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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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59 新たな目標設定

 学校入学前に立てた目標を練り直すとしよう。


 以前に、短期・中期・長期と三つの目標を設定したが、学校デビューを目指した短期目標は大成功と言っていいだろう。


 次の中期目標となるのは、卒業時までに自立できる道を身に付ける事だ。これを踏まえて短期目標を再設定する事にした。


 学校デビューで人脈が拡がった為、具体的なものが見えてきた。頑張って本当に良かったと心から思える。調子に乗って落とし穴に落ちない様に、気を引き締めなあかん。



【 短期目標 その2 】

目的:新たな便所技術の見本作製

期限:夏休み明け


 技術そのものについては既に僕の頭の中にある。問題はその技術をお金に換える方法だ。考えているのは、所謂いわゆるライセンス契約である。


 今あるアイデアを具体的な形にして生産、量産、流通させる事が必要になるが、子供の僕には荷が重い。その為、その力を持っている業者と契約する必要がある。真魚さんに人間相手の契約を確認した理由がこれだ。


 僕は未だ子供である為、足元を見られてめられる恐れがある。それを防ぐ為に神仏を介して契約を結ぼうと考えたのだ。


 その契約まで話を進めるには、目に見える具体的なサンプルが必要不可欠となるだろう。これを夏休みの課題としたい。


 見本作製に必要な材料と技術の選定だが、商品の完成形は陶器となるので、それに近いものを考えると、粘土質の土が必要だ。


 また、作成に必要な技術は火属性魔法だ。僕は土属性魔法が使える為、それで土を強化すれば良いのかもしれないが、新技術の便器は魔法を必要としていない。


 土属性魔法を使った痕跡を見られ、新技術の理念が理解されない可能性がある。この可能性を排除する為に、土属性で強化や硬化するのは避けたい。火属性魔法で水分を飛ばして固めるまでが、ギリギリ許される範囲だろう。性能をお披露目する時に、魔力が働いていない事が最低条件だ。


 それらを考えると、始めに僕がやるべき課題は次の2点だ。


・粘土質の土を手に入れる。

・火属性魔法を修得する。


 よっしゃ、やったろうやないか!


 契約を結ぶ業者の第一候補はユキちゃんのトコだが、いくら契約魔法があるからとはいえ、信頼できない相手と商売をしたくない。どんな人なのか、事前に様子を見ておきたいところだ。


「あのさ、まだ先になると思うけど、ひとつお願いして良い?」

「何を?」

「僕の考えが、ある程度の形になったら、おとーさん紹介してくれへんかな?」

「どうして?」

「本格的な申し込みが何時いつになるか分からんけど、先の事を考えたら早いトコ挨拶しといたほうが良いかと思うんだよね。」

「……。」

「どうなん?」

「…それはちょっと早すぎるんじゃないのかなあ。」

「いや、自分なりに逆算すると、早ければ早い程ええと思うんよ。おとーさんも、急に言われても困るだろうし、こういうのは相手の都合も考えんとあかんから。」

「わたしの都合はどうなるの? まだ知り合ったばかりだし。」

「んん?」

「え?」

「……あ~! 違う、違うのよ。そーいう意味じゃなくってさー。」


 子供は女の子のほうが成長が早い。僕としては製品のお披露目前に、事前調査として探りを入れたかっただけなのだが、恋に恋する乙女としては違った意味で受け取ってしまったらしい。交際の申込として受け取ったのかー。


 ユキちゃんが自分の勘違いに気付き、頬を赤らめて照れている。


「ビックリしたー。」

「こっちがビックリや。」


 そのように勘違いしたのは、ユキちゃんが僕の事を、悪からず思っているという理由もあるかもしれない。それはとても有難いが、今は恋愛にかける時間は無い。


 時間が無いなんてのは言い訳にしかならんぞ、時間とは作るもんじゃい、という人もいる。それも間違っていないと思うが、自分の素直な気持ちに従うなら、恋愛よりも便所問題が優先される。


 なんだか悲しい現状だが、未だ心に決めた特定の異性なんておらん。肉体が幼いせいか、異性を求める欲求が薄いと思われる。ちなみに蛇足かもしれんが、性的指向はノーマルと思っている。ここんトコは強調しておく。


 ノーマルとはなんじゃい、という哲学的疑問もあるが、そこを掘り下げると話が進まんので、今はご容赦願いたい。


 不測の事態に動揺したが、ユキちゃんに理由を話して理解してもらった。彼女に期待するのは、学校にこんなヤツがおると、うわさ程度で良いから、耳に入れてもらえばそれで良い。わずかでも意識の片隅に残っていれば、初対面での印象が大きく違ってくると思うからだ。


 好感度を上げる為に、ユキちゃんとは仲良くしとかなあかん。勿論もちろん、下衆な下心が無くても、仲良くやっていきたいのは本心である。

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