花の数ほどⅡ
とある二人の会話の続き。
「でもさ、6年はねえだろ。」
「ごめん。」
「適当に言っただろ。」
「うん。」
「長めに言えばいいと思った?」
「・・・うん。」
「浅いな。」
「ごめん。」
「馬鹿だな。」
「はい。」
「俺のこと興味ないもんな。」
「それは違うって。」
「まあね。」
「え?」
「たしかにそれは違うよ。むぅはさ、俺だけじゃなくてさ、全部興味ないんだよ。」
「全部?」
「そう。自分の周りのこと、全部に対して、あんまり興味持ってねえんだよ。」
「そんなことないよ。」
「まあ、おまえはわかんないだろうけどさ。」
「なにそれ。」
「でもいいと思うよ。」
「そうなの?」
「そういう人もいるよ。だからいいんだよ。そういうことがあっても。」
「なんで?」
「出たナンデナンデ星人。」
「だってわかんないもん。」
「桜が綺麗だからってさ、コスモスがダメってわけじゃねえじゃん。」
「え?何?」
「花だよ。」
「うん。」
「世の中の花が全部桜だったら、嫌だろ?」
「うーん?」
「だって、桜だったら春にしか咲かないし、わざわざでっかい木を植えないと見れないし、花が小さすぎて花束とか作れねえじゃん。」
「ああ、そうだね。」
「な?だから、桜が咲いて、たんぽぽが咲いて、ひまわりが咲いて、百合が咲いて、コスモスが咲いて、椿が咲いて、それでいいんだよ。いろんなのが咲くからいいんだよ。」
「そっか。」
「うん。」
「だから、たーちゃんが、たかがクイズでブチギレちゃうのもそれでいいんだね。」
「は?」
「びっくりしたもんなあ。まさか、クイズに正解してもらえないからってあんなにキレるなんて。」
「・・・。」
「僕は僕でこれでいいし、たーちゃんはたーちゃんでそれでいいんだもんね。」
「・・・そうだな。」