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みんな同じ夢をみていた  作者: 海那 白
第1夢 序曲
10/40

第1夢 序曲10

 音楽室に行くついでに、そばにあった音楽準備室にも行ってみた。

 音楽の授業で使うCDとかより、管楽器や打楽器が占める割合の方が大きく、ほぼほぼ吹奏楽部の部室のようになっていた。

 そんな場所に一人、ロッカーの中をガサゴソガサゴソとかき回している茶色のミディアムの髪を左側でお団子にし、残りの髪を下ろしている少女がいた。

 少女の左胸には、ほかの子にはなかったエンブレムが付いていた。


「あ、先生、おはようございます。もう体調は大丈夫なんですか?」

「ああ、おはよ。もう大丈夫だ」

「ダメですよ、先生。私には敬語を使わないと」

「あ、ああ……はい。分かり、ました」


 ……なぜだ?


「あ、あと、華菜姉様にも敬語を使ってくださいね。……あ、もう華菜姉様には会いましたか?」

「い、いや……まだ、です」

「そうですか。先程のは目を瞑ってさしあげますが、今度からは気をつけてくださいね」

「は、はい」

「ああ。そういえば私、自己紹介をしていませんでしたね。私は一年の桜 聖菜です。今後共々よろしくお願い致します」

「ああ……。よろしく……お願い致します」


 苗字……桜って、この高校の名前と同じ……。

 何か関係があるのだろうか……。


「たぶん今、華菜姉様は屋上の方にいらっしゃると思うので、よかったら一緒に呼びに行きませんか?」

「い……いいです……よ?」


 まあ、そのさっきから何度も話に出てきている華菜ってやつが一体どんなやつなのか、少し気になるしな。


「それじゃあ一緒に行きましょう!」


 彼女はそう言ってすくっと立つと、俺の右手を強引に掴んで音楽準備室を後にして。


「……そういえばこの手、生徒会長さんともつないでましたよね?」

「……はい」


 そういえばそうだったなー……。


「許せませんね……。もう私以外と繋がないでくださいね」


 そう言ってにこっと笑った彼女は、俺の右手にキスをした。

 その時の彼女の笑みは、とても怖くて、正直ゾクッとした。

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