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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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61 火属性魔法の分析

 火属性魔法について、前世の知識を使い考察してみた。


 今の僕が身につけているものは水と土属性だ。この関連性を考えてみる。


 四属性をグループ分けするなら、水と土、風と火に分類する事が出来る。理由を説明すると、水と土は物質であるが、風と火は現象である。


 水と土は、液体と固体という差はあれど、目で見え手で触れる事が出来る物質に違いない。しかし風が吹くのは気圧による大気の移動であり、火が燃えるのは燃焼である。気体も物質ではあるので、それを考えれば、風属性魔法を前者のグループに入れても間違いではないかもしれないが、火属性魔法だけが明らかに異質だ。


 四大属性は魔力が作用する対象物によって分類され、水は液体、土は個体、そして風は大気とされる。しかし、この火属性については対象が化学反応そのものだ。


 うーむ、分からん事ばっかで、何から追究して良いかさっぱりだ。


 よし、分からん事は後回しだ。出来る事からコツコツと。今は燃焼という反応から考えてみよう。


 前世の知識により、燃えるという意味を理解しているつもりだ。細かく分類すれば、炎を伴う有炎と無炎があったり、鉄がびる事も広義の燃焼と呼ぶ。


 燃焼とは酸化、対象物が酸素と結合する事を、燃焼と言う事が出来るだろう。


 では火属性魔法を使う時に、どのように魔力操作をしたら良いか考えてみたい。


 燃焼に必要なものは酸素と可燃物だ。魔力を用いて、可燃物と酸素を結合させる必要がある。


 ゲームの火魔法のイメージは、火球、若しくは掌などから発生した炎が、一直線に敵に襲い掛かるというのが一般的だ。これを科学的に分析すると、どんな理屈になるのだろうか。


 まず、火が発生しているということは、何かが燃焼し発熱反応を起こしている。いったい何が燃焼しているのだろうか。燃えている可燃物を考えてみる。



1. 魔力そのものが燃えている。


 一見して炎に見えるが現実の炎ではない。具現化した魔力がそのように見せているだけである。若しくは魔力そのものが燃焼しているケース。


 この場合は、科学の法則等が魔力に一切あてはまらない事を意味している。魔法が存在する世界で、今更何を言うとんねんと感じなくもないが、物理法則をベースに、魔力という別次元の概念が加わったのが、この世界だと思っていた。


 この考えが根本的に間違っているという事になる。この世界の法則は、物理法則を基準にしているのではなく、魔力の存在を土台に成り立っている可能性がある。


 世界を構成する基礎となるもの。それが物理なのか、それとも魔力の存在を前提としているのか、どちらが主体メインとなっているのだろうか。



2. 空気中に存在する何かが燃えている。


 何かとは何か? それがちりほこりなら、粉塵爆発を心配するレベルの汚染なので、これは考え難い。地球と同じであるなら、大気の組成は以下の通りだ。


・窒素    N2

・酸素    O2

・アルゴン  Ar

・二酸化炭素 CO2


 この中で燃焼が起きる可能性を探ってみたい。


 まずは窒素だ。窒素は酸化、酸素と結びつく事はあるが、燃焼して発熱する事は無い。なので、窒素を用いてファイアを放つことは出来ん。


 次に酸素だ。結合を組み替えてオゾンO3を発生させる事が出来るかもしれない。だがこれは燃焼ではない。オゾンは有害な気体で、ポイズンの毒魔法として使えるかもしれんが、これはファイアではない。


 そしてアルゴン。記憶にある限りだが、ほとんど不活性の気体であるアルゴンが酸素と結びつく事は無かったはずだ。故にこれも除外とする。


 最後に二酸化炭素だ。魔力操作により、炭素Cと酸素O2に分離させる。その後に炭素を燃焼させ、再び二酸化炭素CO2に戻す工程を経れば、ファイアが可能となるかもしれん。炭素を野球ボール大に固形化し、火を放てばファイヤーボールだ。


 よって、結論としては、最後の二酸化炭素の分解&燃焼という、クソ面倒くさい作業が出来れば、ゲームでお馴染みの火魔法が使える可能性がある。


 また、それだけの炭素量を確保するのに、どれだけの大気が必要となるかという問題も、無視する事が出来ないだろう。


 真面目に考えると火属性魔法って難しいわ。そもそも、可燃性の物質が大気中に存在するなら、不安定過ぎて、高度な文明が生れる環境とは思えない。


 ファイアとかファイヤーボールとか、一度は使ってみたいもんだが、この世界では無理かもしれん。契約魔法ならいけるかもしれんが、そこまでして使いたいとは思わんなあ。


 僕が思いつかないだけで、他にファイアを使える方法があるかもしれんがね。


 そこは否定しないが、随分と話が脱線してしまった。

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