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「クロー。入るよ」

ウルフが部屋に入ってきた。

「あぁ。忙しい」

「あんた…久しぶりに部屋汚くしてるわね…」

机の上が本と紙とノートでかちゃかちゃだった。

「何してるの?」

ウルフは不思議そうに眺めた。

「魔法の開発。いつか敵討がしたいから、戦法が多い方がいいだろ?」

「あまぁ、そうだね。クロは頭がいいから、すぐそういうのできそうだわ」

「いや、だいぶ悩んだよ。でも、叔父さんだったらすぐ作りそう。叔父さんが異次元に頭が良すぎるだけで…」

ウルフは笑った。

「それは確かに。ピースして出来たー!て言ってそう」

「だって、本読んだだけで頭に入って行くんだぜ?」

クロは伸びをし、メガネを外した。

「あぁ〜疲れた」

目をマッサージした。

「そりゃ、集中してたら疲れるよね。何か飲む?」

「あぁ。お茶を頼むよ」

ウルフはお茶を入れて持って来た。

「ありがとう」

クロはお茶を飲んだ。すると、窓から誰かが叩く音が聞こえた。

「ん?」

クロは窓をみると、カラスが止まっていた。カラスを部屋に入れると、カラスはクロの肩に乗った。

「どうした?」

カラスはクロの耳元でクチバシを動かした。

「…そうか。ありがとうな。だが、今の俺には何も出来ない」

カラスは澄んだ瞳でクロを見つめた。

「多分もっと増えると思う。また何かあったら言って欲しい。だけど、危ない時はすぐ逃げて」

クロはカラスにおやつを与えた。カラスはおやつを咥え、外に飛んでいった。

「なんだったの?」

ウルフは質問した。

「龍が一種族全滅した。はぁ…」

クロは深いため息を吐いた。

「叔父さんのやって来たことがどんどん消えて行く」

「クロは悪くない。悪いのはあいつらじゃん?今のクロは、強くなる事と城を守る事。そして、あの子たちの見守りでしょ?」

「見守りって言っても、カラスまかせじゃん。まぁ…今のあの子たちは俺たちのことは知らないし。その方がいいっちゃいいが…」

クロは俯いた。

「覚えているかな…あの時の事を」

クロはあの子と公園にいた事を思い出した。

「あの時?」

ウルフは首を傾げた。

「いや。なんでもない。でも、あの子たちももう一年ほどで高校生。人間で言ったらまだ子供だが、龍だと大人。早いよな」

「まぁそうよね。でも、クロも赤ちゃんの頃から見て来たけどもう大人じゃん」

よくよく考えると、ここ最近忙しくて自分の誕生日も忘れていた。

「あぁ…俺もう歳とったんか…」

「え!?あんたまだ二十一でしょ!?若いじゃん!年取ったな言う年齢じゃない」

「いやいや…」

「でもさ、クロとあの子がくっついたらを想像すると、いい感じになると思うんだけどな〜」

クロの顔が赤くなった。

「べ…別に…それに、あの子に好きな子ができてればそっち行くだろ?第一、年齢離れてるし」

「五〜六位離れてるでしょ?普通じゃない?それに、ライトさんも果たせなかった事できるのよ?」

ウルフはどこかノリノリだった。

「三日月龍最後の子だからな。でも、無理やりは俺は嫌だ。あの子が可哀想だし。俺は同意の上でやる主義なので」

「まぁ、クロは真面目だもんね」

クロは本を開いた。

「もうちょっと勉強したいから、出てってくれるか?」

「わかったわ。何かあったら言ってね」

ウルフは部屋を出た。

「…俺は、あの時からあの子に惚れているのか?あー今それどころはない!」

頭を掻きながらまた没頭した。

気がつくと、もう夜になっていた。

「あぁ…もうこんな時間か」

クロは立ち上がった。コップに残ってるお茶を飲み干し、片付けた。

「まだ時間がかかりそうだな…風呂入るか」

風呂にお湯を入れ、服を脱いだ。鏡に映った背中の傷跡が目に入った。

「…あぁ。あの子…この傷跡見たらどう思うかな…」

湯船に浸かり、のんびりとした。ふと、またあの子のことを思った。

「…元気かな」

そんな事を思っていると、罪悪感でいっぱいだった。

 あぁ!俺ったら!まだあいつはガキだぞ!なんでそんなこと考えてるんだ!?え!?俺どうした!?

