第1夢 序曲2
女子たちの声がした。だから俺は、条件反射的に目を開けた。たくさんの女子たちが、俺の顔を覗き込んでいた。
そのうちの一人が、「あ……」と言った直後だった。
「「「起きたー!」」」
女子たちが一斉に叫んだ。でも、何も思わない。
一人、隅の方で本を読んでいる男子がいた。彼はこちらに気付くと、少し微笑んで言った。
「あ、起きましたか。おはようございます」
彼はこっちに歩いてきた。
「立つことはできますか?」
俺は返事をする代わりに立ってみせる。
「では、一緒に来てください」
彼はそう言って俺の手を強引に掴み、ぐいぐいと引っ張りながらつかつかと歩いて行った。俺は彼に、その身を委ねた。
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彼は女子たちが見えないところへと俺を連れてくと、俺をそばにある壁に自分の手をつくことで逃げられないようにした。
そして一言、彼は俺に「すみません」と言ったと思うと、強引に自分の唇を俺の唇へと押し付けてきた。
でも、何も感じない。
だが、何かが流れ込んできているのは分かった。
そう知った次の瞬間、頭痛とともに俺の意識は途切れた。