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異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~  作者: 九十九一
1-4.5章 依桜たちの(非)日常3

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145件目 依桜ちゃんの遊園地デート 上

 日曜日。


 ボクは、駅前に一人、立っていた。


 これから、ちょっとした用事……というか、遊びに行くところです。

 そして、今はその相手を待っているところ。


 そう言えば、ここで待つのはいいけど、どうにも見られているような……?


 も、もしかして、ボクの服装、おかしい?


 今日の服装は、リボンやフリルが所々にあしらわれた、水色の長袖ワンピースに、白のカーディガンを羽織っている。寒くなってきたこともあって、ワンピースは、膝よりも下の方までの長さがある。


 ……本当は、ズボンがよかったんだけど、


『だーめ! 依桜は可愛いんだから、スカートで行きなさい!』


 って、母さんに言われてしまい、この結果に。


 うーん、女装させられたこともあったせいで、スカートを穿いても違和感があんまりなかったんだよね……。

 そのせいで、問題なく穿けちゃうって言うのが、何とも皮肉な話だよ……。


 それはそれとして……変なところはないよね?

 でも、なぜか視線が多いし……どうしてだろう?


『あの娘、ちょっと前に騒ぎになった娘だよな?』

『うわ、マジだ。一人で誰かを待ってるみたいだけど……彼氏待ちか?』

『じゃね? チッ、その相手が羨ましいぜ』


 それにしても、もうそろそろ来てもおかしくないんだけど……。


「おーい、依桜―」


 と、ボクを呼ぶ声が聞こえてきた。

 やっと来たみたいだね。


「すまんすまん、ちょっとばかり寝坊しちまってな」

「いいよ。それじゃ、行こっか」

「おうよ!」


 今回、一緒に遊びに行くのは、態徒。


 ハロパが終わった翌日に、ボロボロだった態徒を見て、あまりにも可愛そうだったので、一緒に遊びに行こう、と言う約束をしていた。

 今日は、その約束を果たすために、遊びに行くことになった。


 と言っても、決まったのは、昨日だったりするんだけどね。


 ことの経緯は、昨日の学園見学会が終わった後のこと。



「はいこれ」


 と、アクシデントの後始末を終えた後、学園長先生に呼び出されて、学園長先生の所に行くと、唐突にチケットを渡された。


「えっと、これは?」

「遊園地のペアチケットよ」

「遊園地?」

「そ。最近新しい遊園地が近くにできたのよ。そこにちょっと出資していたら、向こうから貰ったの。でも、遊園地は柄じゃないし、それだったら有効活用してもらおう! というわけで、依桜君に上げようと思ったの」


 出資って……。いよいよ、謎が深まってきたよ、学園長先生。


「でも、いいんですか?」

「いいのいいの。言ったでしょ、ご褒美があるって」

「そう言えば……」


 たしかに、一昨日言っていた気がする。

 ご褒美も用意しておくから、って。


「それに、今回は無理を言った、って自覚があるしね。だから、受け取って」


 今回『は』なんだね……。

 今まで、結構ボクに対して無理を言ってる気がするんだけど……主に、異世界と学園行事関連で。

 もしかして、自覚なし……?


「わかりました。それじゃあ、ありがたくいただきますね」

「うんうん。素直でよろしい! それじゃ、誰か適当に誘って遊んできてね! 一応、同性同士でも問題ないから!」


 そう言い残して、学園長先生は去って行った。

 この後、師匠と飲み歩きだそうです。

 貰ったチケットを眺め、少し考える。


「ペアチケットとなると、一人しか誘えないわけだよね……」


 うーん、そうなると、誰と行こうか?

 今からだと中途半端になっちゃうし、どうせなら、一日遊びたいよね。


 どうもこのチケット、一日遊び放題みたいだし。


 いつものメンバーだと……たしか、日曜日はいつもバイト、って晶が言っていたし、女委はそろそろ原稿の準備が! って言っていた。


 そうなると、未果と態徒、ということになるんだけど……あ、そういえば。


「たしか、態徒と遊びに行く、って約束があったっけ」


 それに、約束したのは三週間くらい前で、それなりに時間が経っちゃってるし、忘れないうちに行こう。


 えーっと、電話電話……。

 スマホを取り出して、態徒に電話をかけると、二コールほどで通話に出た。


『もしもし、依桜か?』

「そうだよ」

『どうしたんだ? 晶はともかく、オレに電話かけてくるなんてよ?』

「ちょっとね。ねえ、態徒、明日って暇かな?」

『明日? ああ、暇だぞ。と言うか、オレは基本暇だぜ』


 ……それはちょっと悲しいような?


