つまらない男だと思っていたのに、ここまでハマるなんて計算外ですわ……。こ、今度、私の専属護衛にならないか、提案してみるのはいかがかしら!?」

「ああ、いいですわ!とてもいいお考えです!」

「あら、ガブリエル様、ずるいですわ。私も、あの方にも守られたいですわ!!」

取り巻きとそんな話をしながらも、決して目線はカーティス様とアイン様に釘付けだ。



――ああ、本当に麗しいですわ……!



私がアイン様の麗しさに気づいたのは一月前のこと。食堂を利用しようとしたその日にさかのぼる――。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「今日は何を食べようかしら」

「そうですわ、私は――あら、食堂が何やら騒がしいですわ」

「あら、貴族の癖にはしたない。どうせ、自らが貴族という自覚がない、下級貴族が原因に間違いありませんわ」

「それか、平民ですわね」

「あら、平民なら、私たち貴族に阿って、ここで食事をしないのがマナーでしょう?食事の時まで平民の卑しい顔を見ないといけないのは嫌ですわ!!」

「そうですわ。ここで食事など、図々しいですわ。流石、空気の読めない平民、と言ったところでしょうね」

「うふふふふふ」

私たちは、平民の陰口を言い合いながら、いつもより騒がしい食堂の中へと入っていく。するとそこには、王太子殿下と、その婚約者であるグラッチェス様、そして王太子殿下の専属護衛であり、平民のアインがいた。



あの私のカーティス様を誘惑しようとする平民女を庇った平民男だ。何をそんなに騒いでいるのかと、目を向けると、あの普段から仏頂面の男が笑っている!?それに、それが幼くて、可愛い……いや、相手は平民で……!


しかも、なでなでしている……のですわ!王太子殿下が笑顔で、平民男に!!



「破壊力抜群ですわ……」

「あんな表情、できたんですのね」

「可愛い……可愛いですわ!!」

「猫みたいですわ……。ああ、なでなでしたい……」

「殿下の表情も、普段より柔らかで!!それを見つめるグラッチェス様も素敵……!」

「ああ、もう……限界ですわ………」

「ガブリエル様!!」

あまりの眼福さに、私はとうとう気絶してしまった。

目を覚ますと保健室におり、取り巻きたちが涙目だった。ちょっとすまない気持ちが湧いたが、その日、私たちはそろって平民男――アインに恋をしてしまったのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