表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~  作者: 九十九一
1-4章 ちょっとおかしい体育祭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/563

109件目 借り物・借り人競争(態徒の場合)

※ 単純に投稿するボタンを押すのを忘れてました。すみませんでした。

「やあやあ、一位獲ったよ!」

「おかえり。そして、おめでとう」

「すげえな。オレたちが出た競技、今んとこ全部一位だぜ?」

「そう言えばそうね」


 態徒君が言う通り、わたしたちが出た競技って、全部一位なんだよね。

 晶君は、この次の競技の二人三脚が初だけど、態徒君とだしね。きっと勝てるさ!

 でもあれだね。一位を獲れるって言うのは、嬉しいことだね。


「それで? 女委も依桜を連れて行ってたみたいだけど、どんなお題だったの?」

「えっとね、『天然系エロ娘』」

「……そりゃまた、えらいもん引き当てたな」

「まあ、この会場内にいるとしたら……依桜くらいのものよね、そんな娘」

「でしょでしょ? それに、わたしはすっごく得したからね!」

「得? 何かいいことでもあったのか?」

「もっちろん!」

「女委がそこまで喜ぶとなると……エロ絡みかしら?」

「さすが未果ちゃん! 二人とも、こっち来て来て」


 この二人だったら、聞かせても問題ないよね! ということで、二人を近くに手招き。


「はい、じゃあこのイヤホンをどうぞ」


 近くに来た二人にワイヤレスイヤホンを手渡し、着けてもらう。


 ポケットから取り出しますは、さっきの超小型カメラ! それをわたしのスマホに接続! そしてそして、画面を点けて、先ほどの映像を再生!


『――ふふっ、私、あなたのこ・と・が……ぜーんぶ、だぁいすき、ですよ? その体も、心も、全部……ぜーんぶ……❤』

「「ぶはっ!」」


 するとどうでしょう! 未果ちゃんと態徒君が、鼻血を出したではありませんか!

 うん。だよね!


