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ワールド リンク ~天魔同盟学園~  作者: 勇雨
プロローグ
1/5

日常の崩壊

『閃光により、全てが書き換えらえられる。だからこそ、我々はーー』


オーパーツ文書『老狼の報告 アース1』より、解読可能な一部より、抜粋。



(また同じ、1日かーー)

少年は、通学に利用している電車の車窓から見える風景を、ため息まじりに、見詰めていた。


少年ーー水空勇磨は、首都圏高校2年生。傍目から映る彼の印象は、中肉中背、整った顔立ち、涼しげにみえる目元。ミドルヘアーの黒髪の前髪は、毛先に向かい、銀色を帯びている。


勇磨は右耳に装着した、ワイヤレスイヤホンに軽く触れた。お気に入りのバンドミュージックでも聴き、眠気をぶっ飛ばそうとーー


『始まるーーきみはどうする?』


(え?)


ドラムのスネアから唐突に、激しく開始されるミュージックでは無く、聞き覚えのない、女の子の声が、脳を刺激する。と、


閃光ーー車窓の外を見詰めていた勇磨の網膜が、眩い光りに、焼かれる。勇磨は意識を手離したーー




「きろ……起きろ!」

勇磨は、おでこを連打する何かの感触と、老人の声に、意識を取り戻す。


(ん?夜空?)


勇磨は、朦朧とする意識のなか、瞳を開けた。夜空が見える。夜空? 通学途中ではなかったか? など、様々な思考がふいに込み上げた。


「やっと目覚めおったか、人間!」


勇磨は、仰向けに寝転がっていることに、気付き、上半身を起こし、声のする方へ視線を送る。


「猫?」


二足歩行で、短足の猫が一匹、勇磨をなじる。


(猫が二足歩行?しゃべってる? しかも何故か怒られてーー)


勇磨の脳は、目の前の現象を受け入れられず、再び意識を失いーーかけたが、猫の頭突きが、鼻っぱしらを直撃した。


「バカもの! 儂の話を聞け、人間!」

猫は再び勇磨の鼻っぱしらに頭突き。


「痛いっ! 止めてくれ! たんま、ストップ!」

勇磨は、両の腕を振り回し、猫の頭突きを止めようともがいた。


「解ればよい。それよりも、儂の話を聞け、人間」

猫は三度、頭突きの体勢をとっていたが、構えをとく。


「夢、じゃないんだな…… 」

勇磨は涙目で鼻をおさえながら、呟き、辺りを見渡す。


木々が淡く光を放ち、緩やかに吹く風に、強い土の匂い。


(森、なのか?)

見馴れない風景。電車に乗って、学校にーー


「混乱するのも無理はない……儂もじゃ」

猫が勇磨の気持ちを察したのか、言葉を放つ。


「それよりも、人間。話は後回しじゃ」

「はい?」

勇磨は訳がわからず問う。と、

「立て。物陰に隠れろ」

猫はそう言うと、勇磨の頭によじ登る。


「ちょ、ま、待って」

勇磨は頭皮に突き刺さる猫の爪に促され、立ち上がり、大きな樹木の陰へ歩む。


数瞬後、森の暗がりから、影が勇磨たちの方へ伸びて来る。


「あ、あれは何!?」「シッ、静かに」

勇磨の叫びを猫が制止する。


影の姿が淡く光る木々の間から、浮かび上がったーー

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