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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第四章 不穏な秘密
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平和のために戦う

「はい、そこ。隙だらけ」

「ぐわあっ……!」

ラファエルの足を難なく払う。すると背後に殺気。


「着眼点はいいけれど、殺気は抑えて。それと、それは隙じゃないよ」

「うっ……!」

「ガッ……!」

ウルガの首をひっつかみ、ラファエルに投げつける。


「今まで何をしていたの。これ、僕が軍人だから、という訳じゃないからね」

「オレはうまレたバかりダ」

「俺だって、ほとんど戦闘経験が……」

「そんな言葉で誤魔化せる訳ないでしょ。僕と君たち、元々のスペックは大差ないでしょ。流石にウルガは混血な分劣るし、僕も血が濃いから少し高いけれど」

「そんなの信じられっか!!」

「うソ」

種族的に、吸血鬼はあまり体術が得意ではない。龍人はかなり得意な種族で、天使は普通。その差もあるのに、簡単に体術で圧倒できるのはどうかと。



「全く見えなかったんですけど」

「ラファエルに対して、俺TUEEEやってて裏山だったけど、あんだけ圧倒されてんの見るとな……」

「「「「うんうん」」」」



「ほら、さっさと彼岸の力を使いなよ。衝動も抑えてあげるから」

「しョうどうナシデかツ!!」

「変な意地張らないで。どうせ無理だから」

「ムカつく!!!」

「そもそも、戦い方が丁寧すぎる。なんで攻撃を避けるの?」

「いや、死ぬだろ!!」

「なら心臓とばしてあげる」

「「こわっ!!!」」

2人で必死に僕から逃げようとするが、そんな鈍い動きじゃ僕からは逃げれない。


「ダークボール」

僕は闇属性初級魔法を詠唱短縮で飛ばす。僕のそばに現れた真っ黒な弾は、的確に二人の心臓を貫く。そのまま二人はくずおれた。


「ほら、いつまでも寝てないで。彼岸なら、痛みになれる必要があるでしょ。吸血鬼じゃないんだから、心臓を治すくらい簡単でしょ」

「「「「「「「「スパルタすぎる!!!!!」」」」」」」」

「ほら、はやくして。次は首いくよ」

「う……」

「いタい……」

のろのろと起き上がってきた。


「痛みに耐えたら、大抵の格上とも渡り合えるから。――いくよ、シャドウカッター」

僕の足元から、刃が勢いよく飛んだ。そのまま首を切断する。


「頭を早くくっつけて。潰されたら、その分時間もかかるし、いいことないよ」

「え、これが彼岸の闘い方ってやつ??」

「というか心臓潰されてたんだよね?なんで無事なの??」

「こっわ……。俺、人間でよかった……」

「高みの見物すぎるだろ!!!!!!」

「観客は無視して。それとも――僕に勝てる見込みがあるとでも?」

「ある訳ないだろ!!」

ラファエルとウルガは何とか首を治したようだ。



「足は一瞬で生やして。ほら、慣れないと」

「ぐッ!!」

「腕も同じ。だけど、なくなるなら逆利き手の方がいいから、できればそっちで利き手を庇って」

「わっ!!」

「魔法も合間々々に打って間合いを取る。その隙に回復」

「は、はやっ」

「二人いる利点は何?どっちかが戦っている隙に、死角に入り込めるところでしょ?」

「む、むリ……!」

口では弱音を吐いているが、格段に動きはよくなっている。教えていることを、実践している証拠だ。

あとは、動いているから身体能力が上がっているのかもしれない。


容赦なく腹に一発ずつ沈めて、吹っ飛ばす。うん、立ち上がりも早い。



ラファエルは、本当に今まで碌に戦闘をしていなかったせいで、かなりひどい。


ウルガは、一応戦闘経験はそこそこ積んでいるから、まだまし、というところだろう。痛みも、ラファエルよりは耐えている印象だ。



だが、体力馬鹿(ラース兄さん)とも、魔法馬鹿(ミリア姉さん)とも、卑怯千万(ノア兄さん)のようなタイプとは戦ったこともないだろう。ああやって、能力でごり押ししてくるタイプじゃない限り、僕はまだ優しい方だ。



過去にラース兄さんに戦ったとき、ラース兄さんにナイフを突き立てたら、ナイフの方が負けたという意味が解らない結果になったこともあった。量産品の安物だったとはいえ。

あれが一番不条理を感じた。


ミリア姉さんにしたって、彼岸なのに魔法で負かされかける。これも、不条理。


ノア兄さんは、確実にこちらの行動を見てから、罠を置いている。それに、ノア兄さんの能力なら、地雷畑でタップダンスしても、無傷で潜り抜けることができる。地面に降り立った瞬間に足が凍り付くのはもはや当たり前、空中ですら注意を払わなければならない。


ラース兄さんのように罠を力業で何とかできない限り、ノア兄さんに勝つことは難しくなる。

僕だって、異能力と彼岸の力のごり押しで何とか勝った。



僕はその二つは使っていないから、まだ優しい方だ。



「きーちーくー!きーちーくー!」

「ヒドい!かクしたアイてニ……!」

「ほら、始めるのが遅かったんだから、ちょっと頑張ればすぐだから……」

「いつだよ、お前が始めたのは!!」

「3歳の時、初めて殺しをした」

「「エ」」

「だから大丈夫、二人とも、確実に昔よりは動きがいいから」

「……なんか、ごめん」

「?大丈夫だよ、僕の二つ名は、有名だから。調べようとすれば、簡単に出てくる」

心を殺して、淡々と対象の首を狩る。ついた二つ名が、”鮮血の死神”。


これは、僕の九星での”活躍”。その証。



「僕が九星の”鮮血の死神”という事くらい、調べがついてるでしょ?だから、遅かれ早かれすぐわかるよ、僕の最初の仕事」

「……オレ、とウさんにソンなはヤく、ひトヲころセっていワレたコとナカった」

「そもそも、俺は魔物以外、殺したことがない」

「ラファエルが普通だよ。九星が異常なだけ。散々戦場に駆り出されたからね、戦闘経験もあるし、死線を潜り抜けて今がある。やっぱり、平和が一番だよ」

「――そうだな。だからこそ、俺達は強くならなくちゃいけない」

「ナんだかワカなイけど、わかっタ。オレ、がんバる!!」

「じゃあもう一セット……」

「「それは遠慮する」」

それとこれとは話が違うみたいだ。

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