表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の果てへ  作者: 葉和戸 加太
一章 入学準備
24/306

24 成功報酬と新たな甘味

 西瓜スイカの出来栄えは、改善点はあるがそれなりに上手くいったと思う。魔法栽培物の二品についての印象だが、細胞分裂品は品質が魔力により上乗せされた印象だ。細胞活性化品については、食感がマンゴーに似た感じなので、ドライフルーツにしても良いかなと思う。楽しみが増えた。成功と言って良いだろう。


 そう思っていたら、何やら春絵さんの様子がおかしい。


「あらら? ほうほう…… ふんふん。なるほど~。」


 西瓜スイカを見比べていたと思うと、ちょっとゴメンね~と、僕の腕をとって脈を計るような動作をした後、なにやら納得しているご様子。いったい何が起こったんだ。


 次にケン兄とハナ姉にも同じように脈をとる。さらに次々と脈を計ってゆく。


「おいおい、何事や?」

「何かあったのか?」


 格さんと佐助さんが問いただす。


「いや、これ凄いよ。人や物の栄養状態が分かるようになったの。」

「なんやて?」


 どういう事だ?


「これまではさ~、人の栄養状態を判断するのに、問診や診察した範囲しか分からなかったんだけど……。」

「ふむ。」

「なんでか、手で触ると頭に入ってくるのよね~。」

「あ、佐助さんはちょっと脂身が多いわね。医者の不摂生は、患者さんへの説得力が無くなるよ。ケンちゃんとハルちゃんを見習いなさい。しばらく食事控えめね。」

「あ… 脂身って…… キツイ言い方するなぁ。普通に傷つくよ。」

「俺は?」

「運動してるせいか問題なし。タロウもね。」


 新たな力に目覚めたのか? 西瓜スイカと関係があるのだろうか。


西瓜スイカを食べてたら、何となく頭に情報が入ってきて、もしかしてと思って試してみたら、できちゃったのよね。」

「なんだそりゃ。すげえな。」

「もしかして、あれじゃないかな? ほれ、あれ。」

「なに? アレじゃわからないけど。」

「ほら、魔術契約の成功報酬ってヤツだよ。」


 詳しい話によると、魔術契約の内容によるが、一定以上の成果を上げた場合に、成功報酬としてさらなる能力を得る事があるらしい。魔力栽培の西瓜スイカが、その切っ掛けとなった可能性があるとの話だった。


 皆に感謝はしているつもりだが、魔力開眼に直接関係する春絵さんに、特別感謝している気持ちがあり、そんなところに、春絵さんだけが新たな力を授かった理由があるのかもしれない。


 しかし契約魔法というものは、凄いもんだなあと感じた。もとの能力も凄いが、こんなアフターサービスみたいなもんもあるとは。成功報酬の契約が可能ならば、僕が思っていたより気軽に出来るかもしれない。


 成果があればその報酬が得られ、駄目ならそれまでの事だ。駄目であった場合のペナルティーが無ければメリットしか無い。こんな方法があったのかと驚いた。


 ちなみに、成功報酬はこれまでにもあったとの事だ。始めはケン兄が火属性魔法に目覚めた時。佐助さんの気功法で、新陳代謝を促進・強化する技術が向上した。次に、ハナ姉が風属性を習得した際、格さんの気配察知能力が強化されたらしい。それぞれが習得の為の手助けをしたとの事だ。


 とても融通がいた話だ。契約魔法の存在を知った時にも思ったが、この世界の神様は、かなり太っ腹に思える。そんなにホイホイと力を与えて良いのかねえ。


 さて、西瓜スイカを評価してもらった結果というと、年齢により評価が分かれた。僕を含む子供に人気だったのは、あっさりした甘さの細胞分裂品、大人達は濃い甘さの細胞活性化品が口に合ったようだ。犬のタロウは良く分からん。どちらでも構わんよ、とでも言いたげに尻尾を振っている。


 細胞活性化品を除き、好きなだけお土産として持って帰ってもらった。活性化品はドライフルーツに挑戦するの予定なので、今回は遠慮してもらった。今の生活で甘味は貴重品だ。失敗しないように、気を引き締めて作ろう。


 天気の良い日を見計らい、包丁で手頃な大きさに切ったものを天日干しにする。網、網は何処だ? 網を被せて鳥獣被害を防ぐのだ。


 見当たらなかったので、タロウと交代で見張りをする事にした。西瓜スイカを収穫後の畑を掘り起こしながら目を光らせる。次は何を作ろうか。同じ作物を、同じ場所で育てることを連作といい、生育不良となる障害が起こる可能性がある。来年も作りたいのなら別の作物を間に入れるか、新たに開墾した場所を確保したほうが良いだろう。


 考え事をしながら畑仕事をしていたら、鳥が西瓜スイカを何個か持ち逃げしくさった。許せん。焼き鳥にして食ってやろうか。


 食欲は欲求の中でも上位に入ると言われる。人間の三大欲求は食欲、睡眠欲と、最後に性欲とされるが、個人的見解では食欲が最も強いのではないかと思う。


 美食は要らないが美女を求めるといった、質の話になると結果が変わってくると思われるが、そこまで条件を限定すると、どの様な結果にも、意図的に変えられるので、あくまでも基本的な話というのが前提となる。


 この三つが究極に飢えていた場合、まず食べる。そして寝て、最後に女だろう。食と睡眠は生命維持に不可欠である。そして性欲が無ければ、種として途絶えてしまう。性欲だけが、求めた結果に得られる物のステージが違う。どれも大切な事だとは思いますがね。


 子供だからだろうか、今は未だ、性欲を感じる事は無いように思う。春絵さんやハナ姉の事は好きだが、それは家族としての好きであり、良く分からない。


 小難こむずかしいのはかく、やはり今は食欲が第一だという事で、欲に突き動かされ、ドライフルーツ作成作業に戻る。


 畑起こしをしながらの、ながら作業ではなく、ドライフルーツ作成に専念する。そして、魔力で熟成を促進できるんじゃないかと思い、実行に移してみた。


 ドライフルーツというのは、水分を飛ばせば完成だろう。水分を蒸発させ空中に放出する。水属性魔法で出来るだろうか。いや、液体が気化するには熱だ。ここは熱振動ではないだろうか。分子運動を加速させて分子の結合を弱める。しかすると、これが火属性魔法の基礎なのかもしれない。火というか、熱エネルギーと表現したほうが正確な気がする。


 よし、やったるか。新たな気付きと食欲を糧に、ドライフルーツに魔力をそそぎ、その結果、待ち望んだ甘味が出来上がった。


 食べてみたら、凝縮された甘みがとても美味しい。それと、もともと魔力栽培物なのに加えて、さらに魔力が注がれたせいなのか、食べると力がみなぎってくる。


 あ、これは栄養剤というか、ドーピング剤だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