キャラメイク
扉を抜けると、あまりのまぶしさに目をつぶってしまった。
ゆっくり目を開けると、目の前に自分と同じ格好をした男がいた。
「うわっびっくりした。これは…僕か?」
『そうだよー。ここで自分のアバターを見ながらキャラメイクしてねー』
自分の目の前に自分がいる。ということに不思議がっていると、ミラ先生と同様に羽根と輪をつけた女の子が話しかけてきた。
『私は転生の神スーラ。スラちゃんって呼んで!わからないことがあったら自由に聞いて!』
この子はさっきのミラ先生と違ってとても明るく、小麦色の肌に赤色のショートヘア。
ミラ先生と比べるとものすごく子供っぽい。
しかし最近のAIはすごいな。本物の人と話している気分だ。
『まずは名前を設定してね!』
おお、名前か…うーん 本名が颯太だから、ソウ…はありきたりか。
うーん…颯の読み方を変えてハヤテでいいか。
『名前は後で申請すれば変えられるからね!じゃあ次は種族を選んでね!』
楓が言っていたが種族選択は結構大切なことらしい。なんでも種族によって変わる種族特性があり、取得できるスキルや、ステータスの伸びが変わるそうだ。
まぁ俺は無難に『人族』でいいか。と思っていると、『魔人族』という項目が目に入った。
「スラちゃん、魔人族ってどんな種族?」
『魔人族はですねー。人族 のステータスはバランスよく伸びていくけど 魔人族 はそれの1.5倍伸びるんですよ!ただ、防御力だけが全然伸びないって感じです!…ほかにも 魔人族 は入れない町があったりしますねーその逆もありますけど』
ほう…つまり人族のステータス全体のの平均が100だったら、魔人族は150になるのか。
「よし決めた、魔人族にしよう」
選択肢の中から魔人族を選択した。
僕のアバターの変化は少し耳がとがったかな?という程度であまり見た目に変化はない。
『次は初期スキルを選択してねー!』
なるほど初期スキルか。
今の僕のスキル欄には【マップ】【アイテムボックス】が表示されており、あと3つたくさん並ぶ選択肢の中からスキルを選ぶことができるようだ。
うーん。楓はとりあえず【鑑定】だけは取っとけって言ってたし、あと2つは何にしようかな…
お、【短剣術の心得】か。包丁の扱いには慣れてるし…これでいいかな。
あと1つは…ん?【目利き】?
「スラちゃん、これってどんなスキル?」
『この【目利き】スキルはですねー。【鑑定】と少し似ているんですけど、【鑑定】だけだと分からない鮮度とかがわかるよ!』
なるほど、【鑑定】スキルと組み合わせて使えばいいかもな。
よし、これにしよう。
すべてのスキルの選択が終わった。
今の俺のステータスは
■ハヤテ レベル1
【魔人族】
■種族特性
【早熟】
■称号
【初心者】
■スキル
【マップ】【アイテムボックス】【鑑定】レベル1
【短剣術の心得】レベル1【目利き】レベル1
■装備
・旅人の服
・旅人の靴
HP:150
MP:100
STR:120
AGI:115
DEF:70
と、こんな感じだ。
『じゃあ最後に武器を選択してね!【短剣術の心得】スキルを選択したきみは、短剣コーナーから探すのがおすすめだよ!』
「最後は武器か…おお、短剣だけでもこんなに種類があるのか。でも性能は変わらないんだな」
あまりピンとくる物がなくどうしようかと悩んでいた時、一振りの短剣?が目に留まった。
「ん?包丁があるじゃないか!」
それは【質素な包丁】という名前で、見た目は現実世界の牛刀包丁にそっくりである。
「料理人が包丁を武器に使うのはよくないけど、ほかにこれだと思うものがないしな…」
「よし、これにしよ」
色々考えたが、結局包丁を選択した。
『よし、決まったね!キャラメイクお疲れさまでした!では、あなた様を『ユートピア』の世界に送り届けます』
スラちゃんの雰囲気が変わった。
さっきまでの子供っぽい感じとは全然違う、神々しい雰囲気だ。
『これから世界に降り立つあなたに、幸多からんことを祈ります』
スラちゃん…いやスーラ様がそう言うと、ログインする時と同じように目の前が真っ白になり、僕は再び意識を手放した。
スキルの説明はこんな感じです。
【マップ】…自分から半径10㎞の地形を確認することができる。
【アイテムボックス】…物を収納することができ、時間を止めて保存ができる。しかし容量の上限がある。
【鑑定】…植物や動物などの名称を知ることができる。レベルが上がると情報量が増える。
【短剣術の心得】…初球の短剣スキルで、<連続切り>を使用できる。レベルが一定数上がると進化する。
【目利き】…ものの鮮度がわかる。レベルが上がると情報量が増える。
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