「な、なにこれ? なんで依桜が、こんなに似合わないこと言ってるの? ……いや、ある意味似合ってる、と言うか、似合いすぎてるけど」

「やべえ、依桜の奴、こんなエロいこと言えるのかよ……。しかも、表情とかマジやべえ」

「それがね、判定する先生が、なかなか信じてくれなかったんだよ。それで、依桜君にこのセリフを言って、って」

「……なるほど。依桜は純粋だから、何の疑いもなくやったのね。……にしても、すごいわね、これ。とてもピュアな娘ができるようなことじゃないわ」

「同感だ。……やっぱ、年上だからか?」


 まあ、依桜君の実年齢、十九歳だからね。

 年上の魅力、ってやつなのかな? あそこまで妖艶な雰囲気を出せるとは思わなかったけど。


「たしかにこれは、天然系エロ娘、ね。……でもこれ、元男なのよね」

「それを言ったらお終いだぞ、未果。……つか、依桜が『私』って言うのは、正直違和感ないな」

「依桜君、可愛いからねぇ。でも、やっぱり依桜君は『ボク』だよね」

「それはそうよ。昔からあの一人称だもの。むしろ、『俺』とか言ったら、ビビるわ」

「それは似合わないねぇ。依桜君、大人しいもん」


 まさに男の娘と呼べる存在な依桜君が、俺って言ったら、ちょっと戸惑うよ。

 最も似合わない一人称と言えるね。


「にしても、よく依桜にバレなかったな」

「たしかにそうね。私の時なんて、普通にバレたんだけど」

「事前情報があったからね! それに、わたしは未果ちゃんと晶君ほど、依桜君と一緒にいる期間が長いわけじゃないからね!」

「まあ、晶は九年で、私に至っては、十年以上の付き合いだもの。バレて当然ね」


 そうそう。


 わたしが依桜君と関わるようになったのって、中学の入学式の日だしね~。

 その時、同時に未果ちゃんたちとも仲良くなったのを覚えてるよ。


「ん? でもオレ、すぐにバレるんだけど」

「それは、態徒が馬鹿なだけよ」

「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは」

「でも、態徒君って、嘘を吐くの下手じゃん? いっつも、勝手に自爆してる気がするし、それに、表情にでやすいもん、態徒君」

「な、なん、だと……」


 ありゃ、気付いてなかったんだ。


 でも、実際そうだしなぁ。


 すぐに鼻の下は伸ばすし、嘘を吐く時、ものっすごい目が泳ぐし。ほかにも、誰でもわかるレベルで、声が震え、上ずるから、かなり分かりやすい。


 態徒君レベルだったら、誰でも嘘を見破れるんじゃないかな。


「まあでも、依桜君がそっち系の知識とかなかったできたゴリ押しであって、もしも知識があったら、絶対バレてたと思うけどねぇ」

「あー、それは確かにあるかも。ピュアすぎて、自分が言ったセリフが、周囲からどう捉えられてるかとか、分かってなさそうだもの」

「それはあるな。オレだって、依桜が性知識の『せ』の字すらないくらいのピュアな奴だと知ったのって、今朝だしな。普通に驚いたぞ」


 それはおそらく、あの更衣室にいた人たち、全員が思ったことだと思うよ。


 だって、子供を作るのに必要な行為は『キス』って言うんだもん。


 驚くなって言う方が無理な話だよね、あれ。


 同時に、あの場にいた人みんな、自分の心は汚れていると、若干落ち込んでたし。


 わたしは……全然落ち込んでいませんとも。

 エロい体系に、雰囲気を醸しだしてるのに、本人はかなりのピュア娘ちゃんなんだよ? 同人作家として、これ以上ないくらいの、逸材ですよ。


 もちろん、キャラクターのモデルとしてね!


「女委のお題もなかなか酷かったけど……さすがに、これ以上酷いお題はないでしょ。少なくとも、依桜を連れて行くようなお題はね」

「そうだといいね。さすがに、これ以上依桜君を動かすのも、ちょっと忍びないし……」

「次の二人三脚だけじゃなくて、初日の目玉である、美天杯もあるからな」

「そうね。できるだけ、体力を温存させておきたい……のだけど、依桜に限って、この程度で疲れることはないでしょうね。依桜の体力は、無尽蔵も言えるレベルだし」

「「たしかに」」


 言われてみればそうだね。


 ついつい、普通の人の感覚で話してたけど、依桜君ってかなり異常だからね。


 例えば、授業でやる1000メートル走(女子の場合。男子は1500メートルです)とか、平均的なスピードで本人は走ってたみたいだけど……依桜君、息切れ一つなかったもん。それどころか、汗もかいてなかった。

 その時点で、体力が無尽蔵と言える。


 前、依桜君に、最高時速ってどれくらいなの? って聞いたら、


『う~ん、身体強化を最大限かけたら、音速に届くか届かないかくらい、かな? 身体強化がなかったら、100キロくらい』


 って返ってきた。


 異世界帰りってすごいんだねぇ。


 乗り物のスピードを超えられるみたいだよ、依桜君。


 あと、マッハに届くか届かないかくらいって……それ、亜音速なんじゃ? と思って依桜君に言ったら、


『ボクはまだマシな方だよ。師匠なんて、ボクの十倍以上速いし……』


 って言われた。


 いやいや、ミオ先生って、本当に何者?


 前に、月を壊せるって言われたり、地球割りもできるんじゃないか、って言われたりしたけど……そこからさらに、異常な速さで走ることも追加されたと考えると……ミオ先生って、某暗殺漫画に出てくる、黄色い超生物以上なんじゃ?


 もしも、これが物語だったとして、ミオ先生って、相当ぶっ飛んだキャラになるよね? それも、よくいる最強系主人公よりも、圧倒的異常な性能を持ってることになるよね?