「そ、そうなんだ。えっとね、今日の見学会のお礼っていうことで、学園長先生から遊園地のペアチケットを貰ったんだけど、一緒に行かないかなーって」

『なぬ!? そ、それはつまり……デート、ってやつか!?』

「う、うーん、他の人から見たらそう、なんじゃないかな?」

『ぃよっしゃあああああああああ!』

「ひゃああ!?」


 いきなり大声を出すものだから、びっくりして悲鳴が出てしまった。


「い、いきなり大声を出さないでよぉ……」

『す、すまん。……だけどよ、なんでオレ? 未果とか晶とかもいただろ?』

「あれ? 覚えてない?」

『ん? なんかあったっけか?』

「ほら、十一月頭に、約束したでしょ? 遊びに行こうって」

『あ、あああ、したした! そういや、そんな約束してたなぁ。それでオレか』

「うん」

『了解了解! まあ、何はともあれ、美少女とデートできるんなら、40℃の熱が出ても行くぜ!』

「いや、その場合は休んで!」

『ハハハ! 冗談だ!』


 ……態徒の場合、全然冗談に聞こえない。不思議。


「それじゃあ、十時に駅前でいいかな?」

『おうよ! 楽しみにしてるぜ!』

「うん。それじゃあね」

『じゃあな』


 無事、約束を取り付けることに成功。

 ……まあ、態徒が断る可能性は低いと思ったけどね。態徒だもん。

 いくら、元男と言っても、今のボクは普通に女の子だからね。


「あ、そうだ。お弁当作っていこう」


 そんなことを考えながら、その日は家に帰った。



 ということがあって、こうして遊びに行くことになった、というわけです。


「それで、場所はどこなんだ?」

「えっと、最近出来たばっかりの遊園地だよ。たしか、『美ノ浜ランド』だったかな?」

「マジで最近の場所じゃん。よくそこのチケットがもらえたなぁ。たしか、アトラクションのクオリティが高いってことで、話題になってたよな?」

「そうなの? それなら、楽しみだね」

「だな!」


 態徒が言った情報を聞いて、楽しみになってきた。

 もともと楽しみだったけどね。遊園地に行くのも、かなり久しぶりだからね。

 ちょっとうきうきした気持ちで、ボクたちは遊園地に向かった。



 や、やべえ。やべえよ。

 まさか、依桜がデートに誘うなんてよ……つか、ち、ちけぇ!

 真隣にいるぞ、美少女が!


 現在、オレたちは電車に乗って移動中だ。


 日曜日ということもあって、電車内はそれなりに人がいたが、ぎゅうぎゅうというわけではなかった。全然余裕がある。


 そんな中、オレたちは電車の扉側を陣取って立っていた。


 すぐ隣には、超絶美少女の依桜(元男)が。

 今日の依桜は、ワンピースにカーディガン。……元男だと言うのに、何の違和感もなく着こなしているな。


 まあ、依桜は、中学生の時から女装とかさせられてたしなぁ。

 そのせいだろう。うん。

 今は、それのおかげで可愛い私服姿の依桜が見れてるしな! 当時、女装させた奴ら、ありがとう! 心の底から感謝するぜ!


 ……にしても、あれだだなぁ。


 ちょっと話題は変わるかもしれないが……オレと依桜の身長差は結構ある。

 オレの身長は、大体170後半。対し、依桜は150(一センチ伸びたと言っていた。めっちゃ喜んでた)。

 見てわかる通り、かなり差があるわけなんだが……まあ、何が言いたいかと言うとな。


(胸、めっちゃ見える!)


 ってことなわけだ。


 今日の依桜の服装はワンピースだとさっき言ったな? 何と言うかな……服の構造なのかは知らんけど、胸が見えてるんだよなぁ……地肌が。


 微妙に依桜のご立派なお胸様の谷間が、見えているんだよッ!


 うわぁ、マジか……まさか、生きているうちに、こんなに素晴らしい光景を見れるなんてなぁ……マジ、感無量。

 ……と、同時に、周囲から依桜への視線が集中しているな。


 正直、当事者じゃなくてもわかるレベルで、視線が注がれている。


 露骨に頬を赤らめている奴や、鼻の下を伸ばしている奴もいるからな。しかも、男。……ただただ気持ち悪いな。もしかして、オレもあんな感じだったり……?

