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輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
二章 魔術契約
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33 三者三様

 学校から書類が入った封筒が送られてきた。見せてもらったが、格式張った文章で書かれた正式なものを読む事が出来ず、春絵さんに読んでもらった。なんとなくなら分かるが、こういったものは正確に把握する事が必要だ。


「なになに~。入学式の日取りだってさ。」

「ふーん。」

「後、保護者が同伴して欲しいって書いてあるね。」

「誰が来てくれるの?」

「誰が良い?」


 何と答えてよいか迷う、こういう質問は困る。誰を選ぶかで角が立ちそうな気がしてしまう。誰が一番適任なのか、三人の人となりを考えてみる。


 まず春絵さんはどうだろう。年齢は20代前半で、保護者(親世代)として考えると若いのかもしれないが、この世界での結婚時期はどうなっているのだろうか。


 日本の戦国時代、前田利家という男が11歳の嫁をもらい、翌年に子を産ませたという話がある。さすがにそこまでは無いと思うが、15で元服とすると、学校を卒業後にすぐ結婚し子をした場合、不自然な年齢では無い。


 春絵さんは美人の部類に入るだろう。綺麗ではあるが、どちらかというと可愛らしいという感じの人だ。優しい雰囲気でそばにいて安心する。身内だから余計にそう感じられるのかもしれないが、優しいおかーちゃんだ。


 中肉中背といったところで、なんといっても栄養の専門家なので、健康美という印象を受ける。


 しかし、これはあくまで個人的意見である。時代によって人の美意識は変わる。よく言われるのは、平安時代の美人の基準で、おたふく顔で下膨れが美しいとされたようだ。この世界の感覚はどうなっているのだろう。春絵さんの評価は如何いかに?それはかく、春絵さんが来てくれれば、純粋にうれしいと思う。


 そこまで考えたら、自分の事が不安になってきた。他人よりも自分はどうなんだろう。これまで真剣に考えた事が無かったが、自分の外見はどんな評価だ?


 鏡で見た限りでは、悪くないんじゃないかと思っていたが、そこまで気にしていなかったというのが正直なところだ。


 外見と言えば「男は40を過ぎたら自分の顔に責任を持て」という言葉がある。アメリカ大統領リンカーンの言葉だ。


 若い頃の外見は両親から受け継いだ遺伝の要素が大きい。だが、歳をとり、若さというファンデーションががれると、これまで刻まれてきた性質があらわとなり、本質が外見に反映されてくる。これは天から授かったものでは無く、自分が育てた結果なので、自業自得だという意味である。


 これを女の子に言うと、


「男はって言うけど、じゃあ女は?」


 などと返される事が多い。女の子はね、化ける粉、化粧とい… いや、男も化粧をするヤツがいると聞く。それら全部ひっくるめての外見だろうと答えている。


 ここでの外見の良し悪しとは、美醜の問題では無い。顔の造りはそこそこだが、良い顔、美しいと思える顔をした人は確かにいる。そこを感じ取りやすい顔は老人、歳を重ねた顔に感じる事が多い。 


 美醜の問題になると若者に勝てるものはない。老いて死が近づいた顔であるが、若さゆえの輝きとは別の美しさがある。また、これを美しいと感じる事の出来る、感性も大事なものなのだろう。


 美しい世界と言えなくもないが、非常に残酷だともいえる。その人間の本性が、一目瞭然になるのだから。


 で、結局どういう事になるんだ?


 結論としては、考えても何ともならん。今はるがままを受け入れるしか無い。そして自分がおっさんとなった時に困らぬよう、内面を磨こうぜという話である。


 イエスな病院が、この世界にるなら別かもしれんがね。


 次いってみよう。


 医師の佐助さんは、最近は身体に脂身が増えてきたらしく、デブとまではいかないが、少しぽっちゃりぎみだろうか。こちらも20代前半であり若い。


 先生と呼ばれ慣れているせいもあるのか、落ち着いて頼りがいがあるように感じられる。思慮深く、何か問題が起こった時、とりあえず落ち着いて考えようというタイプのようだ。


 医師であり、命に関わる決断をしなくてはならない為、慎重になるのだろうか。体格は別として、どっしりと構えている。医者として重要な事だと思う。


 医者に限らず、先生と呼ばれるような立場に立つ人間には、そのような安心感が必要だろう。当然、佐助さんが来ても大歓迎だ。


 最後に猟師の格兵衛さんだ。無精ひげを生やしており、多少厳つい顔立ちだが、小ぎれいにしているせいか、粗野な印象は無い。衛生面にうるさい春絵さんのおかげだろう。屠殺小屋を家から離れた場所に所持し、そこで作業を行った後で、水浴びと着替えをしてから帰宅している。


 格兵衛さんが保護者として姿を見せれば、アイツの後ろには、怖いおっちゃんがおるぞという威嚇になるかもしれん。大変結構な話である。


 三人を一言でいうなら、行動力の格さんに、思慮深い助さん、調整力の春絵さんといったところだ。


 でもさ、そういう下衆な損得勘定は置いといて、正直誰でも有難いんだけどなあと思う。来たい人か暇な人にお願いしたい。誰かおらんのかな?

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