腹が減っては戦ができぬ
前回:異世界にやってきたと知る
あぁぁぁぁぁぁぁぁァ
ありえないよぉ(泣)異世界って、異世界って…
だって、いや、うん。
思い出したわ。私は推しイベYes‼︎ランボで全力疾走する予定がスマホ忘れる痛恨のミスにより、学校に出戻りして歩きスマホしながらイベントログインしてた。そしたらなんか穴??に落ちて死んだと思ったら、天国見せられて再度落下
あぁオワタ( ´ ཫ ` )ってなったはず・・・
でも、生きてる。日本じゃないどっかで
「なんてこったい…」
「ア、アマネ様大丈夫ですか?」
緑と金髪が知らぬ間に膝から崩れ落ちた私に駆け寄り、肩に手を置かれる。
大丈夫なわけないだろ馬鹿野郎!!
推しイベ出来ないわ、異世界だわわけわかめもいいとこだぞ?!
ガシッと肩に置かれた手を掴み、相手に詰め寄る。(傍から見たら詰め寄るじゃなくて、恐喝?現場に近いかもだね)
「ここどこ?」
「―っ、こ、ここはゲナンチュア王国です」
詰め寄られた緑髪は何故か顔を紅くする。
が、今私はそれどころじゃないんだ。死活問題発生危機だかんな?
「日本じゃないの?」
「我々はニホン?という国は存じ上げません」
「なら、私はなんでここにいるの?!」
「ちょ、ちょっとま―」
「待てるわけないでしょ!こちとら推しイベがかかってんのよ?!早く帰ってイベント走らなきゃ!!」
「はいはいはいはい。ストーップ」
ピンク髪が私と緑髪の間に割って入り、緑髪は私から開放される。
貴様、今私は緑髪と話してたのに何さらしてくれとんじゃい(怒)
「あのな、別に割って入りたい訳じゃないが少し落ちてくださいよ。そんな詰め寄られたら答えれるもんも答えられないですから」
「・・・・・」
確かに。少し暴走していたかもしれない。
いやしかし、一刻も早くイベを走りたいんだ
「まず、貴女様は神の悪戯で異世界・・我々が住む世界とは違う場所からこちらにやってきた『迷い人』になります。こちらでは貴女様の様な『迷い人』が数百年に一度必ず訪れる決まりがあります」
そんな決まり今すぐなくなってしまえ
「それから・・・・」
そこでピンク髪が言い淀み、周りも口を閉ざす。
それからなんだよ・・・
言いたいことは最後まで言えよ。
「なんですか?ここが異世界。私は神の珍妙イベントに巻き込まれた被害者だって所まで分かりました。あとは何があるんですか?これ以上未知的力があるとか言われてもどうせ私にはないので帰らせてください。今すぐに」
だいたい異世界召喚者とか転生者あるあるだとすこぶる頭が良かったり、無駄に博識だったり、チート能力発現とかあるけど世の中そんなに上手くいくわけがない。上手くいくなら私は10連ガチャに苦しめられて課金しなくて済んだはずだ( ゜∀゜):∵グハッ!!
あの時の血のにじむ様なノグチグッバイは辛かったな〜。金欠が課金するとまじ血を吐きかねない
「・・・」
あれだけ言っても口を開かないピンク髪をじとぉぉと見つめる。
ピンク髪は目が合うと凄く驚いた後、申し訳なさそうに眉を下げる。
顔はいいだけに様になるなぁなんて考えた私だったが、次の言葉で固まった。
「・・貴女様は元の世界には戻れません」
「は?」
「『迷い人』が一度こちらに来ると元の世界には戻れないのです。今まで誰一人として戻った記録のある者はいません」
「・・・・・・うそ・・・・」
嘘。だって私まだイベント走ってないし、ストーリー読みきってないよ?そう言えば今日バイトだったしバイト無断欠勤にならない?え、給料まだ貰ってないんだけど…
しかも支払い出来てないよ?薄い本の(薄い本=二次創作本)え、支払い滞納とか嫌すぎる
ライブだって行きたいし、旅行だって友達と行く約束してたのに…
ふざけてるよ。あ、ちょ、ムリ
ポロッ
帰れないショックとイベを走れないこと、バイト、学校色んなことが一気に頭を巡り涙が床に落ちる。
涙は止めれそうにないし、ただ溢れるばかりだ。
まだ何にもしてないのに。
好きな様に生きてきて何にも返せてない。母さんと父さんに何もしてないし、最後の会話が「イッテキマンボゥ↑↑」とか嫌すぎる。
もっとなんかあっただろうに…
それから私はフラフラとベッドの横へ行き、ベッドへ座ってから枕を鷲掴みにして顔を覆って泣いた。
あまりのショックに頭いっぱいだし、正直カラフルな髪色どもに気を使う余裕などなかった。
父さんや母さんにもう会えない。友達にも会えない。バイト先には無断欠勤確実だし、給料貰えないし、もう帰れなかったら下手したら部屋のグッズが燃えるゴミに入れられるかもしれない。ナンテコトダ
あのグッズをメ〇カリまたは羅〇盤にでも売ってくれればそれなりの額(万は余裕)になるのに!!2人とも絶対捨てるよね?やめて?!私の努力
あ、スマホとかどうなったんだろ
データだけは残して欲しい。じゃなきゃ泣いちゃう
あの中には写真とかあるし…
「はぁぁぁぁぁぁなんで私なんよ〜(泣)」
グズグズ泣いていたらどうやら寝落ちしていたらしく、起きたら窓の外は真っ暗だった。
グゥゥ
「お腹減った」
どんなに悲しんでも腹が減るのは変わらないらしい
あー、泣きすぎて頭ぼーってするし疲れた。
なんだろ昨年のLIVEの時並に泣いた気がする。
しかしどんなに嘆いても帰れないし、なんの力もない自分はそれ相応の場所すなわち平民として働いて生きていかねばならない。
その為にも―
グゥゥゥゥゥ
とりあえず、腹が減っては戦は出来ぬだからご飯食べたいなー
LIVE行くと必ず泣いちゃうんですよね〜
推しみたらというか推しの声聞いたら泣く