ペンギンではないですからね
「ペンギンですか?」
「いや、違いますけど」
今日も、私は入国審査官のように短編担当として日夜、業務に追われてるのだが、
「いや、タンペンさん....って、ハハハハハ」
アロマ婦人の様子がおかしい
「ちょっと、席を外すから、Aさん代わり頼める?」
「あっはい、わかりました」
「それじゃ、アロマさん、ついてきて....」
「うえーん、動きたくないよー」
あっこりゃ、だめだな。
私は、婦人を担いで、椅子とテーブルのある、部屋へと向かう。
「はい、どうぞアロマさん」
「ありがとうございます。」
アロマさんに温かいお茶を渡す。
「ふう、これって急須でいれたお茶ですか?」
「普通の粉末のお茶なんですけどね」
更に言えば、百円寿司の粉末のお茶がレジで売ってたので、買ったものだ。
とは、野暮なようにおもえたので言わない。
「すいません、でもお茶っていいですよね」
「なぜ?」
「だって、この液体の中には自然が広がってますもの」
アロマさんの目は、どこか寂しそうな顔をしていた。
いつか、この世界をでて、一つの小説として輝きたいというのを夢見て。
「あっそうだ!ジャンルは確か、ミステリーの作品に出てるキャラクターですよね。」
「はい、そうですけど」
私は一筋のひらめきによって彼女に適した仕事があることに
「あの、この仕事、任せたいのですが、大丈夫ですか」
彼女は、私が求人に出していたリストに目を通すと
「えっいいんですか?」
「もちろん、楽な仕事ではないんですけどね」
それからというもの、彼女の目には生き生きとした輝きのあるキャラクターになった。
「あの!bさん、これ見落としてますよ」
「あっすいません....」
彼女は作品の文字、言葉の使い方に間違いがないか、見直す校閲の仕事に従事している。
「次回から、気を付けてくださいね」
何もしないより、何かした方がいいのかもしれないと思った。