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いつかはバレると思ってはいたけど、案外早かったなぁ……。
まあ、YouTubeでもビフォーアフターを見せていたし、特に秘密にするつもりはなかったとはいえ、わざわざ自分から『整形級メイクしてます!』ってアピールする必要もないしね。
……にしても。あなた達、驚き過ぎじゃない?
心の中でツッコミを入れつつ、苦笑を浮かべた。
「驚かせてごめんなさいね。これが本当の私、水田麻里なの」
「もしかして、魔法ですか?」
「魔法じゃないわ、メイクよ」
「え? メイクであそこまで変われるんですか!?」
思わずといった風に尋ねたハンナにマリアが「ハンナ!」と責める。
「ああ、別に気にしなくていいわよ。メイクにも色々あってね、私がやってたのは『整形級メイク』っていうメイク方法なの」
「「「「セイケイ、キュウ?」」」」
「そっか、美容整形がまず分からないか……。ん〜、分かりやすく言うと『別人級メイク』って感じかしら? どうやるのかは口で説明するのは難しいから、後でメイクしながら教えるわ」
「教えて頂けるのですか?」
「ええ。いいわよ」
麻里の言葉に皆の顔がパッと明るくなる。
少しでも可愛く、少しでも綺麗になりたいと願う女の子なら、興味はあるよね。
この世界の化粧品でどこまで再現できるかは彼女達の腕次第ではあると思うけど、綺麗になるお手伝いが出来たなら私も嬉しい。
フェイシャルエステを終え、マニキュアの語源となったマヌスキュアを行う。
マヌスキュアとは手のケアを指しており、磨き上げには蜜蝋や油を研磨剤として使用し、自然なピンク色の光沢を出すようだ。
ネイルはまだこの世界に存在していないらしい。
そんなわけで残るはヘアメイクと地獄のコルセットだが、ここで一旦休憩して軽食をいただく。
「はぁ、この後夜会がなければ最高なんだけどなぁ」
思わず愚痴る麻里に、マリアがふふっと柔らかく笑って言った。
「王宮シェフ達が腕によりをかけたブッフェは素晴らしいですよ」
「ブッフェか……。それは少し楽しみかも」
マリアのお陰で少しだけモチベーションが上がる。
色とりどりのピンチョスやサンドイッチを食べ終え、次はいよいよメイクにとりかかるため、早速鏡台へ移動した。
「本当は、フェイシャルエステの後にはメイクしない方が良いんだけどね」
「え? そうなのですか?」
「肌を休ませることで、エステの効果が最大限に引き出せるの。だから夜会のためのフェイシャルエステをするなら前日が理想ね」
なるほど、とマリア達が頷く。
それを鏡越しに見ながらコットンで瞼の油分を拭き取り、布片面接着アイテープを貼れば、たちまち麻里の奥二重の目がクッキリ並行二重に。
「うふふ、ビックリした?」
マリア達は驚きに声も出せないのか、無言のままなかなかな勢いでコクコクと首を縦に振っている。
いたずらが上手くいった子どものように、ご機嫌に鼻歌を歌いながら化粧下地を塗っていくと、ハンナが「それは何ですか?」と尋ねてきた。
「これ? これは透明感をアップさせてくれる下地クリームよ」
「透明感……」
次にオレンジ色のコンシーラーで目の下のクマを隠していると、「それは何ですか?」と今度はジェーンが尋ねてくる。
「コンシーラーといって、肌のくすみやシミやそばかす、黒子なんかを隠してくれるのよ」
皆の目がキラキラと輝いているが、特にそばかすを気にしているらしいレイラの目は怖いほどだ。
続いてリキッドファンデーションを水を含ませ固く絞ったスポンジで頬、額に塗り、Tゾーンと目元、口元は薄く伸ばす。
聞かれる前にそれらの説明をしつつ、肌よりワントーン濃い色のコンシーラーとスリートーン明るいコンシーラーをポーチから取り出した。
濃い色のコンシーラーはシミや黒子を隠すため、明るい色のコンシーラーはハイライトに使用し、フェイスパウダーを乗せたらベースメイクは終了。
アイブロウ、アイシャドー、アイライナーの後はビューラーでまつ毛を持ち上げてからつけまつ毛をアイプチで付ける。
付属ののりは修正しにくく、アイプチは肌に優しく修正し易い。
安くて量もそれなりに入っているので、重宝している。
シェーディングパウダーとチーク、最後にリップを塗ってメイクは完了したけれど、次から次へと出てくるメイク道具にマリア達が目を丸くしていた。
この世界のメイクといえば、蜂蜜を下地にとにかく顔を白くするための白粉をはたいてチークとリップを塗り、アイラインを引くのだとか。
……まあ、確かに皆顔真っ白だなぁ、とは思ってたけど。




