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ワールド リンク ~天魔同盟学園~  作者: 勇雨
プロローグ
3/5

覚悟

「タウエルっ!」

リリエラは、突進する男性に叫ぶ。

「うかつだ!」


「恩寵具現! 来たれ、天の短槍!」

男性、タウエルは、リリエラの声を無視して、アルゴリオに向かい、駆けながら、言葉を紡いだ。

タウエルの呼び掛けに応じたのか、彼の右手が太陽光の色を発すると、2メートルくらいの槍が、彼の手に握られている。


タウエルは気合いをかけならが、槍をひと突き。

アルゴリオの左の胸板を貫くーーはずであった。


アルゴリオは、槍の穂先を寸前でかわす。

タウエルの槍がアルゴリオを襲う。アルゴリオが避けるーー


およそ、3秒。十手の打ち込みを、タウエルは繰り出したが、アルゴリオに、致命傷を与えることは出来なかった。


「今のうちに、サバイバー反応の確認を!」

タウエルは一団に叫ぶ。


「確認! 木陰に人間と動物反応あり!」

一団のメンバーひとりが緑色のサングラスに映る、勇磨と猫の姿を捉えた。と、


「ふん!」

アルゴリオが右腕を掲げた。


「!?」

一団のメンバー2名が、言葉にならない奇声を発し、炎に焼かれ、崩れ落ちる。


「くそーっ!!」

リリエラの碧眼に、闘争が浮かぶ。



「バレた!? おい、人間! 今から言う言葉を唱えよ!」

勇磨の頭で暴れる猫。猫の爪に悶え苦しむ勇磨は、

「痛みと混乱で、もう色々ダメですっ!」

目の前の惨状から、トンズラしようと、踵をかえそうとしたが、猫が勇磨の頭に噛みついた。


「バカもの! 逃げるなっ! 逃げられると思うな! バカ!」

「死ぬだろっ!確実に、死ぬ!」

「唱えよ! 大老の記録を! ヒストリアと!」

「えっ?? 大老の記録!」

「そこじゃない! ヒストリアじゃ! アホ!」

「ひ、ヒストリアー!!」


勇磨の両手が黄金色に光り輝くと、中空より、一冊の本が現れた。


「上出来じゃ! 人間! そなたの名を!」

「水空勇磨」

「よし、きた!」


勇磨は相変わらず訳が分からず混乱していたが、流れに身を任せた。


「今回はついておる! 相手の名前が知れておる。アルゴリオと言え!」

「アルゴリオ」

勇磨の言葉に、辞典のような本が反応し、勝手にページが捲れーー勇磨の目前に、テレビ画面のようなものが浮かび上がり、文字が表示された。


『個人名:アルゴリオ

種族:悪魔

悪魔族階級:子爵

属性:通常炎

来歴:地獄の第4階層より現出した、悪魔族の高位種。悪魔王のひとり、バアルとの決闘に敗れ、彼の者の軍門に下るーー以下、大老の記録保持者の能力不足により、エラー。エラー』


「……」

「よしっ! 次は人間の名を!」

「水空勇磨」


『個人名:水空勇磨

種族:???

属性:水、その他エラー。エラー。

情報取得不可能。エラー。エラー。』


「……」

「よ、良くないっ! これだけじゃと!?」

猫が暴れる。爪が食い込む。

「痛いっ! 何かよくわからないけど、どうするんだよっ!」

勇磨は猫を引き剥がそうと、その場で足踏み。と、

「ゆ、勇磨とやら! アレが見えるか?」

猫が指し示す地面に、水溜まりがあった。

「???」

いぶかしむ勇磨を無視して、猫が続ける。

「手を水にっ! はようせぬか!」

勇磨は猫の爪の痛みに耐えながら、水溜まりの前でしゃがみ、手を浸ける。

「唱えよ。生命の息吹、我が前に!」

「生命の息吹、我が前に!」


水溜まりから、水柱が立ち上がった。

「呼び掛けに応じた。我が名は蛟」

2メートル程の、蛇のようなモノが、勇磨たちの眼前に、姿を現す。ミズチと名乗るそれは、身体が液状ーー水で構成されていた。


「サバイバーとは、貴様らか?」


ふいに、勇磨たちの背後から、怒声を含む声色が聞こえる。


「!?」

勇磨は声のする方へ振り返り、恐怖した。


「あ、アルゴリオ……」

猫が唸りながら、アルゴリオの後方を見やると、リリエラとタウエルが、地面に倒れている。


「やるしかないぞ、人間。覚悟を決めろ」

猫は、震える勇磨に、呟いたーー


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