 うっわ。今度から止めよう。


 しかしあれだなぁ。


 本当に、元男とは思えないくらい、可愛いよなぁ。実際のとこ、男の時ですら可愛いと言われていたような奴だもんな、依桜。


 性別を間違えてる、なんて思われるのはよくあることだったし。

 そんな奴が、実際に女子になると、こうもモテモテになるんだな。

 いやぁ、友達でよかったぜ。


 だからと言って、依桜が女子になってよかった、なんてほとんど思わないが。……ちょっとは思ってるがな。


 実際のとこ、依桜がこの姿になったのは、オレたちじゃ、想像の及ばないくらいの地獄を体験してるからだしな。そう簡単に喜べるような境遇じゃないからなぁ。


 まあ、女子になった、と言うのはちょっと羨ましいが……。


 にしても、依桜はこの視線に気づいてるのか? ……気付いてるんだろうなぁ。気付いていながら、その意味に気付いていないと見た。


 実際、疎いしな。恋愛事とか、性的なことに。


 思えば、男の時からそうだったっけなぁ。

 オレと依桜、晶の三人で遊んだときに、オレの秘蔵のエロ本を見た時とか、依桜は目を回して気絶してた。

 で、起きたら、そのことをさっぱり忘れてた。

 絵に描いたような初心だもんな、ピュアだもんなぁ。すげえよ、マジで。


『次は、美ノ浜ランド前―。美ノ浜ランド前―。お降りのお客様は、お忘れ物がないよう、お気を付けください』

「あ、そろそろだね」

「おう」


 依桜を眺めながら、考え事をしているだけでもう着いちまった。

 いやあ、依桜のご立派様は素晴らしいやな。


 ついつい考え事をしちまうぜ! え? 柄にもないって? ハハハ! オレだって考え事くらいする。


 と、駅に到着したようなので、オレたちは電車を降りた。



 美ノ浜ランド前に到着。


「わぁぁ~~~」


 美ノ浜ランド前に来ると、隣にいた依桜が目をキラキラと輝かせながら、感嘆の声を出していた。

 ……マジで可愛いなぁ。


 まあ、それはそれとして、たしかに楽しそうだ。


 外からでも、『キャー』という楽しそうな悲鳴が聞こえてくる。これはあれか、ジェットコースターとかか?


 そういや、オレも久しぶりだったっけな、遊園地に来るのは。

 依桜が目を輝かせるものもわかるぜ。


 と、一人うんうんと頷いていると、不意にオレの右腕がとても柔らかく、温かい、そんな幸せな感触に包まれた。


 ハッと右を見ると、そこにはオレの腕を掴んで谷間に持って行っている依桜の姿が!


「態徒、早く行こっ!」

「お、おう!」


 や、やっべええええええええ! マジ柔らけええええええ!


 なんだこれ!? おっぱいってこんなに柔らかかったのか!? しかも、すっげえ温かくて、めっちゃ幸せなんだが!


 つーかこれ、依桜無意識にやってるよな? そんなに楽しみか、遊園地。

 ……もしかしすると、三年間も殺伐とした世界にいたから、余計に楽しみなのかもな。


 ならば、


「よーし、今日は思う存分楽しもうぜ!」

「うんっ!」


 全力で楽しまないとな!


 依桜だって、娯楽に飢えてたかもしれないしよ。

 ……まあ、オレはすでに、右腕が幸せな状況なので、思い残すことはなかったりするんだがな!


 と、超楽しそうにしている依桜に腕を引かれながら、オレたちは遊園地に入っていった。



 ちなみにだが、依桜がオレの右腕を掴んだあたりから、周囲からの死線がすごいことになった、とだけ言っておこう。

 ふっ、この優越感!

 どうも、九十九一です。

 日常回なのに、一話完結の話がほとんどないという、今回の章。うーむ、やっぱり体育祭の反動があるかもなぁ……。

 えーっと、今回はちょっとお知らせが。

 4件目辺りで、性懲りもなく手元で作ってる作品を出す、と言っていたのですが、とりあえず一作品だけ出そうと思います。

 ただ、基本的なメインはこっちになりますので、頑張っても週一くらいになりそうですが。

 作品は今日の17時からになります。もしよろしければ、読んでいただけると嬉しいです。

 ……まあ、最近書かなくなっている恋愛系なんですけどね。

 さて、こっちはいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。

 では。

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― 新着の感想 ―
[一言] ・・・待ち合わせで女の子を待たせてはいかんやろ。まあ、それを直しても変態的生態をどうにかしないとモテないでしょうけどね。 ジェットコースターで悲鳴をあげ、腕に抱きついてくる依桜ちゃん・・・…
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