01
「叔父さん!」
大声で叫び目を覚ますと、ベットに寝かされていた。ぼやけて何も見えず、汗も酷かった。
「うぐっ!」
次第に激痛が男を襲った。身体の中から焼かれてる感じだった。
「ぐっ!」
男は床に血を吐いた。そこへ誰かが入ってきた。
「ちょっと!大丈夫!?」
女の声が聞こえた。女は男の背中をさすろうとしたが、血が滲みさすれる状況ではなかった。
「大丈夫?クロ…」
男の名前はクロ・ルーマス。
「ウルフ…メガネ…」
そう小声で女に言うと、女はクロにメガネをかけてあげた。彼女の名前はウルフ・ブエナ。
「目が覚めたと思ったら…」
「俺は…どのくらい…」
ウルフを睨んだ。
「二週間寝込んでたわ。あなたが城の入り口に横たわってて、慌てて治療したわ」
ウルフは吐血を片付けた。クロはまだ呼吸が荒かった。さっきの吐血で無理に体を起こしたからか、また激痛が走った。
「うっ…」
歯を食いしばった。
「痛み止め打つから、ちょっと待っててね」
ウルフはクロに繋がれている点滴薬に痛み止めを注入した。しばらくすると、痛みは嘘のように消えた。
「クロ。傷口の包帯とガーゼ交換するけどいい?」
「あぁ…」
ウルフはクロの服を脱がし、体を横に向けさせた。ゆっくりと包帯とガーゼを剥がすと絶句した。
「…!?」
「どうした?俺…そんなに酷いのか?」
「大丈夫よ。私が治してあげる」
傷口を綺麗にし、ガーゼと包帯を巻いてあげた。横腹の銃弾の後も綺麗に手当てをした。またクロを仰向けにし、服を着せた。
「なぁ…ウルフ」
「なに?」
「叔父さんは…」
その質問にウルフは口を閉ざした。それを見たクロは激しくウルフに喰いかかった。
「叔父さんは!?生きているのか!?」
無理やり体を起こし、ウルフにつかみ掛かった。ウルフは涙を流し俯きながらポツリと答えた。
「死んだよ…」
その答えにクロは戸惑った。
「え…」
「死んだんだよ!戦争も…敗れた。ライトさんに何かあったら用にと一度だけ使えるこの世へ行けるペイントをライトさんから貰ったけど、あなたが倒れて治療に専念して、ひと段落してすぐ向かった。そしたら」
ウルフは涙が止まらなかった。
「相手群が、ライトさんの遺体を引きずって持ち帰ろうとしてたのよ!手柄って。で、それを阻止して奪い返した…」
クロは絶叫した。
「叔父さーーん!!」
クロは悔しさと自分の愚かさで、泣き崩れた。
「俺が…叔父さんの足を引っ張るから…」
「クロ…」
二人はその場で泣き晴らした。しばらくして、クロはウルフに声をかけた。
「叔父さんに、合わせてくれ」
「…わかったよ」
ウルフは車椅子を出し、ゆっくりとクロを座らせた。ウルフは車椅子を押し、城の地下にクロを連れていった。
「この部屋に…ライトさんがいるわ」
重い扉を開けると、石の祭壇に誰かが横たわっていた。頭までローブがかけられていた。クロはローブをめくった。
「叔父さん…」
祭壇で眠っていたのは、クロの叔父。ライト・ルーマスだった。
「ごめんなさーい!」
クロはライトに謝り倒した。
「クロ…」
ウルフもまた涙を流した。
どのくらい泣いたのだろうか。気がつくと、またベットに寝かされていた。クロは無気力だった。
「…」
殺風景な城の医務室。月明かりがクロを照らした。
「…うっ!」
また激痛に襲われた。痛みでのたうちまわってる時に、ベットから転げ落ちた。
「いっ!」
起きあがろうとしたが、腕と足に力が入らずうまく起き上がれない。
「いっそ殺してくれよ…」
すると、ウルフが入ってきた。
「クロ!」
ウルフが飛び込んでクロを起こした。
「ウルフ…」
「大丈夫よ。今は休もう。ね?」
ウルフはクロをベットに寝かせ、痛み止めを打った。
「もう遅いから寝なさい」
そう言い残すと、ウルフは部屋を出た。薬の副作用なのか、クロは眠った。
読んでいただきありがとうございます。
この作品は『大学生クロの物語』の続編です。
この作品はこの歳になって考えました。
『月に恋した男』『大学生クロの物語』は学生の頃に考えてた作品です。
仕事でなかなか投稿できないかもですが、お付き合いよろしくお願いします。