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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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78 はぐれ者

 組織の主流から外れた者。


 自らの意思で外れた者と、外れざるを得なかった者の二種類がある。


 前者の無法者は一般人に迷惑を掛けない限り自己責任だろう。思うがまま修羅道を突き進んで欲しいと思うが、他人に迷惑を掛けないとなれば、もはや無法者とは呼べない。パラドックスである。


 後者には様々なものが存在する。社会的階級等の負の遺産を引き継いだ者。精神や身体に先天的、あるいは後天的に障害を持つ者等が代表例だろうか。


 彼等が弱者だという理由で排除しても良いものだろうか。これはいじめにも繋がる問題である。あくまで僕の主観でしかないが、それは組織の目的により異なる。


 例えば会社という組織がある。会社とは利益を出す事を目的にしたグループだ。ある会社が業績不振により倒産の危機に瀕した場合、合理的であり社会通念上相当であると判断されれば、解雇もやむを得ないとされる。


 これを排除と呼ぶには語弊があるが、群れが生き残る為に一部を切り捨てる例の一つである。


 これが許されるのは会社という組織に代わりがあるからである。A社に解雇されてもB社で職を得られるかもしれない。


 所属するグループ以外に、同じ目的を持つ別グループが存在する。この理由により法的に解雇が許されている。その目的とは利益の追求だ。


 学校や会社で問題を抱えている人は、思い切って今いる世界から飛び出してみると、新たな世界で実力を発揮できるかもしれない。勿論もちろん、客観的且つ冷静な判断が必要となるので、信頼できる人に相談する事をお勧めしたい。


 居場所を失った結果、自分自身を傷付けてしまうという話を聞くと心が痛い。


 ただ、代わりとなるものが存在しない事もある。その代表例が生活保護で、万策尽きた時の最後の砦だ。このセーフティーネットがあるからこそ、最低限の生活は維持できる。


 問題点はあると思うが、生活保護は絶対に必要な制度であると考えている。


 何故だろうか。生活保護、弱者救済の逆から考えてみよう。


 弱者救済と対極にある考えが自然淘汰だ。生き残るは強者のみ、敗者死すべし。弱者は捕食者の餌食となる食物連鎖である。


 人道的見地を無視した場合、この自然淘汰を人間に当てはめる事は出来るのか。


 結論を先に出すと、ある程度の発達した社会には当てはまらないと考えている。個別の事案で異なるケースあると思うが、例を挙げてみよう。


 人間社会が発明したもので保険というシステムがある。大航海時代のように冒険の難易度が高くなると、失敗した時のダメージも比例して高くなる。そのダメージを軽減する為に生まれたものが保険だ。


 人生で大きな失敗をしたり、不慮の事故により障害を負う可能性は誰しもある。明日は我が身と想像力を働かせれば、危険を冒す挑戦者が少なくなり、文明の発展が停滞してしまう。それ故にセーフティーネットの有無が大事になる。


 救済されればやり直しもきく。成功した者達も、幾度の失敗の末にたどり着いた経験者は少なくない。また成熟した社会であれば障害を持つ事がハンディキャップとならない場合もある。または、障害年金や介護等のサポートが充実していれば、健常者以上に社会貢献できる者も多い。


 このように生活保護のような弱者救済は大事だと考えているが、自然淘汰による自由競争を否定するつもりはない。


 例えば企業が倒産の危機に、大企業の会社更生法や、中小企業の民事再生法といった救済措置で延命する事があるが、これにも良し悪しがある。


 技術革新の波に取り残されて、業界そのものが衰退してしまった場合、救済せず倒産させれば新たな産業に人と金が流れる為、全体で判断すれば潰す事で良い効果を得られる場合がある。


 自由競争と弱者保護は社会を発展させる両輪で双方とも大事だ。どちらに軸足が置かれているのかは、政治のスタイルで異なっている。


 さて、最後にこれ迄の話を捕捉しておきたい。生活保護と保険を例えで挙げたが、この二つで決定的に違う点があえる。それは、救済されるべき人間が負担を負っているかどうかだ。


 保険の場合、そのシステムを運営している胴元に掛金、または保険料を支払っている事が、保険事故が発生した際に救済される条件となる。


 生活保護にはそれがない。救済条件は資産が無いという事であり、特別な支払いを求められる事は無い。


 生活保護は、それを必要とする者達にとって無くてはならないものだ。それ故に制度を悪用したり、法の穴を突き不正受給をする者達は恥を知るべきだと感じる。


 法に違反していなければ何をやっても良いのか、逆に、法に従う事は全て正義と言えるのだろうか。


 法制度は人間が作り出したもので、不十分だったり時代にそぐわないものも出てくる為に、法改正でアップデートする必要があるが、生活保護法の成立した精神を考えると、この法令違反は他の不正と比べ印象が悪い。



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