第1夢 序曲7
校長先生だけでもいるだろう。
……いや、いてくれ!と思って三階にある校長室に行ってみたが、やっぱりいなかった。
本当に先生は俺だけなんだな。
その時だった。
後ろからにゅっと誰かさんの手が出てきたと思ったら、視界が塞がった。
……いや、後ろから出てきたその手に、意図的に塞がれていた、というのが適切だ。
「だーれだっ」
その証拠に、このかわいいポップな声でそう言われた。
でも、残念。
俺にはお前が誰なのか、全く分からない。
「誰?」
「桃ちゃんでしたーっ」
亜麻色のツインテールをゆらした子が俺の肩に自分の顔を乗せていた。
それに気づいた瞬間、俺は無意識に横に避けていた。
……ていうか、あれは近すぎる!
「あ、先生赤くなってるー!かわいー!」
無邪気だなー。
「桃……ちゃん?」
「はーいっ。みんな大好き国木田 桃ちゃんでーすっ。二年生でーすっ。よろしくねーっ、先生っ」
「あ、ああ……よろしく……」
あざといを超えてうざいな……この子。
「何、先生。もしかしてこの桃ちゃんに惚れちゃいましたか?」
「いやそれはない」
「またまたー、そんなこと言っちゃって。本当はこのかわいいかわいい桃ちゃんに釘付けなんでしょ?」
「いや、本当にないから」
「もーう、先生ひどいーっ」
付き合ってられん……。
「じゃあ桃ちゃんは練習に戻るねっ。ばいばーい、先生ーっ」
そう言って彼女はちょうどその先にあった教室へと入っていった。
そこには、一年六組と書かれていた。
こんなに生徒が少ないのに、なんで一学年で六組も必要なんだろうか。
少し歩くとわかるが、六組だけしかないというわけでもないく、しっかりと一組からあった。……本当、なんでなのだろうか。




