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私は元の世界にかえりたいんですけど!?  作者: 結汝
なぜ私なのか?・・・おうち帰りたァい
6/7

お城ひろすぎだろっ!

前回:泣きじゃくってお腹減った

涙で濡れた頬を拭いながら薄暗い部屋に目をこらす。たぶんあの辺に扉あったはず・・・・知らんけど

手探りで歩いて扉と思わしきドアノブを引いてみる。が、開かない…

引いて開かないなら押してみようって事で押したら開いた。よかったよかった。お腹減ったから無駄な力使いたくないんだよね〜

暗い部屋から廊下へ出ると廊下は明かりが灯っていて一瞬眩しかった。

どうやら明かりは松明とかじゃなくちゃんとした電気らしい。この世界が日本の技術にどれ程似ているか知っておくのは大切だ。だってスマホとかないだろうし、車もあるかわかんない。移動手段と働き口の種類なんかも知っておかなくては…

あ、ここの最低賃金ってどれくらいなんだろ?物の物価も把握しなきゃ詐欺とか絶対いいカモになっちゃうもん。

そんなことを考えながらとりあえず歩いてみたけど…


「ご飯ってどこで食べるんだ?」


ぐぅぅと腹の虫が鳴るが、私はご飯に無事ありつけるのか不安になった。だってどこにあるのか知らないんだもの。てかね、ここどこよ?

どうやら迷子??になりました。







「はぁぁ」

「殿下仕方ありませんよ。彼女は何も知らなかったんですから」


ロイドが紅茶の入ったカップを勧める。

それに口をつける気にはなれず、かの少女が泣いた光景が頭から離れない。

彼女はどう見ても自分より幼かった。幼いのに少し大人びていて、笑った顔が愛らしく思えた。そんな彼女は自分が元の世界に戻れないと知ると泣いたのだ。あたりまえだ。突如見知らぬ土地に連れてこられ、帰れないと言われたのだから。しかし…


「あの子は受け入れてくれますかね?」


ニルーゼは心配そうに言いつつもクルリとペンを回す。幼なじみだからこそ知っているがこいつがペン回しをする時はすこぶる興味が無いときだ。


「受け入れてくれなくても我々は彼女を守らねばならないことに変わりはない」

「文献にはあの子みたいに泣いたとしてもその記述は省かれて、能力や繁栄についてしか遺っていませんからね」


宰相の言葉を聞いて改めてふざけた文献だなと思う。

自分たちの私利私欲を書き連ね当人の意思や心境記述は一切ない。これでは我々が迷い人に寄り添うすべがないというのに…

ティーカップの中身を一気に仰ぎ、席を立つ。


「殿下、どちらへ?」

「散歩に行く。人はいらん」

「・・・御意」


1人執務室から出た後、足が向かうのはかの少女の部屋だった。





さっきからずっと歩いてるのにずぅぅと同じ道では?って思うぐらい景色が変わらねぇよ。

え、やっぱり迷子?

やだなぁ、20歳で迷子放送とか…

あ、そういや成人式とか予約したのもキャンセル料ってかかったっけ?

せっかくのイベントだしじいちゃんばあちゃんに孫孫の晴れ姿見せたかったのに・・・

まぁ向こうがこっちと同じ流れかすら分からないからなんとも言えないけど

1番嬉しいのはこれが全部夢であることだけど、腹のすき加減と歩くことへの疲労感と足の痛みがどう考えても夢じゃないと物語る。


「お腹減ったよぉぉ(泣)」


もう胃液上がりそうなんだけど

どこだよ食堂!!

はっ、まさか食堂なんてないのか?下働きもみんな個室で自炊とか??でも、それでも調理室はあるはず

王族が自炊とか聞いたことないし

いやでもここは異世界。私の常識がどれぐらい通用するんだ?分からねぇよ


「あ、あの…」


あぁぁぁぁぁぁぁ、幻聴まで聞こえるほど私はメンタル殺られたのか_:( _ ́ཫ`):_可哀想に自分

しかしこんなヤワなメンタルだったか不思議なんだけどな〜

金欠残金300円でなんとかなるよ!って精神で東京から地元まで飛行機で帰れるくらいには他力本願の親・友達に馬鹿にされても開き直るメンタル増殖スライムだったはずなんだけどね!!やっぱり異世界召喚で参るものがあったのか…

よかった(いや、良くはないけど)普通??な感覚が残ってて


「あ、あの!」

「ふぇ?」


幻聴だと思ってたらどうやら幻聴ではなかったらしい。

声のする方には初め目を覚ました時にいた女の子が立っていた。

相変わらずメイド服で私的にどストライクな美少女だな。てか、この国顔面偏差値高くない?私が酷く凡庸ありきたりさが滲み出ちゃうんだけど・・・

異世界は美形あるあるなんだろうか?あれは漫画や小説だから許されるって知ってる?そんなデフォがこの世界でも適応とかいうなら私は本気で隅っこ暮ししていたいんだが…


「あの、迷い人様はなぜこの様な場におられるのでしょうか?ここは下働きである私達しか普段使わない場所なのですが…」

「え?こんな豪華なのに?下働きだけなの??」

「は、はい」

「めっちゃ優雅やん」


女の子曰く、私が起きた部屋は王族の私室などがあるいわゆる本館。そして今私がいるのは西のはずれ=下働きのみなさんの私室や仕事場がある場所らしい。


「おひとりでこちらまでいらっしゃったのですか?」

「うん。お腹減ったからなんか食べ物ないかな〜って」


女の子は酷く青ざめてワタワタする。

それすらもかわいいんだけど天使かな?


「私共を呼んでくださればお部屋へお持ちしましたのに」

「でも、呼び方知らないし泣きすぎて頭痛かったから部屋に籠るよりは動きたかったから気にしない~気にしない~」

「では今からお部屋にお戻りください!すぐお持ち致しますので」

「いや、帰るよりこのまま食堂へ行った方が近くない?」


うぐっと女の子が押し黙る。それは恐らく肯定なのだろう。


「私が食堂に行っちゃダメな理由でもあるの?」

「・・・部屋から出たことを王子様方にお知らせしなくてはいけません」

「え、別に大丈夫じゃない?城の中にはいるんだし―」

「よくありません!!大問題しかないです!!」


おぉう。いきなり大きな声を出されてびっくりした。

女の子に目を向ければ綺麗な瞳に大粒を涙が溜まる。


「えぇぇぇ?!なか、泣かないで??美少女泣かすとか私にそんな趣味ないしこの場合どう考えても私が悪役になっちゃってるから!!ご、ごめんね?てか、美少女の涙を私なんかが拭って不敬罪にならないかわかんないから拭えないんだけどぉ?!!!と、とりあえずこれ使って!」


彼女に近寄りポケットから奇跡的に装備されていたハンカチを取り出し、差し出す。

彼女は驚いた顔をしたが素直にハンカチを受け取り涙を拭う。小さく「ありがとうございます」と言ってくれた。

いやむしろなんかごめんなさいだわ

彼女が泣き止むのを待ってから再度謝ろうとしたら―


キュゥゥウクルクルGuuuu~


「・・・」

「・・・」


心底空気を読まない腹の虫が盛大に鳴きました。

おかげで彼女は驚きで涙が止まったが、私は赤っ恥をかきました…

おのれ・・・我が腹め。なんと恨めしいことか

とりあえず、


「もう腹減りすぎだよ・・・」


授業中とかお腹減ったら胃液上がるのよくある案件

(全く良くない事案です)

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