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07

「はぁ…はぁ…」

小さい頃のクロは病院へ運ばれていった。そこへライトが走って来た。

「クロ!どうして…」

見ると、全身ボロボロで見ているだけで辛かった。

すると、二人組が現れた。

「アラ、ライト。ナンデココニ?」

見ると、クロの親だった。

「お前たち!子供であるクロに何をしているんだ!」

ライトは怒った。

「何って躾に決まっているでしょう。クロは何をやっても遅い。勉強もろくにできない。マナーの覚えも悪い。だから躾しただけだ」

父親が話した。

「ふざけるな!あんたたちは、クロを殺す気か!」

怒りで震えた。

「ダッテ、ナンイモデキナイコイラナイ」

母親の方はふんぞり返っていた。

「あんたの方こそ何にもできてないだろ!いまだにカタコト語。恥ずかしくないのか!」

母親は顔を赤くした。

「イイデショ!ツウジテルンダシ!」

「でもさ、クロ…いるか?」

父親が母親にそう言った。

「エェ…ヒトリムスコ」

「でもさ、不出来な子を育てるのめんどくさくないか?俺たちのストレスが溜まるだけだぜ。いっそクロを手放して、俺ら夫婦で過ごそうぜ?」

母親は考えた。

「ソレモイイワネ。テコトデ、ライト。ソノコホシイナラアゲルワ」

そう言うと、夫婦で帰っていった。

「なんて奴らだ…」

すると、今までの話を聞いていたのかクロがライトに話しかけた。

「叔父さん…俺…どうなるの?」

ライトは優しくクロの頭を撫でた。

「クロは心配しなくていい。これからは一緒に生活していこうな」

クロはライトの表情を見て安心した。


目を覚ました。

「いつのまにか寝てたな…」

クロはため息を吐いた。

「あの時の記憶が鮮明に覚えてるって、俺…やばいな…」

すると、ウルフが入って来た。

「おはよう。よく眠れた?」

「気がついたら寝てたよ」

ウルフは持って来た道具をテーブルに置き、クロにメガネをかけてあげた。

「あの時の出来事が夢に出て来たよ」

「なんのこと?」

ウルフは椅子に座った。

「俺が、親に見捨てられたこと」

「あぁ。あれね」

「嫌だったけど学校もあったから親とは目を合わせずに、眠りに家に帰ってそれ以外は城でってな感じだったよな…」

「そうだったね。私と一緒に食べてたし。ほんとロクでもない親よね。あ、ガーゼ交換するよ?」

ウルフは綺麗なガーゼを取り出した。

「よくよく考えたら、あのころだったな。あの子に出会ったのは」

ウルフはクロの背中もガーゼを交換した。

「確かにそうよね。クロがたまたまここでお泊まりした時に、ライトさん赤ちゃん連れて来てたよね」

「懐かしいな…」

クロは窓を眺めていた。

「ちょっと腕と足動かすよ」

腕を上げてもらうと、かなり痛かった。

「うっ…」

「まぁ、背中痛めてるからね。響くと思うけど、頑張れ」

上げ下げを繰り返しただけで汗がすごかった。

「次足するよ」

足は特に痛くもなかった。

「腕だけか」

「でも、ここに来た時の怪我の方が酷いのに、普通に立ち上がって自主練してたもんね。あんた」

ウルフに睨まれた。

「は…はい。すみません…」

「ちょっと歩かない?」

「え?歩けれるか?」

「ヒビの部分は激しい動きしない限り悪化しないようにしてあるから」

ウルフに支えられながら、立ちあがろうとしたが、上半身が重すぎる。

「マジか…」

「寝たきりだったじゃない。しょうがないよ」

支えられながら少し歩いた。

「ぐぅ…」

「頑張れ」

少し歩いただけで息が切れた。ゆっくりとベットに座った。

「はぁ…」

「歩けたね」

「体が、重すぎる…」

ベットに横になった。

「クロ」

「なに?」

「クロが元気になったら、兵士たちと体育大会やるんだけど。クロももちろん参加よね?」

クロの顔を覗き込んだ。

「まぁ…はい。します」

「わかったわ。兵士たちに伝えるわ」

ウルフは持って来た道具を持ち、部屋を出た。

「いつ以来だ?体育大会なんて…?」

そう思いながら、強い睡魔に襲われ眠った。

それから数週間。クロは治療とリハビリに励んでいた。

「すごいわね…」

「きついぞ。でも、前より動けれるようにはなってるが…」

ベットに座った。まだ手の動きや足の動きがぎこちない。

「そういえば、体育大会するんだろ?」

「そうね…」

「じゃぁ、来週でどうだ?」

ウルフは驚いた。

「え!?」

「来週だ。競技は色々あるんだろ?」

「まぁ…」

「ちなみに、馬はあるか?」

クロはウルフを見た。

「あるわよ。兵士たちの所属部署からランダムでチーム分けされるから、騎馬部門は馬術で勝負するよ」

「じゃぁ、俺はそれに出るよ。この身体では、そこまでしかできない」

クロはボタンを外し、シャツを脱いだ。背中には、大きな傷跡が残った。

「傷跡…酷いわね…」

ウルフは言葉を詰まらせた。クロは鏡で自分の背中を見た。

「…でも、生きてるだけで俺はいい。叔父さんを死なせてしまった代償だと思えばいい」

またシャツを着た。

「よくよく考えたが…叔父さん。この城に戻ってこなかったな…」

「言われてみれば。でも、もしかしたらさ。ライトさん、好きな人のところへ行ったんじゃない?」

「それだといいな」

クロは部屋を出ようとした。

「そういえば。クロさ」

「なんだ?」

「ライトさんの部屋に、クロの荷物置いといたよ」

クロは驚いた。

「え!?」

「ライトさんの部屋は、今日からクロの部屋よ。兵士たちと話してたの。この城を守っていく者があの部屋にいるべき存在だって」

ウルフはクロの肩を押して、部屋を出てライトの部屋へ向かった。

「ちょっ…」

ライトの部屋に入ると、数名の兵士がいた。

「クロさま。お怪我は大丈夫でしょうか?」

一人がクロに話かけた。

「あ…あぁ。大丈夫…」

「それはよかったです」

クロは思い出した。この城に戻ってから兵士たちに声をかけていなかった事を。

「ウルフ。それと君達」

クロはウルフと兵士たちに話しかけた。

「大広間に皆を集めてくれ。この城に戻ってから、皆に声をかけていなかった。新しい兵士も入ってるんだろ?俺のことを知らない人もいる。だから、集めて欲しい」

兵士たちは笑顔で答えた。

「わかりました。至急集めます」

そう言うと、部屋を出ていった。

「クロ。私も声かけてくるね」

ウルフも部屋を出ていった。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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