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僕はソファに座ってVRMMOについて調べていた。
ほう、脳に電気信号を送って意識と感覚を電脳世界にダイブさせるのか。
「お兄ちゃん、洗い物終わったよー。何見てるの?」
「いや、さっき楓が言ってたVRMMOを調べててな?」
「そうだ!本体注文しよ!スマホ貸して?公式の通販ページ開いてあげるから」
そういわれて楓にスマホを渡す。
「えーっとね…これ!このセット」
スマホの画面を指さされ、その商品ページを開く。
「おお、本体だけで70万って結構いい値段するんだな。ソフトと合わせて85万か」
「当たり前でしょ?最新のモデルなんだから。でもこれが一番いいんだよ、私もこれ使ってるし」
「まぁ金ならあるし、これくらいならいいか」
そう言ってスマホの注文ボタンを押した。
「やった。これで一緒にゲームができるね!」
そう言ってはしゃぐ楓だったが、
「なぁ、これっていつ届くんだ?明日とかだったら楓は学校だから、一緒にやるとしたら帰ってきてからになるぞ?」
それを聞いてさっきまではしゃいでいたのが噓のように静かになった。
「お兄ちゃん……空気…読もうよ…」
「いや、なんかすまん」
そうして久しぶりの休日は、楓とゲームが届いたらあれしよう・これしようと話しているうちに過ぎていった。
次の日の朝、楓を学校に送り出すために玄関に来ていた。
「忘れ物はないね?お弁当はカバンの中入ってるからあんまし揺らすなよ」
「わかったー。帰ってきたら絶対一緒にゲームやるからねお兄ちゃん!」
「わかったわかった。じゃあ行ってらっしゃい、気を付けてなー」
「うん、行ってきます」
楓を見送るとリビングに戻り、コーヒーを入れてソファに座ってテレビをつけた。
「こんなにゆっくり一人の時間を満喫するのはいつぶりだろう。」
洗い物などもないので、リビングでくちつろいでいたときに、インターホンが鳴った。
「おっ思ったより早かったな」
窓から外を見ると宅配便のトラックが止まっている
僕は年甲斐もなくウキウキしながら、玄関に行きドアを開けた。
「すいません、私『ユニバース』の者なのですが坂本颯太様でお間違いないでしょうか?」
『ユニバース』はゲームの会社で、VRの機材も、『ユートピア』もこの会社が開発・運営しているらしい。
「はいそうです。えっと、設置までお任せできるって見たんですけど」
「はい、大丈夫です。お任せください。では運び入れますが、設置場所は二階のご自身の部屋ということでご変更ありませんでしょうか?」
「はい、大丈夫です。お願いします」
業者さんはトラックから重そうな段ボールを二階の僕の部屋まで運び、
慣れた手つきで設置を終わらせて玄関に戻ってきた。
「では設置の方が完了いたしましたので、製品の説明をさせていただきます」
そう言って業者さんは電源つけ方や注意事項・保証期間などを丁寧に説明してくれた。
「……と、説明は以上になります。こちら保証書になりますので大切に保管してください。何かお困りの際は、こちらの説明書に記載されているコールセンターまでお願いします」
「はい、今日はありがとうございました」
「では、失礼いたします」
そう言って業者さんはトラックに戻っていった。
「さて、楓が帰ってくるまで時間はあるしな。楓と昨日話したキャラメイク?を先にやっちゃうか」
僕は楓に『ゲーム機届いたー』というメッセージを打ちながら階段を上り、自分の部屋に入った。
今までの自分の部屋にはベッドとローテーブルがあるだけだったが、新しくベッドの横にマッサージチェアのような大きめのソファが置かれている。
「おお、これがフルダイブチェアか。最新モデルなだけあって高級感あるな」
全体は黒色で統一されており、質感は革のような滑らかな感じだ。
「えっと確か座ってヘッドギアを装着して、あとは手すりにある電源ボタンを押せばいいだけだったよな?」
業者さんの説明を思い出しながらその通りに行動すると、寄り掛かっていた背もたれが倒れ始めた。
「おお、自動で倒れるのか。ダイブするっていうのは…どんな…か…んじ…」
そして頭に着けたヘッドギアに<ダイブを開始します>と表示され、僕は眠るように意識を手放した。
<同調を開始します>
<成功>
<生体認証を行います>
<完了>
<身長179cm、体重62kg、男性、健康体………………問題なし>
<感覚の共有を開始します>
<成功>
<これよりユートピアの世界に接続を開始します>
<成功>
<ようこそ、ユートピアの世界へ>
気が付くと真っ白い不思議な空間に立っていた。
「おぉ、ダイブするってこんな感じなのか。不思議な感覚だな」
この体が今ゲーム内での僕。「アバター」てやつなのか。
僕が感覚を確かめるために体を動かしていると、目の前にきれいな女の人が現れた。
『ユートピアの世界へようこそ!』
背には白い羽、頭には天使のようなわっかが浮かんでいて、紺色の長い髪を後ろで結び眼鏡をしている。なんか秘書みたいだ。
おぉ、これが楓の言ってたミラ先生か。
『私は契約の神ミラ。キャラメイクに進む前に、こちらの契約書にご記入をお願いいたします」
契約書?何を契約させられるんだ?と最初は不安だったが受け取った契約書を見てみると、自分のメールアドレス。名前。電話番号を記入するだけのようだ
すべての項目に記入し、契約書をミラ先生に返す。
『はい、確認いたしました。最後にこちらの個人情報は『ユニバース』によって厳重に管理されますので、ご安心ください。それではキャラメイクにお進みください』
ミラ先生はそう言うと、目の前に扉が現れ、ミラ先生は光の粒になって消えていった。
「この扉に入ればいいのかな?」
次のキャラメイクに進むために僕は重厚感のある扉を開け、中に入っていった。
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