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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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60 近隣の地理

 入学後の体力テストが終わり、本格的な授業が始まった。


 内容に魔法授業も組み込まれている。期待したのは火属性魔法の授業だったが、夏休み前には到底間に合わないようだ。


 先生に確認したところ、魔法習得のカリキュラムは、初年度に水と風を勉強し、年度末前に門を習得する。そして次年度に火と土という順番だ。これを待っていると、学校の支援を受ける為の計画が出来ないので、自力で火属性魔法を修得しようと決意した。他の属性を身に付けた経験で、なんとかなる気がする。勿論もちろん、必死にならんと無理だろうが、前世の知識をベースに、魔法の概念を組み合わせるコツを掴めた感覚がある。


 現在の授業では、水魔法を基礎から学んでいる。既に身に付けている技術だが、基礎を繰り返し練習し、体に覚えさせる事は大事な事だ。面倒くさがらず、真面目に授業を受けようと思う。


 興味深かったのは地理の授業だ。この世界は未だ全ての地図が完成していない。世界が球体だとの知識はあるが、それ例外の詳細は未知なる部分が存在している。


 僕の暮らすこの国と近隣の地図が、教科書に描かれていた。


 国名は大和といい、首都は高天ヶ原高原の中央に位置する天都とされ、そこに居を構える天帝が全土を統治している。


 具体的な地理は、日本と同じように北半球で大陸の東の果てらしい。分かりやすく説明をすると、ユーラシア大陸を上下左右に回転させた、スペインの位置に似ている。


 東側には広大な海、大洋が広がっている。南にはヨーロッパに似た陸地があり、北部は地中海ほどではないが、恐ろしく大きな大河が流れ、その先はアフリカ大陸を思わせる大地が描かれている。北半球でここまで巨大な陸地だと、北極点まで陸地が繋がっているかもしれん。まあ、どこまで正確か分からんけどね。


 残る西側であるが、蓬莱ほうらい山脈と呼ばれる険しい土地が連なり、交通が不可能だとされる。それ故、我ら大和は陸の孤島で秘境とされ、独自の文化が花開いた。


 大和が文化的に最も影響を受けた国は、蓬莱ほうらい山脈を越えた先のフランスに当たる土地、そこに存在する大国の崑崙コンロンだ。陸続きではあるが、陸路は山脈に阻まれ通行できない為、海路での交易が栄えた。文字も崑崙コンロンより伝わり、さらには自国の国字が誕生した。現在、僕達が使用している三つのうちの二つがこれである。


 そして残る最後の文字は北方の異文化より伝わった。この北方の土地は複数の国が群雄割拠しており、勢力拡大の矛先を南に求めた一国が、この大和に軍を進め、北関市が戦乱に巻き込まれる事になった。何やってくれとんねん。


 前世と似たところもあるが、当然ながら異なる部分もある。そのうちの一つが、イギリスの位置である。


 この世界にもイギリスに似た島が存在するが、ドーバー海峡を挟んだフランスの対岸ではなく、スペインの位置にある大和に最も近く、同じ文化を共有している。


 もっとも、この異世界の地理をヨーロッパに例えたのは、分かり易く説明をしたかっただけであり、そこに意味など無い。文化が似ているというのならば、大和は日本、崑崙は中国だろう。北方の国々はなんだろう。ヴァイキングかな?


 そんな情勢のなか、この北関市の位置関係だが、スペインのマドリードの場所に天都があり、北関市はバルセロナと同じ位置に存在する。いや、上下左右逆となると、より正確に言うなら、バルセロナよりもビルバオの配置に近い。南に海岸線がある港湾都市である。


 数年前の異民族襲来では、北の大河を越えて上陸した一軍が、陸路にて北関市を襲ったとの事だった。籠城する北関市に向かった援軍の総大将が、トヨやゴンたち一族から抜擢された将軍であり、北関市を救った功績により大将軍に取り立てられたとの事だ。


 ちなみに彼等は大陸の本土出身者ではなく、イギリスにあたる島の出身者である。島は2島で成り立っており、ブリテン島とアイルランドを思わせるが、同じ一族であり争いは無い。彼らは島一族と名乗り、その出身により大島と小島と呼び分けられるそうである。本家と分家みたいなもんかね。


 そして今回の大将軍任命により、新たな分家である中島が誕生したという。


「大中小とあっどん、一族内ん呼び方だけで、皆ひっくっめて島性を名乗っちょっけどね。」


 これはゴンから聞いた話であるが、同じ一族でも序列があるのかもしれん。

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