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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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76 夏休みの課題、製作開始

 土中から出てきた物は装飾もない無骨な盾であった。異民族のものであろう盾は持ち手が無かった。使われた皮が腐ってがれ落ちた痕跡がある。皮の代わりに縄を結んで持ち手を作った。


「よし出来た。悪くないね。」

「他にも何か落ちとっかもしれんな。ここら辺で探してみるか?」

「じゃあ、それぞれ各自でさがそうか。」

「ええね。」


 ワカの提案に賛成し思い思いに探索する。小一時間ほど調べてみたが、何も見つけられなかった。


「そっちはどうやった?」

「収穫なしや。」


 ゴンが手をプラプラさせて答える。


「試してみたい方法があるから、ちょこっと待っとってもらっても良い?」

「ええど。」


 地面に両手の掌を付けて魔力を流す。潜水艦のソナーの様に探知できないか試してみた。井戸を掘る時、魔力を地中に流して水源を探る話を聞いた事がある。これを応用して金属を探せないかと考えたのだ。


 浅く広く魔力を広げていくイメージだ。魔力が伝導する違いを感じ取れるだろうか。より感覚を研ぎ澄ませようと、頭を下げ額を地に付ける。地面から人の足音が伝わってきた。コレはワカだな。


「おーい、何しとん。」

「シーッ 集中しとっで少し静かに。」


 少し離れた場所で、他とは違う反応を感じた気がする。行ってみよう。


「この辺から小さい反応があった…… ような気がする。」

「気がするか。」

「始めてやったから、どこまで正確か分からんぞ。気のせいかもしれんし。」

「当ても無う探すよりよっぽどマシじゃ。何ぞあるか探そう。」


 手分けして探していると、ゴンが何やら発見したようである。手斧の様だ。


「刃ん部分だけじゃ、長年野ざらしやったで仕方なかね。」


 斧に盾ね。正にヴァイキングって感じやな。ただヴァイキングの盾は木製だったはずだ。似てるように見えて細部では違うのだろう。それとも、この金属盾が例外なのかもしれない。隊長クラスは金属盾とかかな? 正解は分からない。


 更に探すと、今度はワカが鎖帷子を見つける。人骨らしき骨が一緒に埋もれていたので、両手を合わせ成仏を願っておいた。どんな輪廻へ旅立ったのだろうか。


「思ったより時間が掛かったな。本当はもう一箇所行きたかったんじゃが、今回はこれで帰るか。」

「収穫もあったしね。あと、土属性魔法で探知できるって分かったのはでかいわ。妖が出んうちに帰ろか。」

「なんや、ビビっとんのか?」

「実は少しビビっとる。」

「実はおいもじゃ。」

「ビビる事なかぞ。三人おれば何とかなるやろ。タロウもおっし。」

「何かさ、事務とか書記だとかいろいろ言っとったけど、実はゴンが一番の猪武者やな。本性が出てきたか?」


 そうかもしれん、ゴンが自嘲気味につぶやく。


「それはそれとして、土属性って使えるな。おいも本気で勉強しようかな。」

「コツやったら教えるよ。剣道の恩もあるからね。」

「そのうち頼むわ。」

「いつでんドウゾ。」


 町に帰り、先ず向かったのはお寺だ。拾得物のお祓いをしてもらわないかん。


 これは直ぐに終わり、次は利益配分となる。それぞれ見つけたヤツを持って帰れば良いんやないかという事で、揉める事なく解散した。金属盾が手に入ったぜ。


 こりゃアレだ。窯の蓋にもってこいやな。これで必要な物は全て揃った。


 快適で衛生的な生活を目指して頑張ろう。


 先ずやるべきことは土の成形だ。土に水を加えながら整えていく。見本が出来ると上手くいくか検証実験をする。砂利を汚物に見立てて水を流してみた。すると、ほとんどの砂利は流れたが、未だ幾つかの小石が残ってしまった。


 ふむ、余程でかいのでない限りはいけるか? 否、やるからには出来る限り良いものを作りたい。そう考えて改良を重ねる日々が続いたが、納得できる性能になるまでには、其れなりの日数を要した。


 思ったより時間が掛かったが仕方ない事だろう。知識だけは頭にあるが、実際に作るのは始めての作業だ。


 土を成形した次は乾燥させなければいけない。季節は夏であり、天候の良い日が多くて有難い。天日干しにしている間、焼き場を完成させる事が出来た。完成とは言うが、単に拾ってきた盾で蓋をしたうえ、空気が通る穴を確保しただけで、簡単な作業で終わった。


 次はいよいよ焼きの作業に入る。


 焼きには二種類あり素焼きと本焼きに分かれる。


 始めに素焼きで、本焼きよりも低温度で焼き上げる。素焼きをする理由は幾つかあり、次の2点が主な理由だろう。


1. 成形した土に残った水分を飛ばす


 天日干しでも、未だ水分が土に含まれている。水が残ったままだと、水蒸気爆発が起こる危険がある為だ。


 また、今回は必要のない事であるが、釉薬を使って絵付け等をする場合、水分が抜けていると吸水率が高い為、釉薬の乗りが良くなる利点もある。


2. 土を引き締める


 土を焼成すると収縮するので、収縮率が高いと破損してしまう場合がある。商品で定められた大きさの器を作る時、この収縮率を考えて作らなければならない。


 素焼きと本焼きで二度焼成する事により、一回で起こる収縮を下げ、破損しないように強度を高める効果がある。


 本焼きでは高い温度が求められるが、熱属性魔法もどきで何とか成らんもんかねと思っている。完成形として品質を求められると無理だが、あくまでサンプルだ。アイデアが目に見える形で表現できればそれで良い。

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