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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
53/306

53 役員決め

 入学式から数日経つと、クラスの役員決めの話し合いが始まった。


 役員の種類は以下の通りである。


・級長   1名

・副級長  1名

・書記   1名

・生活委員 2名(男女各1名)

・清掃委員 2名(男女各1名)


 正直、どれも時間がとられそうでやりたくない。ただでさえ、相撲の経緯があり目立ってしまっている。この三人でグループが出来つつあるが、僕が庶民という事があり、他のヤツから妬まれても嫌だからね。


 そんな僕の思いを無視するように、他の二人は盛り上がっているようだ。


「こんた組織の動かし方の練習になっかもしれんな。おいと一緒にやってみんか?」

「えー、家の手伝いもあるしどうしようかな……。」

「手伝いなら何時いつでも出来っどん、こんた今しか出来んぞ。」

「すごいやる気やね。」

「時間はとらるっかもしれんが、生徒ん希望で、やりたい事をやらせてくるっらしい。」

「ゴンは?」

「僕もやるよ。希望が通ればお金も出してくれるらしいよ。」


 なに! 聞き捨てならん事を言ったぞ。現金なもので、急にやる気が出てきた。要するに、良い企画なら学校がスポンサーとなってくれるらしい。


 こんな事が出来るのは、特別学級である1年1組の特権であるらしい。特別学級は1年1組という初年度と、最終年度である10年1組だけだという。


 10年後に、今の教室に居る面子メンツがどれだけ揃う事になるのだろうか?


 また選ばれたいという気持ちと、面倒くさいので勘弁して欲しいといった思いが半々だが、これから一年間の経験により、気持ちが変化していく事だろうと思う。


 さて、どれに立候補するかが問題だが、他の二人はどうする気だろうか。


「君らはどうすんの? 級長と副級長?」

「そうやな。目指すなら天辺じゃ。」

「僕は書記やなあ。」

「副やないの?」

「記録ってんな大事じゃっでね。例え嘘を記録せんでん、何を残すか残さんかで、操作すっ事もできるし、信頼できる事務方ってんな大事やろ?」

「その通りやと思うけど、悪い事はせんでね。」

勿論もちろん。そいを防ぐ為にも書記をやろうかなと。」


 凄いお子さんやね。これには親の影響もあるだろう。ワカの親は幹部クラスだというが、ゴンの親は事務方らしい。


 以上の二つを除けば、残るは副級長、生活と清掃だ。


 まず生活は無いな。生活指導の役なら論外だ。庶民がセレブに指導したとして、特権意識の塊の奴らが、素直に話を聞いてくれるか? ワカとゴンは例外だろう。


 同じ理由で副級長も却下だ。


「なんや。おいを助けてはくれんのか?」

「そんなコト言われると心苦しいけど、普段から仲良くさせてもらって、副級長なんてもんになると、何て思われるか分からん。断固として拒否する。」


 ここは譲れん。残るは清掃一択である。


「僕は清掃でもやるわ。」

「清掃って、便所掃除がほとんどやぞ。」

「なんやと?」

おいは先輩から聞いたんだが、豊かなものこそ、汚れ仕事を知る必要があっちゅう方針で、便所掃除をさせっごつなったが、結局は庶民がやらせられちょっ事が多か言っとったあ。」

「うわあ、嫌な事を聞いたなあ。でも君らは階級が上やけど、ちょっと違うね。」

「僕は首都生活で散々苦労したし、ワカも少し前までは田舎に居たで、ほのぼのやっとたんじゃ。」

「君らみたいなんがおって、ホント良かったわ。」


 先生が立候補を募ると、僕ら三人は、競合する候補が無くあっさり決まった。


 体力テストや相撲の一件があり、この組の中でも僕らのグループは目立っているらしい。なんとなく、ワカがそのリーダーの位置にいる為と、上流階級である事も影響してか、彼がスクールカーストの頂点だろう。


 ゴンも上位に入る。体力テストでは非凡な成績を残している。


 で、肝心の僕自身である。運動では優秀な成績を修め、ワカとゴンとでグループを形成している事から、コミュニケーションも今のところは順調だ。


 が、問題は家柄である。孤児である僕は話にならない。孤児だと言われる事については、それが事実なので構わないが、それを理由に見下されるのは釈然としない気持ちがある。


 相撲の時にゴンが言ったように、子供達だけで終わる話なら、我慢が切れた段階で、喧嘩になって終わる話かもしれんが、家族に影響が出るかもしれんと聞くと、直情的に切れる事も出来んような気がする。


 感情を抑えろってのもストレスが溜まりそうなので、関わり合いにならないのが一番だが、既にカーストの上位と仲良くなってしまった。その事自体は良い事なのだが、嫉妬されてはやっかいだ。


 嫉妬を薄める為にも清掃委員に立候補し、汚れ仕事を引き受けるのだ。それに、良い企画があれば予算が貰えるという話が魅力的だ。以前から考えていた事が実行できるかもしれない。


 やはり清掃委員の人気は無いようであり、女子の担当に立候補は無く、庶民だと思われる子が推薦で決まっていた。


 こりゃ押し付けられたな。世知辛せちがらい話である。

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