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みんな同じ夢をみていた  作者: 海那 白
第1夢 序曲
9/40

第1夢 序曲9

「だあぁー、もー、やってらんねぇー!」


 四階に上がったとき、そんな叫び声が聞こえた。この声は二年三組の方からだ。


「だいたいよぉー、おかしいだろこの課題。もう華菜のやつ、一小説吹くごとにこの問題集の問題一問やれとか、本当頭おかしいっつの、あの、天然腹黒女っ」


 グチグチグチグチうるさいなぁ。もうちょっとは静かにしてくれ。

 ていうかなんでこいつ、部活の時間に勉強してんだ?

 ……いや、させられてるのか。

 とりあえず注意喚起しよう。

 

 そう思いつつ、俺が二年三組のドアを開けると、金髪サイドテールの少女が左手にアルトサックス、右手にシャープペンシルを持って、問題集が開かれた机に向かってた。

 彼女がこちらに気づいた。

「あ、先生。大丈夫っすかー」

「ああ。もう大丈夫だ」

「ところで先生、19×28って何ー?」

「532-。って、なんで俺に聞いてんだよっ」


 我ながらこの暗算能力、チートか。


「えだって、そこにいたから」


 そんな理由で……。


「ああ、そうそう。アタシは三年の楠 柚希だから。覚えとけよ、先生」

「あ、あぁ。覚えとくよ」


 偉そうだなー、こいつ。


「じゃあ先生、計算機になりたくなかったら出てって。集中できない。勉強の邪魔。……それと、さっきは教えてくれてありが……」

「?」

「なっ、なんでもないっ。さっさと出てって」

「はいはい」


 とんでもない性格の子だな。

 まあいいや。

 次は五階に行こう。

 もう少しマシな人と出会いたいなぁ。

 

 そう心の中で呟きつつ、俺は二年三組をあとにしてそそくさと五階へと向かった。

 でもあいつも、ちゃんとした吹奏楽部員なんだな……。

 それにしても、二年三組には、机というのセットが二五個あった。これだけしか生徒がいないのに、こんなにもの机と椅子、しかもご丁寧にその一つずつに誰かの名前が書いてあった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「ところで先生、19×28って何ー?」 「532-。って、なんで俺に聞いてんだよっ」  我ながらこの暗算能力、チートか。 まったくですね羨ましいっ!
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