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目が覚めると、朝になっていた。

「もう朝か…」

メガネをかけ、ゆっくりと体を起こした。

「…そういえば。ウルフはどうやって叔父さんの…」

そう思ったが、厩舎へ行く準備をし部屋を出た。朝の城は静かだ。ウルフの部屋の前を通ると、いびきが響いた。厩舎に着くと、朝の運動の準備を兵士たちがしていた。

「みんなおはよう」

クロの挨拶に皆が答えた。

「おはようございます」

厩舎の馬を見回り、ルナの前に立った。

「おはよう。ルナ」

ルナの額を優しく撫でた。

「おはようございます。クロさま」

若い兵士が声をかけた。

「おはよう。ルナ出していいか?」

「はい。もちろんです」

ルナに鞍をつけた。

「軽く運動してくるよ」

「わかりました」

ルナに跨り、馬場へ向かった。何頭かが運動を行っていた。クロはその一角でルナを軽く動かした。ほぐれて来た所で、若い兵士が馬場にやって来た。

「変わろうか?」

クロはルナから降りた。若い兵士はルナに跨り、ルナを動かした。その光景をクロは眺めていた。運動が終わり、洗い場にルナを繋いだ。

「お疲れ」

クロはルナの首に優しく愛撫した。鞍と頭絡を外すと、若い兵士はルナの体に水をかけた。

「いっぱい汗かいだね」

気持ちよさそうに水を浴びた。

「手入れ頼んでいいか?」

クロは支度をした。

「はい。大丈夫です。今日もありがとうございます」

クロは若い兵士に礼をし、厩舎を後にした。部屋に戻り、シャワーで汗を流した。服に着替え、椅子に座った。

「はぁ…」

昨日考えていた空間の資料やノートが机の上で散乱していた。すると、ウルフが入ってきた。

「クロ。おはよう」

「おはよう」

「朝ごはん食べた?」

「いや。まだだ」

クロは深くため息を吐いた。

「じゃぁ、私が作るわ」

「あぁ…頼む」

ウルフはキッチンでさっと朝食を作った。テーブルに朝食を並べると、クロもテーブルについた。

「ありがとう。いただきます」

クロは一口食べた。

「あんたも朝から元気ね」

ウルフはお茶を一口飲んだ。

「そういえばウルフ。聞きたいことがある」

「何?」

「叔父さん…の遺体を運んだって言ったよね」

「うん…」

「それ、どうやって行ったんだ?」

すると、ウルフは部屋を出た。少しするとまた部屋に戻った。

「クロはこの世との行き来に叔父さんから本を頂いたでしょ?」

「あぁ。今は図書室に保管してある」

「私はこれよ。ただ、一度っきりだからもう使えないの」

ウルフはクロに手帳を渡した。中を見ると、何も書かれていなかった。

「最初は呪文が書かれてたけど、失効してしまったのよ」

「なるほど。なんとなくわかった」

「ライトさんは、自分に万が一のことがあればこれで私を連れ帰って欲しい。この世に行くと、私の近くに着くだろう。ただし、一度しか使えないから大切にって言われて」

「そうだったんだ…」

ウルフは手帳を大事に持った。

「でもその一度が、ライトさんの遺体回収だったってわけ。なんか複雑よね」

ウルフは暗い顔をした。

「ウルフ。大切に使ってくれてありがとう。叔父さんを、ありがとう」

クロはウルフに礼を言った。

「ううん。これも私の使命だし、ライトさんを連れて来なかったら私も後悔するし、クロも壊れてしまう。これでよかった」

ウルフは笑顔になった。

「話してくれてありがとう。行こう思ったらいけるか…」

クロは考えた。

「まぁ、勉強もほどほどだよ。それか、ライトさんが書いた本とかみたら?」

そう言うと、ウルフは部屋を出た。

「あれか…」

クロは立ち上がり、部屋を出た。廊下を歩き、図書室に入った。

「さっき言ってた、ペイントの本は…」

広い図書室を歩いた。

「あった」

クロは一冊の本を取った。図書室の椅子に座り、本をめくった。そこには、複雑な呪文とおじさんが書いたであろうアドバイスも書かれていた。

「はぁ…。少し複雑が入ってるな。叔父さんは簡単だよ〜言ってたが、意味がわからん。俺以上に頭いいからなんでも吸収する人なのかな」

クロはじっくりと本を読んだ。

「う〜ん」

唸りながらも、本に集中した。すると、図書室に入ってきたであろう兵士たちの声が聞こえた。

「ここが図書室よ。いろんな分野の本もあるからいい勉強になるよ」

「へぇ〜広いですね」

ふと、横を見るとクロの姿が目に入った。

「あ、クロさまだ」

その声にクロも答えた。

「ん?お疲れ様」

「お疲れ様です。クロさま」

兵士たちは礼をした。

「新人かい?」

「はい。生きていた時は学生向けの問題集を作っていました」

クロは驚いた。

「すごいね」

「いえいえ。でも、考えるの大変ですよ。難しすぎるとクレームが来ますし、簡単だと学習にならないし。そこの間が難しいんです。あまりにも難しい問題だったらヒント入れたりと、色々大変でした」