 どんなに強い、無双系主人公でも、生身で音速以上のスピードで走る人とかはみたことないねぇ。


 どれほどミオ先生が異常なのかがわかる話だったよ。


 いやぁ、そんな人の弟子をしてたなんて、依桜君もすごいねぇ。



 色々と未果たちと話していると、


「では、8レース目に走る選手は、準備をしてください」


 オレの出番となった。


「おし、じゃあ行ってくるぜ」

「がんばってね。当然、一位を目指すのよ?」

「もちろんだぜ!」

「いいお題が引けるといいね!」

「おう! オレだって、二人みたいな奴を狙ってくるぞ! じゃ!」


 そう言って、オレはスタート地点に向かい、スタートを待つ。


 両サイドを見れば、いかにも運動部ですよ! って奴が、東軍に何人かいた。


 しかも、大会で好成績を残している奴も混じっている。

 すごいな。出場制限があるのに、こんな競技に出るとか……頭悪いのか、東軍。


「それでは、位置についてー。よーい……」


 パァン!


 最早、何かを稼いでいるんじゃないかと思えるような、お決まりのセリフと音で、一斉にダッシュ!


 目指すは当然、50メートル先にあるお題が書かれた紙が入っている箱!


 幸い、オレは運動だけはある程度得意だったので、割と高順位で走れていた。


 オレより前にいるのは二人。どちらも、西軍だった。

 味方が先頭だから、安心だ。


 そんなことを考えつつ、オレも箱のところに到着。


「よーし、オレだって、いいもの引くぜ!」


 そう意気込みながら、箱に手を突っ込む。


 かなりの数の紙が入っているのがわかる。これ、一体何枚入ってるんだ?


 ふーむ、これだけあると迷うが……ずっとここにいたら、後ろの奴らに追いつかれるな。それは困る。


 よし、決めたぞ! これだ!

 悩んだ末、一枚の紙を取り出し、開く。


 そこには、


『同性愛者』


 ……馬鹿にしてんのか、このお題。


 よりにもよって、なかなかいないであろうお題を書きやがったよ。


 オレが期待したのは、未果とか女委が引き当てたような奴なんだよッ!


 そうすればよ、それを口実に、女子と手を繋げたかもしれないってのに……なんだこのお題!

 オレの夢を返せよ!


 そもそも、自分から進んで同性愛者だ、と言うような奴って、なかなかいないぞ!? どっちかと言えば、隠している人のほうが多い気がするんだが!


 にもかかわらず、お題にこれを入れる辺り……頭がおかしすぎる!


 つか、オレに頭がおかしいって言われたらお終いだろ! 自分で言ってて悲しくなるけども。


 ……いや、落ちつけ。落ち着くんだ、オレ。

 一応いるじゃないか、身近に。


「よし。行くか」


 そんなわけで、



「ついてきてくれ、依桜」


 オレは依桜のところに来ていた。


「え、えっと、またボク?」

「おうよ」

「……まあ、いいけど」

「よっしゃ! じゃあ行こうぜ!」


 了承を得られたんで、勢いで依桜の手を握る。


 や、柔らけえ!? それに、小さい! あったかい! すべすべ!


 じょ、女子の手って、こんなに素晴らしいものだったのか!


 くそぅ! 世の中のリア充共が羨ましいぞ、コンチクショ―!

 ……いや、逆に考えるんだ。依桜のような超美少女と手を繋げたんだ。そうそう訪れないラッキーだと!


 ……しかし柔らかいな。

 いつまでも握ってたくなる心地よさもあるし……恐るべし、依桜。


 っと、そんなことはどうでもいいか。

 傍から見ている奴は、オレがどうして、女委を選ばなかったのか、そう思っていることだろう!


 これにはちゃんと、訳があるのだよ!


 ……まあ、そこまで複雑なもんじゃないがな。


 簡単に言えば、依桜が恋愛した場合、どうあがいても、同性愛者で捉えることができるからな!