頭を抱えながら後悔をしていた。さっさと風呂からでて、頭を洗い着替えた。キッチンに向かい、氷と魔法で酒瓶を出した。部屋を出て、ウルフの部屋をノックした。

「どうしたの?」

ウルフは扉を開けた。

「ちょっと酒に付き合え」

「はぁ!?」

ウルフの腕を引っ張り、部屋に戻った。

「クロどうしたの!?あなた酒飲めないでしょ!」

テーブルに置いてある氷が入ったグラスにクロは酒を注いだ。

「いいから!」

クロはグラスに入った酒をグイッと飲んだ。

「あぁ〜あ」

ウルフは呆れた。そのままクロの酒に付き合った。

「クロらしくないじゃん。あ、私も同じでいいや」

ウルフも自分のグラスに氷を入れて酒を入れた。

「あぁ。もう、なんかむしゃくしゃして」

また二杯目もグイッといった。

「グイッとする物じゃないんだけど…」

ウルフは横目で酒をちびちび飲んだ。

「俺って、やばすぎるだろ。ガキ好きなんだぜ?あの子の事、頭から離れられないんだぜ」

ウルフは昼の出来事の事なんだなと思った。

「いやいや。あんた今会ってないでしょ?付き纏ってるとかしてないでしょ?なんだったらこの世に行ってないじゃん。全部カラスが生存確認だけしてくれてるだけじゃん」

ウルフはクロを宥めた。

「だって…子供の頃から可愛い思っててさ。いつかさ、付き合えたら良いな思ってるよ。明楽さんからも守ってあげてって言われたし」

ウルフは頷いていた。

「でも、今の俺はさ、弱いじゃん。何もできないじゃん。なんだったら体に傷もあってさ。こんな男と付き合いたい思うか?」

またクロは酒を注いだ。

「クロは優しいじゃん。弱くないし、何がなんでも守ってくれそうだし。もうどうしたの?」

ウルフはクロの背中をなぜた。

「片想いしてるのかな…俺」

「多分そうじゃない?でも、それは良いんじゃないの?あの子と会う時には、立派になれば良いだけじゃない」

またクロはグイッと飲んだ。

「あ〜あ。あんたは酒の飲み方覚えた方がいいよ〜」

「あー!なんでまだ大人になってないあの子の事が頭から離れられないんだー!俺!ただのクソじゃん…」

あまりの変貌ぶりにウルフは苦笑いしていた。

「もう…お酒やめて寝な。あんたはずっと頑張ってるよ。ライトさん死んで情緒不安定になってたけど、なんとか乗り越えたし。体だって、鍛え直してるじゃん。普通だったら廃人よ。それに、ライトさんから言われてるんでしょ?あの子を頼むって。そりゃ〜頭から離れるわけないじゃん。守らないといけないんだから。それに、クロはあの子の事子供の頃から気に入ってたじゃん。好きになっても全然変じゃないよ。クロはロリコンでもない。普通の男だよ。ロリコンだったら、すぐ押しかけたりするからそんな事クロはしてないでしょ。大丈夫」

ウルフはクロの頭を撫で酒を飲んだ。

「私てっきり、クロには恋愛感情ないと思ってたもん。ライトさんが変態だったから、クロもそれ見て育ってたらマズイな思ってたよ。でも、クロは普通の理性のある男に育ってくれて良かったと思うよ」

クロの手からグラスを取った。

「俺は、ウルフに迷惑かけてばかりだな…」

ウルフはクロを抱きしめた。

「何言ってるの!あんたは私の弟みたいな存在よ。弟が困ってたら助けるのが姉の役割じゃない。気にしなくていいの。あんたはまだ生きているんだから。私みたいに死んだら何もできなくなるのよ」

クロは少し落ち着いて来た。

「ありがとう…ウルフ」

いつもはやらないが、ウルフの腕に抱きついた。

「クロ。あなたは大丈夫だから、これから強くなってあの子を守ろ?」

ウルフの言葉にクロは安心して眠くなった。

「あら、眠くなった?明日は二日酔いになると思うけど、頑張ってね。今日はゆっくりお休み」

クロはそのまま眠ってしまった。

「あ〜あ。椅子で寝ちゃったか…まいっか」

ウルフは毛布をクロにかけてあげ、部屋を出た。

翌日。猛烈な吐き気でクロは目覚めた。

「うっ!」

口を手で押さ、トイレへ駆け込んだ。間一髪間に合った。

「あぁ…これが…二日酔いってやつか…」

さらに頭痛も襲って来た。

「もう二度と酒に手は出せんな…うっ!」

またトイレで吐いた。

「もう吐くものがないのに…」

トイレで倒れてしまった。すると、ウルフが入って来た。

「おはよー。やっぱり二日酔いで死んでたー」

ウルフはコップに水を入れクロに渡した。

「はい。水飲んで」

「あ…あ…」

「二日酔いで死にません。グイッと飲むからでしょ!」

水を飲むとまた吐きそうになる。

「全部吐きなさい。じゃないと苦しいわよー」

ウルフにそう言われ、無理にでも吐いた。その間、ウルフはクロの背中をさすった。

「だ…だいぶ楽に…なった…」

「じゃぁ、今日はベットで休んでなさい」

クロはベットに倒れた。

「てか、自分の顔みた?初めてだと思うよ?そんな顔」

ウルフが鏡を見せてくれた。

「あ…死んでますね…」

そこには真っ青になっている自分。

「じゃ、ゆっくり休むのよ」

ウルフは部屋を出て行った。メガネを外し、クロは眠った。


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