10
「はぁ…夕方の馬術練習に備えないと…」
クロはシャワーで汗を流しつつ、体を洗った。体を拭き、服に着替えた。
「さて。とりあえず」
部屋の本棚から、本を眺めた。
「やっぱ龍を勉強しないとな…」
そう言い、龍の骨格本をだした。ノートに丁寧にまとめ、勉強して行った。
「ただな…品種によって個体も変わるのが覚えきれないな。叔父さん…どうやって覚えたんだろう」
ふと外を見ると、夕焼けで辺りがオレンジ色になっていた。
「あぁ。もうそんな時間か。行くか…」
クロは部屋を出て、厩舎へ向かった。
「お疲れ様」
クロの呼びかけに、厩舎の皆が顔を上げた。
「お疲れ様です」
皆がクロに挨拶をした。
「ルナ。出せるか?」
クロは若い兵士に声をかけた。
「はい。もう来られると思ってたので、馬装準備終わっています」
「そうか。ありがとう」
そう言うと、ブーツに履き替え、ルナの手綱を引いた。
「今…馬場誰か使ってる?」
「いえ。今は誰も使ってないです」
「わかった」
そう言うと、ルナに跨った。
「そういえばルナ。体育大会でやる曲を決めたよ。お前も聞いたことがある曲だ。お互い頑張ろうな」
ルナの首を愛撫した。軽くルナを動かし、馬場の練習をした。
「やばいな…俺の筋肉痛…」
痛みでぎこちないが、ルナがカバーしてくれた。
「ほんとお前はすごいな」
ルナの首を愛撫した。お互いに集中していたのか、汗がすごかった。
「はぁ…もうこんな時間か」
気がつくともうあたりは暗くなっていた。ルナを出入り口に連れて行くと、若い兵士が待っていた。
「お疲れ様です」
若い兵士はルナの手綱を受け取った。
「ありがとう」
ルナは洗い場に繋ぎ、若い兵士はルナの汗を流した。
「筋肉痛が、やばいわ」
ヘロヘロになりながら、クロは椅子に座った。
「でも、クロ様の乗り方とても綺麗ですよ?」
「いや。全部ルナがフォローしてくれてるからだ。ほんと、馬に助けられてるよ」
クロはブーツを脱いだ。
「毎日ルナの手入れ、ありがとうな」
「いえいえ。これが仕事ですし、この仕事が楽しいです」
「それはよかった。そう言ってくれると、俺も嬉しいよ」
クロは靴に履き替えた。
「じゃぁ、ルナを頼むな」
「はい!」
クロは厩舎を後にした。
部屋に戻り、ベットにダイブした。
「はぁ。弱いな…俺」
ゆっくりと体を起こし、しばらくぼーっとしていた。
「…」
またベットに横になり、メガネを外して眠った。
夢を見た。
「離せ…」
すると、クロの背後から剣を構えている者がいた。
「今まで調子乗った罰だ。死ぬ前に苦痛を味わえ!」
そこで悲鳴を上げ目が覚め、体を起こした。
「はぁ…はぁ…」
汗で服が濡れていた。
「チッ…」
ベットから出た。
「もう、寝れないや」
クロは手甲鉤を持ち、部屋を出た。夜中の城にクロの足音が響き渡った。稽古場へ着くと、丸太を準備し手甲鉤をはめた。
「…」
丸太を勢いよく切り裂いた。
「…」
動きが遅いことに苛立ちを覚えた。何度も丸太をおいては切り裂くをした。気がつくと、あたりは木屑でいっぱいになった。
「あぁ。もうこんなにやったんだ…」
汗と手から流れる血で床が濡れていた。
「片付けないと、怒られる…」
魔法で片付けをし、稽古場をきれいにして部屋に戻った。汗で濡れた服を脱ぎ、乾いた服に着替え外へ出た。
「もう朝方か」
厩舎へむかうと、兵士たちが作業をしていた。
「おはよう。みんな」
クロの声にみんなも挨拶をした。
「おはようございます」
口々に皆が挨拶をした。ルナの馬房に行くと、若い兵士がルナの馬房を綺麗にしていた。
「おはようございます」
「おはよう。ルナ出していいか?馬装と運動は俺がする」
「あ…わかりました。大丈夫です。気をつけて」
「ありがとう」
ルナを洗い場へ連れて行き、馬装を整えてルナに跨った。馬場につきルナを歩かせた。
「軽く運動してから練習するか」
ルナを進めたが何処かぎこちない。
「どうした?」
すると、ルナが立ち上がりクロを落とした。
「っ!」
放馬させまいと手綱を持つのに精一杯だった。地面に落ち、背中に痛みが走ったがなんとか起き上がった。
「ルナ…どうした」
しかしルナは放馬をせずクロに顔を近づけてきた。
「…お前は本当に俺に気持ちわかるよな」
ルナを撫でた。
「ごめんな。今は乗って欲しくないよな。気の迷ってるやつを乗せたら、嫌だもんな」
すると、遠くの方で声が聞こえた。
「クロさま!大丈夫ですか!?」
若い兵士が走って来た。
「あぁ。大丈夫だ。ルナからの説教をうけてた」
またルナに跨り、軽く運動だけすると若い兵士にルナの手綱を渡した。
「練習を頼んでいいか?」
「はい。もちろんです」
若い兵士がルナに跨り、馬場の練習をした。
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