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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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79 儀式とプレゼンテーション1

「ユキくんの事は注意して見ていたが、最近では友達も出来て明るくなったように思っとるがね。君らの仲間とも仲が良さそうだし、少し安心しとるんだ。引き続き気には掛けておくよ。」

「お願いします。」


 この日から数日後、日程の調整が終わり具体的な日時が決定した。


 いざ本番と思うと、やり残している事が無いか不安になるが、どこかで踏ん切りを付けんといかん。よし、やったるで。


 約束の時間に間に合うよう家を出る。助さんと春絵さんが一緒なのは当然だが、面白そうだと格さんも加わる事になった。


 儀式が行われる真魚さんのいるお寺に到着すると、石神先生を含む学校の人達が先に到着していた。軽く挨拶を済ませる。


 石神先生と面識があるのは格さんのみで、残り二人は顔だけは知っているとの事である。卒業生徒の総数なんて数えきれない程の人数だろう。逆に覚えとるほうが凄いような気がする。幼少期とは顔や雰囲気も違っている事だろう。特に女の子はお洒落を覚えて劇的に変わる子もいる。この世界でも同じだろうか。


「格兄さんは目立つというか、他とは違う空気感を持ってたからね。」

「学校にいる時からだったかしら。猟師に弟子入りしたのは。」


 格さんが選抜学級に居た事は無かったらしいが、目立つ存在であった為に先生の印象にも残っていたらしい。


「何て言うか、我が道を行くって感じで、既に自分の世界を確立しとった印象があったでな。そこら辺はハルに良く似とるかもしれん。話し方とかも影響されとるんじゃないのか? あの坊主がしっかりやっとるやないの。」

「まあ昔の事は置いといて、先にやることやりましょうか。」

「そうだな、先ずは魔術契約か。」


 先に学校支援による魔術契約を済ませて、終わった頃に無二斎師範とユキちゃんの親父さんが合流し、プレゼンテーションの開始だ。ちゃっちゃと進めよう。


 さて、肝心の契約内容は成功報酬タイプだ。それしか無いっしょ。


 現在の手持ちで価値あるモノなんて見当たらん。あえて言うなら若さという時間くらいか? そんなん差し出したら絶対あかんヤツや。


 いろいろ考えた挙句、次のようになった。


目的:衛生的な社会生活に貢献する。

能力:知性あるモノとの対話。


 衛生面の向上は、開発した新商品が世に広まれば、かなりの効果を発揮するはずだと思う。それを実現する為の交渉力を身に付けるって事で、後に控えるプレゼンの時にも役に立ってくれるに違いない。


 そして、この技術が衛生的な社会生活に資する事になれば、更に対話能力が向上するはずだ。


 契約内容を詳しく解説すると、対話の対象は「者」ではなく「モノ」としたのは訳がある。知性があるとはどの程度の生物とされるのかは不明だが、モノとは人間以外を含める事が出来ないかと考えたからだ。例えばタロウとかね。


 動物と話ができるってのも面白そうだが、意思の疎通が出来るなかで、最も高位なるものは神だろう。神の言葉を預かる者は預言者と呼ばれる。


 さすがにそれは無理だと思うし、そこまでの覚悟もない。神の言葉を預かったとしても責任感で押し潰されそうだぜ。僕の器ではとても無理だ。興味よりも怖さのほうがデカい。


 意思の疎通が出来る事で、逆に不都合が生ずる可能性は否定できない。


 とりあえず思いつくのは肉食だ。動物の意思が直に伝わる様になれば、屠殺できるのかという問題。前世の一部には植物にも感情があるとする者達もいた。


 何食ったらええねん、ちゅう話ですよ。


 前世では肉食をしなくても他の代用品があり、健康な食生活を送れると主張する人もいるらしいが、今の世界にサプリなんてもんは無いので、肉食が禁止されたらキビシイもんがある。


 前世の記憶を辿ってみると、動物どころか魚類や昆虫の記憶すらある。それらが全てあかんとすると生きていけんわ。どこかで一線を引いて割り切る必要がある。


 そのラインを何処どこで引くかってのは、自分で決めれば良いと思っている。他人がベジタリアンだろうがヴィーガンだろうが好きにやってもらえば良い。自分はそれに賛同できないだけだ。


 自然界は食物連鎖で成り立っている。肉食獣が草を食って生活をする事は物理的に不可能だ。それを消化する器官が無いからである。肉食が不道徳となるのなら、肉食獣は生まれながらにして罪深い存在である。根絶やしにせにゃならん。


 こんな考えは極論だろう。不必要な殺生は控えるべきだと思うが、それに囚われ過ぎるのも考えものだ。正解となる答えがあるのか知らんが、与えられた環境で、悩みながらやっていくしかない。


 そもそも会話が出来ないからといって、気持ちが伝わらないとは限らない。尻尾を振る等のボディーランゲージで気持ちを推し量る事も出来る。それに相手の痛みを知れば、生きる意味をより深く実感できる。臭い物に蓋をするのではなく、それを知ったうえで先に進むという気概だ。


 覚悟は出来てる。

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