歩きスマホは危険です
世の中にはいろいろと理不尽なこととかいっぱいあると思うんだ。
それはきっとみんな平等だと思う。むしろそうであれ
ならね、私は今思うことはひとつだよね‥‥なんで
「今なのォォォォォ!!!???!?!?!?!いいィィィィィィィやあぁぁぁァァァぁあ!!!!」
少し時間を巻き戻して
私こと緒澤甘音はつい2か月ほど前に20歳になったピチピチの女子大生である。
中高と勉強は明るくはなくむしろ学校の先生(英語と数学)に泣かれるぐらいの悲惨な点数を全力で取り組んで叩き出せるぐらいにクレイジーガールである(笑)
そんな私はセンター試験で英語17点、漢文7点とか笑っちゃうね(むしろ笑うほかないが)点数を4択でありながらとってしまい母を泣かせたのが2年も前の話だ。
懐かしいね
こんな私でも受け入れてくれた女子大に入学し、バイトと趣味の両立に勤しんだちょ~充実生活をエンジョイしている。
「も~なんで今日に限ってスマホを教室に置き忘れるのか…」
溜息をつきながらエレベーターに乗り込み5階を押す。
私はバイトを5つ掛け持ちしながら、趣味であるとあるスマホゲームに御執心中である。
いわゆる乙女ゲーというやつで今日から私の2推しのイベントが始まったのだ。
基本全キャラ大好き人間だが最推しから3推しまでのためなら課金だって厭わない精神でグッズやイベント、ライブに参戦している。
絶対運営側のいいカモだということは理解してるけどやめらんない
親に関してはもうあきらめているのかため息しかつかれないよ。
チラリと腕時計を確認すればイベ開始からすでに39分経過していた。
39分の間に私のランキングはどんどん下がって最悪ランボ(ランキングボーナス)に手が届かないではないか!くそめ
エレベーターからダッシュで教室に向かいスマホを回収し、アプリを連打して起動させながら階段へ向かう。
せっかく今日は1時間半バイトまで時間があり優雅にイベントに勤しむ手筈がスマホを忘れるとかいう重大なミスをしてしまったがゆえに計画が崩れまくりではないか。まぁ自業自得なんですけどね
階段を下りながらふと視線を上げ、窓の外を見やる。
5限も終わってしまいもう学内には生徒はほとんどいない時間
夕暮れに染まる景色を綺麗だと思うと同時にどこか怖いな~なんて思いながらスマホに目を落とし階段を下りていた。
「うっわ!もうこんなにランク下がってるしダイヤバンバン砕かなきゃ絶対完凸出来ないじゃん!」
ダイヤはガチャでも必要だからあんま砕きたくないのに~
しかし背に腹は代えられない。
この時私はいわゆる歩きスマホであった。みんなは歩きスマホをしちゃダメですよ。
なんでかって?
私はこの時スマホの画面とその画面越しの推しに意識が持っていかれていた。だからこそ足元がおろそかになっていた。まぁ、言い訳ですけど1年半以上通い続けた学校のいつもと何ら変わらない階段を下りるだけだと思ってたからね。
そんなまさか足元がいきなり階段じゃなくて真っ暗な穴になってるとか誰も思わないじゃん?
スマホ画面で私がダイヤを10個砕いたのと穴の中に私自身が落ちたのはほぼ同時だった。
「はっ?」
カクンと身体全体が予想だにしていない方向へ持っていかれ、続いて浮遊感に襲われる。
穴に落ちたと理解したのは突如襲われた浮遊感によって手からスマホが離れた後だった。
そうして冒頭へ戻る。
センター試験の英語とか悲惨すぎたよね…