「なるほど」

兵士たちは礼をし、図書室を見回った。

「この本があるおかげで、俺はこの城を行き来出来る…」

クロはハッとした。

「あぁ…なるほど。一部を広げればいいのか」

本を捲るとライトのヒントが書かれていた。

“多分一部なんかやったらなんとかなるだろう”

「ヒントの書き方がわからないんだよ…でも、叔父さんも調べてたのかな。戦争のために。でも、兵士のことを思うと辞めた感じかな」

クロは本を持ち、図書室を出て部屋に戻った。椅子に座り、本とノートを出した。すると、ウルフが入ってきた。

「クロ〜。調べ物どう?」

「まぁ、なんとか解決しそうだ」

「そうなの?」

クロは頷いた。

「そもそも、俺はこの世とこの城を行き来出来るのはこの本があるから出来る。これ自体がペイント。もちろんもう一つの部屋にもペイントがある。ここはこの世じゃ無い。だから複雑な呪文でペイントを作っておかないといけない」

「ふむふむ」

「この世だけで簡潔ならペイントもいらない。俺らは魔法使い。瞬間移動じゃん?」

「まぁね」

「で、俺が今回調べているのが、この世にこの世界の兵士を連れていくだ」

「でも、それだと兵士たちはこの世に着くなり消えてしまう」

クロは頷いた。

「そこで、この城の土地の一部をこの世で空間魔法で一時出来に大きく広げる。空間内ならこの世界の土地に足がつければ多分消えないと思う」

「そんなことできるの?でも、私の時はそんなこと…」

ウルフは疑問だった。

「多分、条件をつけてたんだと思う。ウルフの場合は一度きりで、叔父さんに何かあった時用にだったからいけたと思う。でも、それを大勢には俺の力じゃ無理だ。色々調べたんだが、それが一番かなと。俺の力の範囲以内で出来る。それと、叔父さんがヒント書いてくれてた。だけど、叔父さんのヒント…わかりにくい」

ウルフに本を渡した。ウルフは首を傾げながらも本をめくった。

“ここの呪文は城へ行き来するために必要!忘れた時用に覚えておくこと!”

“ここの呪文いじったらなんかなるかな?”

“多分これこうしたらエヘヘなことなるんじゃ無いかな”

「…これ。ヒントじゃ無いよ」

ウルフは呆れてた。

「ヒント…と言うよりただのコメントじゃん。ライトさんらしい書き方っちゃ書き方だけど」

「俺、ヒントだと思ってたが」

「どこが…」

「まぁ、結果。なんとかなるだろうかな。もうちょっと空間の勉強がいるが…」

「まぁ、頑張れ」

ウルフは部屋を出た。

「調べ物すると、甘いものが食べたくなるな」

クロは立ち上がり、キッチンに向かった。鍋に大量の砂糖を入れた。水を少し加え火をつけた。

「久しぶりに作るな」

しばらく煮ると、沸騰してきた。大きいバットに煮詰めた物を開け、手袋をした。

フゥ…

手に息を吹きかけると、手が輝いた。煮詰めた物をゆっくりと練っていった。冷めてくると、棒状に仕上げた。

「さて、切るか」

棒状の物をクロは一口サイズに切っていった。クロはその一つを食べた。

「うん。おまじないが効いてて美味しい飴になった」

切った物を瓶に入れ蓋をした。

「結構出来たから、兵士にあげるか」

クロは部屋を出て、各部署の部屋に飴が入った瓶を置いていった。

「クロさま。お疲れ様です」

一人の兵士が声をかけた。

「お疲れ様。作りすぎたから、みんなに分けて」

「ありがとうございます」

兵士は礼を言った。全ての部署に配り終え、部屋に戻った。

「さて、もうシャワーして…いや。風呂に入るか」

湯船にお湯を張り、着替えを用意した。シャツを脱ぐと、鏡に背中の傷跡が映った。

「慣れないとな…」

そう思いながら、一人湯船に浸かった。

「はぁ〜気持ちいい」

髪をかき上げた。湯船にしばらく浸かり、頭と体を洗った。タオルで体を拭き着替えた。

「もう疲れたから寝ようかな」

窓を見ると、もう真っ暗だった。電気を消し、ベットに横になった。

「兵士たちを連れていっても、俺自身の戦闘力も弱いと意味ないし。隠し球等も考えた方がいいな」

そう思いながら、クロは眠った。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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