 だってよ、今の依桜が女子に対して、恋愛感情を持てば、何も知らない奴から見たら、それはどう見ても、同性愛になるわけだ。


 で、反対に男が好きになった場合、依桜が元男だと知っている奴らからすれば、それもそれで同性愛になるというわけだ!


 え? なんか過去にも似たような話を見たって? 気のせいだよ気のせい!

 仮にそうだったとして、その話をしたのはオレじゃない奴だしな!



 依桜の手の感触を楽しみつつ、ゴール地点へ。

 そうすると、未だに誰もいなかった。


 未果と女委の時もそうだったが、オレたちって、結構運がいいんじゃね?


 普通、こうも立て続けに一位を獲れるわけないしな。


 見れば、他の奴らはまだ走り回ってるしな!


 はっはっは! オレは依桜と言う名の、超美少女と手を繋ぎながら、ゴール地点まで来てやったぜ!


「お願いします」

「はい、確認しますね。えーっと……え、本当に、そうなの?」


 判定役の先生がお題の紙を見ると、驚愕しだした。


「ほんとっす」


 オレが断言すると、何度も紙と依桜の顔を交互に見続ける。


「えーっと、男女さんって、恋愛するなら、男の子と女の子、どっちがいい?」

「え? え、えーっと……す、好きになれたなら、どっちでもいいかなー、なんて……」

「……そ、そうですか。ご、ゴールして大丈夫ですよ」

「ありがとうございます!」


 お礼を言って、オレたちはゴールテープを切った。


『ゴール! 八レース目、最初にゴールしたのは、一年六組変之態徒君です! またしても、一年六組の選手が一位を獲得しました! そして、三度目も連れてこられている男女依桜さんと手を繋ぎながらのゴール! これは、会場内にいる人たちから大ブーイングの嵐です! 羨ましいぞこの野郎!』


 なんたる優越感!


 ハハハハハ! これが、友人の特権って奴なのだよ!


 ……っと、こんな馬鹿なことを考えてる場合じゃないな。うん。


「えっと、態徒はどんなお題を引いたの?」

「……気にするな!」

「……今の間が気になるんだけど……まあ、聞かないでおくよ」


 ん? 問い詰められなかったぞ?


 おかしいな。


 いつもの調子だったら、確実に聞かれると思ったんだが……まいいか!

 バレないならバレないで、それに越したことはないよな!


「それじゃあ、ボクはそろそろ着替えてこないといけないから、またね」

「おうよ! ありがとな!」

「うん。じゃあね」


 そう言って、依桜が更衣室の方へ向かって行った。


 ……にしても、あんなにエロい恰好してるのに……慣れたのか? あれ。


 いや、オレ的には眼福だし全然よかったけどな!


 至近距離で、依桜のおっぱいが揺れるのを見ることができたし!


 いやあ、友達でよかったぜ!


 ……まあ、会場からはものっそいブーイングされてるがな!



 この時、態徒が依桜を連れてきたことにより、なぜか女子からの告白が増えたそうだが……この時の依桜は、その理由を知る由もなかった。

 どうも、九十九一です。

 体育祭、あと何話続くんだろう……? ここまで長い体育祭を、見たことがあっただろうか。少なくとも、単行本で換算したら、すでに2冊分は超えてるんですよね、これ……。自分の文才のなさが憎い……!

 そう言えば、総合評価が1500Ptになってました。高いのか低いのかは分かりませんが、少なくとも、自分の今までの作品よりは、圧倒的に高いので、私はすごく嬉しいです。

 一応の目標は2000ですが、このまま順調にいけば、達成できるかなと思っています。

 ……まあ、結局話が面白くなくなったら、下がるだけですがね。

 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。

 では。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 依桜ちゃんの場合元の性が間違いで、今の姿が真の姿であるといった方がしっくりくるからなぁ。 ・・・そう来ましたか。確かに元男としては男性相手に恋愛なんて考えられないから、恋愛対象は女性になり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