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私は元の世界にかえりたいんですけど!?  作者: 結汝
なぜ私なのか?・・・おうち帰りたァい
4/7

名前が横文字すぎて・・

金髪男性によって手の甲にキスされフリーズ中

「・・・・・・・」


いきなり跪かれ、いきなり手を取られて手の甲にキスをされた。

これが金髪の長身イケメンとかじゃなくて見知った人間なら今すぐ恥も捨て去り吐き戻していたことだろう(確信)


「初めまして、お加減はいかがですか?」


目の前の男性の後ろに控えていた金髪が心配気に聞いてくる。


「あ、はい。ちょっと頭痛と怠けがありましたがさっき薬もらって飲んだんで大丈夫です……たぶん」


反射的に答えながらも頭の中はパニックだ。

ここ何処?これは何?今流行りのモニタ〇ングかな?それか新手のドッキリか

なんで私がターゲットなんだよ。もっと他にあっただろ。人選ミスもいいところだわ


「ご無事で何よりです、迷い人。私は第1皇子アスフィルア・デル・ゲナンチュア様の側近になりますロイド・ヘェステチィアと申します」


緑髪は私が大丈夫と分かると心底安心したかのように笑顔を向け、名前を名乗る。それよりも正直名前が横文字すぎてわかんないんですけど。緑髪―ロイド・・・なんだっけ?あと第1皇子も名前わかんない。

たぶん「ア」からはじまったはず(知らんけど)

よく噛まずに言えるな…見習うわそのコスプレイヤー魂


「俺は宰相補佐をやらせてもらってます。ニルーゼ・シフェルブで、こちらがー」

「ゲナンチュア王国の宰相を務めます、ムルカ・シフェルブと申します」


ピンク髪は宰相補佐らしいけどめっちゃフレンドリーだ!堅苦しくなくていいね!そういう方がまだ親近感湧く。頭ピンクなのがすっごい気になるけども

隣の赤髪が宰相さんらしい。この中じゃ1番年上でダンディみ溢れる。こういうのを色男って言うのだろうか?

てか、クオリティ高ぇなぁ


「ゼノン、そなたも名を申さぬか」


未だ跪いている第1王子が右後ろに控える同じ金髪くんに名前を催促する。

正直もう名乗らないで欲しい。私人の前名前覚えるの時間かかるから正直今言われても忘れちゃう。既にロイドさん?以外分からねぇ

これが推しだったら違う。高2の時に『敗北』の『北』が書けなくてみんなにめっちゃバカにされた甘音ちゃんですが、推しの名前だけは書けるようにすぐ覚える。そして一生忘れない。

いついかなる時も推しの名前で推しカプの婚姻届が書けるようにしなくてはならなかったし、サインだって覚えたさ!!もはや使命だからね(ただのヲタク論です)

はっとした金髪くんは私に視線を寄越す。じっと見られたので見つめ返していれば何故か目を逸らされた。とっても綺麗な空色だったのに少し残念だ

あれはカラコンじゃなくて地なんだと思う。ってことはハーフか!ハーフでコスプレイヤーとか神かよ!ぜひ他キャラのコスも見せて頂きたい


「申し遅れました。私はこの国の第2王子 ゼノン・デル・ゲナンチュアです。以後お見知り置きを」


よかったぁぁぁぁ!!!!3文字ならいけるぞ☆

金髪(後)がゼノン王子らしい。いやぁ、ありがとう3文字バンザイ!むしろ3文字すらギリだからな

甘音ちゃんを甘く見ちゃダメだぞ


「迷い人、貴女の名前を教えて頂けますか?」


第1王子に尋ねられてはじめて自分が名乗ってなかったことに気づく。

名前を教えて貰っといて名乗らないほど失礼に値することは無い。皆さんがあんな長い横文字噛まずに言えるんだから私も名乗らねば


「申し遅れました。わたしは緒澤甘音っていいます」

「オザワ、、、アマネ、、、変わった名と姓ですね」

「そうですか?甘音なんて変わった名前じゃないし、緒澤だっていっぱいいるでしょう??」

「「「「「!?」」」」」


みんなが私を見て驚いた顔をする。なんか言いました私?


「えっと、アマネが姓ではなく名なのですか?」

「?え、そうですよ。あと皆さん日本人ですよね?一応ヲタク魂として名前答えちゃいましたけど、皆さんの本名を教えて貰っていいですか?私本名名乗ったので」

「ニホンジン?えっとアマネ様、我々の名前は先程名乗りましたが」

「?さっきのは役名でしょ?」

「役名?」

「え?」

「え?」

『・・・・・・・・・・・』


あっれれ〜?なんでそんな変な目で見られてんの私

どんだけ役に忠実な方々よ


「あの、凄いコスプレではあると思うんですけど、もう充分なんで・・・」


早く名乗れよ…。そんなに嫌なの?本名名乗るの

どんだけだよ


「あ、あのコスプレ(?)とはなんのことでしょうか?」


ゼノン王子が本気で分からないと言った声音で話す。いやいやもう演技はご馳走なんだってば


「いやいやそれコスプレでしょ?だいたい緑髪とかピンク髪とかどう見たってウィッグじゃん」

「ウィッグ??」

「その服装もキャラの衣装でしょ?」

「衣装??」

「・・・そんななにそれみたいな目で見られても・・。だってここ日本ですよね?」

「ニホン??」

「・・・」


たら〜と背中に嫌な汗が伝う。おいおい何日本?って今どき外人だって日本=JAPANって伝わるよ

ウィッグって言うよりカツラって言った方がいいの?

ぐるぐる頭で考えるが向こうは何も話そうとせず困惑気味に互いに見やるだけだ。

そう言えばなんで私はそもそもベッドで寝てたんだろう。なんか大切なこと忘れてる気がすー

俯いていた顔を勢いよく上げるとベッドをゴロンと転がり、反対側から降りて窓に向かって駆ける。

窓へ走りよった勢いのまま手で押せば力任せに窓が開く。


窓の外には緑豊かな庭園と城壁、その向こうには数多の家が立ち並ぶ町が広がっていた。


ツキンッ


頭に鈍い痛みが走り、額を手で押えながら窓外の光景に愕然とする。いくら私が馬鹿でもわかる。ここは日本なんかじゃない。

それに、、、

私学校の階段踏み外して穴に落ちたのよ。

なのに生きてる。日本では無い見知らぬ土地で無事に生きてはいる。

だけどさ、異世界って…。


「マジか…」


ポツリと出た本音は風に乗って飛んでいってしまうのだった。

理想は異世界と知って→バタンキュー

甘音ちゃんの場合→「マジか」の3文字


理想と現実は厳しいね

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