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必ず死ぬ君を救うには  作者: 七海飛鳥
第三章 すれ違い

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蹂躙無双

「ドラゴン……」

ドラゴンが一体。もしこれが、人為的に引き起こされているのなら、僕ならここでドラゴンを出さない。

なぜなら、これは切り札になるからだ。


でもここにいるという事は――。これは人為的に引き起こされていないか、複数ドラゴンがいるという事になる。


だが、魔障を集める魔法陣が発見された以上、人為的に引き起こされているのだろう。



あの魔法陣は、とても研究しつくされていた。

普通なら、魔障を集めたとて、魔物を召喚することはできない。誰も、魔障を操ることができないからだ。

だが、それが可能なら?そして僕は、それが可能だと踏んでいる。


だからこそ、ドラゴンが複数出てくる可能性があるのだ。


ドラゴンの出現とともに、ドラゴン以外の魔物の平均が上がっている。平気でキングブラックウルフや、アサルトホーク、ワイバーンまでが平気で出てくる。



ただ、ドラゴンが切り札なのだろう。まさか、九星がなかなかオケディアに全員揃わなかったのか。それも知らないのだろうか。

そんな高頻度で九星が出兵する戦場が起きてたまるか。


九星が出張る戦場が起こる前に、僕が事前に潰していた。それなのに、そんなに戦場がある訳がない。


だから、九星がいない理由は、戦場の帰りに魔物狩りをしていたからだ。その理由は――リズ姉さんに武器を作ってもらうため。



だから、ドラゴンが現れても、問題はない。

ただ――。



「ちょっと時間をかけている訳にもいかないから、これを使うね。それに、腕が鈍っちゃうのもいけないから」

僕は、腰に差していた刀を抜く。構えを取り、力を刀に注ぐ。こんな刀の使い方、これで二度目だ。


刀は冷たい冷気を帯びていく。それだけで、僕の立つ土が凍っていく。その氷に触れた雑魚が、凍り付き、ひび割れて、絶命していく。



吸血鬼の力は強力な上に、本能で使い方を知っている。異能力よりも、魔法よりも、剣術よりも、最も身近な力だ。

だからこそ、僕はつい吸血鬼の力に頼る。自分の血をまき散らすことで、そこら一体を操ることができる。声を聞かせるだけで、吸血鬼の力に耐性がない者を操ることができる。蝙蝠に関しては、四六時中使っている。

だからこそ、僕は定期的に血を吸っている。力を使う限り、衝動が溜まるから。



それが、一番の欠点でもある。衝動が溜まりすぎれば、それだけで使い物にならなくなる。

血を飲めば、それが一番の隙になる。


だから、一度は吸血鬼の力を使おうと思った。けれどやめた。



魔法は、吸血鬼の力程使い勝手はよくはない。これほどの規模なら、大規模な魔法でないと、正直、焼け石に水だ。

そして大規模な魔法は、それだけで魔力が一気に削られる。だからこそ、人間にはスタンピードの相手をすることができないと言われているのだ。


ただ、刀だけで全てを倒すのも時間がかかりすぎる。だから魔法を複数展開する。


元々この剣術は、そんな魔法使いに最適な剣術なのだ。



「寒月」

僕がそう呟きながら、ドラゴンに切りかかる。刀が凍り付き、周囲に広がる氷のスピードがあがる。体感の温度がぐっと下がる。今はまだ暑い筈なのに、口から漏れ出る息が白い。


ドラゴンにつけた微かな傷から、ドラゴンが凍り付いていく。ドラゴンの素材は、とても貴重で武器や防具にすると強力なものになる。だから、よく九星の餌食となっているのだ。

あまり傷をつけずにドラゴンを生け捕りにできてよかった。



「三日月」

刀から、三日月形の刃を飛ばし、近くの魔物を切り飛ばす。だが、それだけで死なないのは、魔物の強さがかなり強力になっているという証拠なのだろう。



また地を鳴らすような足音がした。そこに目を向けると、先程打ち取ったドラゴンより強いドラゴン。大きい体で、力も強そうだがその分鈍そうだ。


そう観察していたら、背後から風を切る音が聞こえてきた。それを目も向けずに避ける。

僕の後ろにいた魔物が揃って絶命する。この攻撃はワイバーンじゃない。


「二匹目」

小型ドラゴンだが、巨大ドラゴンより圧倒的に強い。それに、空を飛んでいるため、機動力が段違いだ。それに体が小さいため、攻撃を当てづらい。


だが――。


「そこにいたのはもう知っていたよ」

視界の隅にそいつを収めながら、魔法を展開する。光り輝く槍がドラゴンを突き刺そうとする。それを避けようとしたが、その先に僕がいた。


「空は君だけのものじゃない。僕だって、空を飛べるんだよ」

僕は蝙蝠の翼を大きく羽ばたかせながら、一気にドラゴンに肉薄した。


「十六夜」

ずっと懐にしまっていた小刀をドラゴンの心臓に突き刺した。小刀からどす黒いオーラが漏れ出る。ドラゴンを覆うように広がり、生命の輝きを吸い尽くす。


心臓を突き刺されながらも僕に対し、怒りが収まらないようで空気が震えるような咆哮をし、僕に攻撃したような魔法を使おうとする。

だが――。


「僕に攻撃したら、たぶん君に当たるよ?」

「グワアアアアアァァァァァァアアアアア!!!」

魔法は、僕にかすりもしなかった。それはそうだ。僕は背後から引っ付いている。この状況で、自分に当たらないように魔法を放つのは難しい。だからあえて魔法を外したのだろう。


「じゃあ、さようなら」

僕は小刀を捻りながら引き抜いた。ドラゴンは絶命したのか、そのまま地に落ちていった。僕は巨大なドラゴンが()()場所に目を向けた。そこには、大きな氷像が立っていた。

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