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「もう朝か…」

クロは目を覚まし、メガネをかけた。昨日いつベットに入ったのか覚えていなかった。

「昨日は楽しかったからな…」

ベットから出て水を飲んだ。

「さて、行くか」

指を鳴らすと、クロは消えた。


「いつ以来だろう」

そこは、クロのもう一つの部屋。城からかなり離れている。城とは違い木造の部屋だった。ベットルームにある丸い窓から太陽を見た。

「やっぱここは落ち着くな」

どこか心が癒された。ベットに大の字に横になった。

「そういえば、この部屋…いつ作ったっけ…」

クロは昔を思い出した。



クロが高校生の時。

「叔父さん。実は…欲しいものがあるんです」

城でクロはライトに話しかけていた。

「ん?なんだい。珍しいね」

ライトは椅子に座るように促した。

「実は…部屋が欲しいんです」

「部屋?城にならいくらでも…」

「いえ。自分一人だけの空間の部屋が欲しいんです」

「ほう」

ライトは少し考えていた。

「贅沢だと思ってるんですが…」

「いや。贅沢じゃないよ。私なんてアパート暮らししてたもん。一人暮らししたい年頃じゃ。んで…この世で部屋借りるか?」

「それも考えたんですが…」

そう言うと、クロはとあるデザインを出した。

「自分なりに考えた間取りです。電気がなくても部屋が明るい設計です」

あまりの出来栄えにライトは驚いた。

「クロは本当に何でもできるな。まぁ、いいんじゃないか?」

「で…ここで住みたいなと思って」

「ここ!?ここって灰色の世界か!?」

ライトはびっくりした。クロは小さく頷いた。

「何もない空間が好きで…」

「いやわかるが…あ、できなくはないぞ。それに。夜に灰色の世界の地面にいなければいいだけだ。扉だけ出しといて、部屋だけ別空間って感じで作れるぞ」

ふとライトは考えた。

「別に…こんな大きい城…作らな…」

「いやいや。俺は城も好きですよ。だけど、自立って言えばいいんですか。やってみたいなと思ってて」

「いいとおもうよ。クロも成長した証だ。やってみなさい」



「それで叔父さんと二人で作って、今に至るか…」

ゆっくりと体を起こし、キッチンに向かった。

「久しぶりに甘いものでも作るか」

色々な食材が書かれている本を取り出した。そこに手を当てると材料がでてきた。材料を揃え、数時間かけてクロは料理した。

「ふぅ。できた」

オーブンからタルトを出し、粗熱を取っていた。

「待ってる間に…」

クロは色々な果物を出した。包丁で器用にカットした。

「本当に、料理は俺のストレス解消だな」

そう思いながら何処か楽しんでした。タルトにフルーツやクリームをいれた。

「…うん。久しぶりだが、出来はいいな」

フルーツタルトが完成した。カットし、皿に乗せた。お茶を淹れてテーブルに置き、ゆっくりと座った。フルーツタルトを一口たべた。

「うん。うまい」

お茶を飲み、ほっと一息吐いた。

「落ち着くな。本当に、ここは俺の大事な場所だな」

また一口食べた。

「叔父さんと一緒に食べたかったな」

フルーツタルトを食べ終え、お茶を飲んだ。

「よし。片付けて本でも読もう」

食器を片付け、残ったフルーツタルトを冷蔵庫に入れた。本棚に入っている本を眺め、一冊を取った。

「今日は基礎でもやるか」

封印学部で学んでいた本を再度読んだ。所々訂正が書いてあった。

「懐かしいな。数学の教科書も、教科書自体が間違ってるのもあったし。これは…何で訂正したんだ?」

クロは一から読み直した。

「あぁ。ここのスペルが違ってたんだった。間違った通りに唱えたら、効力が弱くなるから訂正したんだった」

次のページを開くと、珍しく訂正がなかった。

「よし。探してみるか」

ノートを用意し、本当に訂正がないのかを探した。ひたすらノートに書き続け、気づけば夕方になっていた。

「うーん。やっぱ訂正はないかー」

ノート一冊分埋まってしまった。

「ふーん」

椅子にもたれた。

「久しぶりに頭使ったな。甘いもの食うか」

机に蝋燭を置き、火をつけた。冷蔵庫から残りのケーキを出した。

「うーん。全部行こうかな」

お茶を用意し、残りのケーキを食べた。

「贅沢だな。でも、いつ以来だ?」

お腹が空いていたのか、あっという間に食べ終わった。

「…まぁ、いっか」

お茶を飲み、一息した。

「さて、片付けてシャワー浴びるか」

食器を片付け、着替えを用意しシャワーを浴びた。

「…」

少し考え事をしたが、考えるのをやめ体を洗った。タオルで体を拭き、着替えた。

「ふぅ…」

ベットに座り、月を見た。

「今日は満月だな。きれいだな」

何も考えずにしばらく月を眺めた。

「さて、寝るか」

ベットに横になり、メガネを外した。そのままクロは眠ってしまった。


朝日がクロを照らした。

「もう…朝か」

メガネをかけた。ゆっくりと体を起こし、ベットから出た。

「気持ちのいい朝だな」

キッチンに向かい、フライパンを出した。火をつけ、油を入れた。卵とベーコンを取り出し、熱したフライパンに入れた。卵が半熟になったところで火を止め、さらに盛った。

「よし」

パンを出し、椅子に座った。

「いただきます」

パンを食べ、半熟の卵を割った。黄身をパンに塗り食べた。

「ほう。なかなかいけるじゃん」

朝食を終え、食器を洗った。

「さてと。今日は何しようかな」

体を伸ばした。外を見るとよく晴れていた。

「ウォーミングアップでもするか。だらけてたら体が重くなるし」

外に出て、軽く体をほぐした。

「ふぅ…」

魔法で丸太を数本だし、地面に適当に置いた。手甲鉤をはめ、目を瞑り意識を集中した。ふと目を見開き、一瞬にして全ての丸太を全て粉々になった。

「まだ動きが重いな…」

粉々になった丸太を片付け、また丸太を出し手甲鉤で切り刻んだ。それを何回かすると、手に血豆ができた。

「あぁ…本当に一から体を作っていかないとな」

部屋に戻り、手を綺麗に洗ってから血豆を潰した。シャワーで汗を流し、着替えてキッチンに向かった。

「さて、何か食べるか」

本をペラペラめくった。

「肉…食べるか」

ステーキ肉を出し、塩胡椒を振ってからフライパンで焼いた。

「いい音だ」

火を通し、包丁でスッと肉を切った。皿に盛り、テーブルに置いた。

「いただきます」

クロは肉を食べた。

「うん。いい火加減」

あっという間に食べ終え、食器を片付けた。ベットに横になった。

「もう夜か。一日があっという間だな」

窓から見える夜空を眺めた。

「この夜空を龍と一緒に飛びたいな」

ポロッとライダーになる憧れを夢見た。ライダーになるには、二つある。元々生まれた家系がライダー一族で、龍の繁殖にも力を入れており、お互いが赤ちゃんの頃から成長していく。もう一つは、野生の龍と信頼を築き上げ、ライダーとして契約を結ぶと言うものだ。

「といっても、俺みたいな奴がライダーは無理か。そもそも龍を見たことはあるが、日常では見ないしな」

深いため息を吐き、クロは眠った。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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