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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
三章 アルジャーノン計画
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95 基礎の構え

 行動を起こす心構えは出来た。


 返り討ちにされる危険はあるが、問題はどうやって叩きのめすかだ。木刀などの武器は使わない。武器を持ち出したら生死に関わる恐れがある。


 僕にそこまでするつもりは無いが、相手がその一線を超えてくる可能性はある。それを防ぐ手立てが必要だろう。


 その対策として、第三者がいる場所で勝負すると決めた。さすがに人の目があれば卑怯な真似は出来んやろ。


 それでも武器を持ち出したら?


 逃げるでござる。すたこらサッサだぜ。


 さすがに殺人者になったり、命を懸ける覚悟は無いわ。勝っても負けても決着の付け方が重要だ。教室等で友人が周りにいれば止めに入ってくれるはずだ。いや、止めに入ってくれるように頼んどこう。


「あのさ、今度ヤツがちょっかい出して来たらブチのめすかもしれんわ。」

「ほう、やっ気になったか。」


 ワカがニヤリと笑う。そっちは面白いかもしれんが、こっちは必死やぞ。


「ほんでさ、加勢しろとは言わんけど、勝負がついても止められんようやったら、止めてくれへん? 熱くなってやり過ぎたらあかんからね。」

「相手はキュウじゃろ。勝負にならんのとちごっか?」

「キュウはともかく、タケが出しゃばってくるかもしれん。」


 タケとは例のサムライ野郎である。ヤツが一番の強敵になるだろう。僕とキュウの争いだけで終わるかもしれんが、楽観視は良く無い。


「一人でやっつもりか?」

「うん。一人ずつくるんやったら相手したるわ。」

おいらは複数できた場合と、勝負を終わらせる時に出ればよかか?」

「悪いけどそれで頼むわ。」


 これで勝負をする環境は整えた。自分に有利な仕込みをしてもしゃーない。今回の目的は僕の意思と力を見せる事で、こいつを従わせる事は出来んと思わせるのが大事だ。


 当然だが、やるからには勝つ気でやる。その為に空手の動きを再確認しよう。


 空手で習う基礎はいろいろあるが、その中でも始めに覚えるべきは立ち方、構えだと僕は思う。全ての技が始まる最初の姿勢。それが構えだ。


 空手は蹴り技がある為に、片足で立っても崩れないような安定性が求められる。この下半身を安定させる技術は他のスポーツにも応用が利く。これは構えそのものというより、構えを通して体の使い方を覚えた事が大きい。


 例えば、サッカーの競り合いやバスケのリバウンドで必要なポジショニング争いだ。空手を学んだ事が役に立った。少々体を引っ張られようが問題なく対応できるようになったからだ。


 何が起こるかを予測し、それに対応できるよう構えて準備する。格闘技に限らず何事にも大事な事だろう。そこから全ては始まる。


 さて、今の自分に合った構えを確認していきますか。


 鳳凰フェニックス武舞ダンス龍虎相殺陣ファイナルカウンター玄武アルティメットガードりといった何処ドコの暗殺拳やねんというヤツも捨てがたいが、これらオリジナルの秘奥義は、黒歴史(若気の至り)として使用者の心にも深い傷を残すので止めておこう。


 え? 既に手遅れとな? ……ほっといてくれ。


 真面目に考えれば、右構え(右足前)か左構え(左足前)の何方どちらを選択するかだが、先ずは自分のスタイルをどうするのか決める必要がある。


 前世でもそうだったが僕は左利きである。どうも体のバランスが左に寄っているようで、利き手利き足、それに利き目も左だ。


 利き手と利き足の区別は分かると思うが、目にも利き目がある。それを知る方法は簡単で、次のような作業をすれば確かめる事が出来る。


1. 両手を顔の前に掲げ、人差し指と親指で三角形を作る。

2. 遠くにある木など対象は何でも良いので、対象物をその三角の中に入れる。

3. 左右の目を交互に閉じる。


 その結果、


・右目を閉じた時に対象が動く …… 右利き

・左目を閉じた時に対象が動く …… 左利き


 このように診断される。


 人間は両目で対象物を捉え、距離感など立体的にモノを見る事が出来る。両目を使っているとはいえ、どちらの目を主体にしているのかがこれで分かるのである。


 利き目が右の場合、右目を主体にモノを見ているので、左目を閉じても脳で処理するメイン画像に変更は無い。メインは生きているがサブが消されただけである。得られる情報が少なくはなるが、メイン画像に変化は無い。


 逆にメインカメラである右目を閉じると、メイン画像を左目から入る情報に切り替えなくてはならない。その為に画像がズレるという現象が起こるのである。


 手足より重要度は落ちるが、どちらの目で標準を合わせているのかが分かると、より綿密に自分の動きを分析できて面白い。


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