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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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39 門の講習3

 さて、座学が終了したら次は実践だ。


 魔力の発動する原理は体で覚えている。これまで試行錯誤を繰り返してきた事が無駄になってはいないという事だろう。魔力発動前の、集中力を高める場所の事をチャクラと呼ぶ。僕の場合は眉間で集中力を高める。指先で魔力を扱う場合でも、眉間を経由して指先に意識を移している。


 これで第一段階、魔力発動についての理解は大丈夫だろう。次の第二段階、このチャクラに溜まった集中(気力)が漏れないように、門とやらを構築する作業だ。どうせならカッコよくいきたいねえ。


「我のチャクラは未だ第一門しか開放しておらぬ。お前は最後の地獄門まで開けるに足る相手なのか、証明してみせよ。」


 こんなイメージで良いのかな? いや、これはあかんだろう。どこの魔王様だ。じっくり考えんと、後になって恥ずかしくなるぞ。今この場で決める必要は無い。門の設定は後回しにするとしよう。


 そうすると次にくるのは、魔力を使う時のチェック項目の設定だ。どんな工程を経たら魔力開放のサインとしようか。


 精神面のスイッチを入れる……か。


 そういえば、海外留学時にそんなスイッチを入れていた記憶がある。海外とはいえ同じ学校に日本人もいる。当然、日本語もしゃべる。


 以前に、日本語と英語の違いというものにふれたが、別の言葉を使うと、文章を構築する思考過程が違うのを感じていた。慣れてくれば気にならないとは思う。


 そんな時、僕は頭の中でスイッチを入れるようにしていた。今は日本語モード、ここからは英語モードで、といった具合だ。魔力発動に応用できるんじゃないのかなと思う。要は頭の切り替えだ。


 頭の切り替えといえば、留学時代に現地にいる日系人の子供たちの、遊び相手をした時の事、始めは日本語で話していたのだが、家に帰宅したら突然、話し言葉が英語に切り替わった時があった。あまりに自然に変わった為に、とても驚いた覚えがある。


 この子は切り替わったという自覚はないんだろうなと感じ、うらやましく思ったものだった。おそらくは、自宅という場所によりスイッチが入ったのだろう。


 だが、今回の講習、この魔力漏れの問題においては、意識する必要性が無い程に慣れた時が、最も危ういという話だった。一個だけだと怖いなと感じる。二つくらいのスイッチを用意しておこう。


 一つは頭の切り替えとして、魔力開放モード、魔力閉鎖モードと名付ける事にした。今から魔力開放、これで魔力閉鎖と、頭の中でチェックし確認する。これくらいなら、後で恥ずかしくなる事は無いだろう。まさにそのままの意味なのだから。


 二つめのスイッチはどうしようかと迷ったが、何も思いつかん。良い案が出るまで保留としよう。


 これで今後の課題が見つかった。


1. チャクラを封印する門の設計。

2. 魔力のモード変更をする際の手順を決める。

3. 複雑になりすぎて困るようなものは避ける。

4. 将来、恥ずかしくならないように気を付ける事。


 こんなもんでしょ。実用性があって、精神的にも問題ないヤツが良い。ヘンテコなものにすると、後で死にたくなるに違いない。


 それとも、いっそ突き抜けてしまおうか。納得するまで考える事にする。


 これで講習内容は覚えた。有意義な時間だった。だが、格さんが迎えにくるまで未だ時間がある。それまでの時間をどうしようか。他の子らは付添の先生に連れられて学校へ戻るようだ。


「じゃあな。また怪我したら頼むぞ。」

「そんな事にならんのが一番だけど、気を付けて。」

「こいつ、おっちょこちょいだからまたやるぞ。」

「やかましいわ。」

「おーい、置いてくぞー。」


 なかなか良い奴等だと思う。学校生活も悪くないかもしれん。


「今日の内容は理解できたかな?」


 講習で話をしていた、お坊さんが話しかけてきた。


「なんとか理解できたと思います。有難う御座いました。」

「そりゃ良かった。」

「門以外の事でも質問して良いでしょうか?」

「分かる事であれば何なりと。」


 うーん、残り時間で足りるかどうか分からんが、聞いてみようかな。


「輪廻転生という考えなんですが……。」


 神仏が実際に存在し、その加護も確認できるこの世界において、転生という概念はどのようにとらえられているのだろうか。坊さんからなら、より踏み込んだ考えを聞けるかもしれん。もっとも、一般常識としてすら、どのように考えられているのか知らないけれど。


「生まれ変わり……、というのは有り得る事なのでしょうか?」


 冷静に考えると、恥ずかしげもなくこんな事を聞けるのは、今の様に小さい子供の間だけだ。


 ある程度成長した時では、理性が邪魔をして質問できんかもしれん。大人になるに従って常識とやらが身に付き、そこから外れた行動が取り辛くなる。


 今の場所が、魔法の存在するファンタジーな世界だという事を考えれば、さほど大したことが無いのかもしれないが、痛い発言をしてしまった場合に、ダメージを受ける大きさは年長者ほど深刻なものとなる。いい年して何やっとんってヤツね。


 中二病ならネタになるかもしれんが、成人を迎えていると、どの様に扱われるか恐怖が先に立つ。ネット小説を書くというのもこれに含まれるかもしれない。匿名じゃなかったら二の足を踏むだろう。一般小説ですら、ペンネームなる偽名がある訳ですし。


 大人には、これまでに積み上げた社会的信用ってもんがある。子供と比べると、何かをやらかした時に失うものが大きい。ギャンブラーで無い限り、リスクの低い方が勝負に出やすい。


 ま、いろいろと言い訳に終始したが、聞きたいから聞く。結局はそれだけだ。

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