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今日から始まる学校改革 〜やっぱり人生楽しくなくっちゃ〜 

今日から始まる学校改革 〜やっぱり人生楽しくなくっちゃ〜 I

作者: 本の森の黒い薔薇

「ちょっと!お弁当持った?名札付けた?登校ルートは覚えてるの?!」

「もー…覚えたって!お弁当も持ったし名札もつけた。私よりお母さんがテンパってどーすんのよ。」

「だって…あなた明日から寮で生活するのよ?!お母さん心配で心配で…」

「大丈夫だって!いってきまーす!」

「んもー!いってらっしゃい!」


もう!お母さんは心配しすぎだよ!

そんなことを思っていたら、あっという間に学校に着いていた。


「やっぱりきれー……きゃっ」


新しい学校に見惚れていると誰かに当たってしまった。


「あ!すみません!」


どうやら私にぶつかったのはこの人のようだ。


「いえいえ!こちらこそすみません!わ、私転校生で、えっと、名前は天宮鳴神っていいます!えっと、えっと…」

「ふふっそんなに焦らなくていいよ。私は天音華鈴。華鈴って呼んでね。同い年だし敬語じゃなくていいよー。」

「えっと…じゃあ華鈴ちゃん。これからよろしくね!」

「こちらこそ!」

「あ、じゃあ職員室行かなきゃだからまたねー!」

「またね。」


そう言うと華鈴は静かに手を振った。


「じゃあ今日から新しい学校頑張ってな!何かあったらすぐに言ってくれ!」

「わかりました。よろしくおねがいします。」

「じゃあとりあえず教室へ行こうか。」

「はい。」


担任の先生の名前は永瀬龍樹。見た目も声もとりあえず体育会系のようだった。


2人で並んで廊下を歩いているとあることに気がついた。学校があまりにも静かすぎるのだ。隣の小川のせせらぎまではっきりと聞こえ、まるで誰もいないようだった。その様子に気づいた永瀬先生は


「ああ、今は集会があっているんだ。朝が嘘のように静かだろう。」


そう言って静かな空間を切り裂くような声で笑った。


しばらくすると学校内に笑い声が溢れ出した。集会が終わったらしい。


「さあ、ここが教室だ。とりあえず入れって言ったら入ってくれ。」

「あ、わかりました。」


正直とても緊張していた。

ガララッ


「ホームルーム始めるぞー。座れー。」


その一言で騒がしい教室内は一気に静かになった。


「今日は転校生が来るぞ。入れ。」


一瞬教室内がざわついた気がしたが気のせいだろうか。

そんなことを考えながらドアを開けた。


「桜坂高からきました。天宮鳴神です。よろしくお願いします!」

「みんな仲良くしてやれー。じゃあ鳴神。華鈴の隣に座ってくれるか?」


どうやら緊張で華鈴ちゃんがいることすら気づかなかったようだ。


「鳴神ちゃん同じクラスだったんだね!よろしく!」

「こちらこそ!」


とりあえず自己紹介は成功だ。

次の課題は休み時間だ。


「はい号令。」

「気をつけ。礼。」

「ありがとうございました。」

「解散!」


その瞬間静かだった教室内は一気に騒がしくなった。


「鳴神ちゃん…だっけ。私蒼維。蒼維でいいよ。よろしく!」

「よろしく蒼維!」


いかにもボーイッシュ系な女の子が話しかけてきた。華鈴の友達らしいが、見た目は正反対だ。新しい友達もできたし、休み時間の課題もクリアでいっか。


「じゃあとりあえず一時限移動教室だし移動しよっか。」


華鈴のひとことで私たち3人は動き出した。

一時限目は理科である。理科室に付き座っていると、明らかにクラスメートではない人が入ってきた。その途端みんなが慌てて立って挨拶しだした。どうやらこの人が理科の先生らしい。とりあえず私も挨拶しようかな。


「こんにちは!」

「はい、廊下に立ってなさい。反省文は 2枚ね。」


訳が分からなかった。

私はただ挨拶しただけなのに…

しばらく沈黙が続いた。


「ち、ちょっと待ってください!鳴神さんは今日この学校に転校してきたばかりで、ルールとかも何も知らなくて、次からちゃんとさせますので今日は見逃してやってください。」


静かな沈黙を破ったのは華鈴だった。


「そうです!転校初日の何も知らない状態でいきなり反省文とかあり得ません!」


かりんに続いて蒼維も声を荒げた。

それにしても先生も華鈴も蒼維もなにを言っているのだろうか。私は訳が分からないまま話を聞いていた。話を聞く限り、名前は本川という名前で、気性が荒く、挨拶が少し遅れて反省文…などは当たり前のようだ。華鈴と蒼維の説得でやっと先生が口を開いた。


「そうなんですか…。いきなり声を荒げてごめんなさい。でも次からはちゃんとするように。」

「はい!ありがとうございます!」

「よかったね」


華鈴が小声で囁いた。


「2人ともありがとー!」


私も小声で返した。

…と思ったのだが、先生に聞こえていたみたいだ。


「ちょっとそこ!うるさいわよ!」

「あ…」

「貴方たちまで話してどうするの?!もういいです!3人揃って外に出てなさい!反省文は5枚よ!!」

「はい…」


せっかく助けてもらったのに…

外に出てから私は言った。


「ごめん2人とも!!!せっかく助けてくれたのに!!」

「いやいやいーよいーよwそれに今回は私も一緒に話しちゃったし…ねっ蒼維!」

「そーだねwまあとりあえず暇いし反省文書こっか!」

「わかった!」


途中で私たちがいないことに気づいた先生の怒鳴り声が聞こえたが無視した。

その少し後チャイムがなった。

3人で力を合わせ書いた反省文を出し、謝った後2人にルールを説明してもらった。

ルールはとても細かく、先生が入ってきたら10秒以内に挨拶をしにいく。せんせいの機嫌を損ねた場合、反省文をその先生のいう枚数分書くこと。全ては先生がルール。など理不尽なものばかりだ。それにこの学校の違和感は気のせいだろうか…誰一人楽しそうに見えない。それもそうか。毎日毎日こんな理不尽な決まりに振り回されているのだから。


思えばこの時から私は心に決めたのだ。

全員は無理でも華鈴と蒼維の2人だけでも楽しい学校生活を送らせてあげたい。


やっぱり人生楽しくなくっちゃ。


ここまで読んでくださってありがとうございます!

誤字脱字などありましたら報告をおねがいします。

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