192 皇位継承問題1
微妙な問題なので、一連の投稿が終わってからご批評いただければ有難いです。
私自身、前回の投稿で時事問題を脊髄反射的に取り上げました。タイムリーなネタに思わず飛びついてしまいましたが、もっと事実を精査したうえで書くべきだったと感じております。
発言内容に全く問題が無かったとは言いませんが、話の流れを知れば、受ける印象がガラリと変わります。
内容を訂正しようかとも思いましたが、間違った事は言って無いと思いますので、己の戒めの為に、そのままにしておきます。
世界的な古典である源氏物語だが、皇室の醜聞を扱った内容がある為に、不敬でけしからんと非難された事がある。
光源氏は天皇の皇子だが、源の姓を名乗っており、それは皇族から臣下の身分へ降下した事を意味する。何故ならば、皇族は姓を持たないからだ。
彼は多くの女性を口説き落とすのだが、その中の女性のひとりに問題があった。彼女は天皇陛下の中宮で義理の母だったのである。
不敬罪より前に、よーやるわと思うよね。
母親と同じ年代やで。
光源氏はロリコンで有名だが、本来は熟女好きなのである。ちょっとストライクゾーンが広すぎやしませんかね?
さらに、その義理の母との間に子が出来て、その子が次の天皇に即位するという衝撃的展開。創作とは言え、式部が皇室の醜聞をそこまで踏み込んで書けたのは、表現の自由がそれなりにあったという事だろうか。
だが、そんな源氏物語も皇位継承のルールは守っている。それは皇位継承が男系と言う事だ。
男系とは、男(父)の血統をたどれば天皇に繋がるという事であり、日本の皇族は有史以来、男系で皇位が継承されてきた。
源氏物語を例に説明しよう。
光源氏と天皇の后である藤壺との間に産まれた不義の子が、天皇に即位し冷泉帝と呼ばれる事になるのだが、彼は天皇たる資格を持っていたのだろうか?
皇位継承は血統で決まる。冷泉帝がどんなに有能で清廉潔白な聖人であっても、男系の皇族でなければ天皇の資格はない。
冷泉帝の実父はロリコンでマザコンな光源氏なんやけど、大丈夫なん?
結論を先に言えば、冷泉帝は立派な男系の皇位継承者である。
確かに冷泉帝の父親は光源氏かもしれない。だが、この光源氏も男系の元皇族。冷泉帝の父は光源氏、そして光源氏の父が前天皇。これを男系の系譜という。
光源氏の子は男女共に男系の血筋である。たとえ冷泉帝が女性だったとしても、光源氏の子であれば皇位継承権を持つ可能性がある。※
女性と女系を混同し易いのはココなんやな。
女性でも天皇に即位する事は出来るし、前例もある。しかし、男系の血統はそこで行き止まりだ。女性天皇の子は、母が天皇というだけでは皇位を継承できない。何故なら、父が皇族でないからである。
継承権の有無は、父が男系の皇族かどうかで判断される。もしも女性天皇の夫が皇族なら子は男系となり、皇位を継げる可能性はある。
複雑だが、お分かりいただけただろうか。
皇位継承が男系のみとするのは、ゲームで例えれば縛りプレイだ。なぜ女系縛りでは無く男系縛りになったのかは、想像に難くない。
「昔の事だから、女性蔑視があったんじゃないの?」
「野蛮だわ!」
そういった面があったろう事は否定しないが、生物学的に、女系の継承ってのは非常に難しいんですよ。
男系女系を問わず、血統を繋げるポイントは子供の人数にあるが、多くの子供を望むのなら、男系が圧倒的に有利だ。
具体的な例を挙げよう。
一人の女性が子を産んだギネス世界記録は、ロシアのヒョードル・ワシリエフの69人だ。
対する男性の記録はモロッコ皇帝ムーレイ・イスマイルで、1,171人の子供がいたという話がある。
彼は1645年に生まれ1727年に死去した人物であり、この数字に何処まで信憑性があるか分からないが、物理的に不可能ではないという。
数字の桁が二つも違うんやな。これを考えれば、男系と女系のどちらが血を残し易いかは一目瞭然だ。
子は必ず母の腹から産まれる。一夫多妻なら腹の数を増やせるが、一婦多夫となっても腹はひとつでしかない。
母の腹を必要としないのは、今のところSF世界のみだ。だからこそ、代理母なるものが存在するのである。
言わずもがな、日本では何方も認められていない。
後継者問題を解決する方法としては、一夫多妻制以外に宮家の存在がある。本家と分家の関係と考えれば分かり易いだろう。
本家筋で子が絶えた時は、分家から子をもらいうけ血統を繋ぐ。この分家である宮家が減少している事も、現代の皇位継承問題を難しくしている。
光源氏が如く、多くの女性に手を出し、子供を作りまくれば問題は解決するが、今の常識でそれは許されんやろ。そんなヤツが日本の象徴になってええの?
「流石はHENTAI国家日本、そこにシビれる! あこがれるゥ!」
アホか。
そんなネタ国家に走っても、笑いは取れても実益は無いぞ。逆に、国家の品格が疑われるわ。
話を本題に戻すが、この後継者問題を解決するために、皇位継承を女系にも認めようと提案する人達が出てきた。
「縛りプレイはもう限界や。ルール変えへん?」
縛りプレイってのは、誰かから強要された訳じゃあない。いわば自分ルールだ。己が定めたルールを自分で変更したからと言って、何か問題でもあるんか?
あるんだな、コレが。
例えば、縛りプレイでゲーム実況をしているネット配信者がいるとする。
【極限!サバイバル生活。課金なしでクリアします!】
挑戦したは良いが、ゲーム難易度が鬼畜で攻略が進まない。
【悲報!もう限界です。課金しても良いですか?】
ギブアップは本人の自由だが、縛りが無ければ並のゲーム動画に過ぎない。他の配信者と差別化が出来ず、その他大勢に埋もれてしまう。
天皇の権威が落ちるのは明らかだ。
「そんなん言うけど、女性の権利が叫ばれる時代に、男系しか継承できんっておかしない? 一子相伝の暗殺拳じゃあるまいし。」
次回はこの問題を掘り下げてみたい。
※光源氏は皇籍を離れた人物です。血の繋がりがあるとはいえ、
通常であれば、臣籍の者(光源氏の子)に皇位継承権は無いでしょう。
この件については、後で触れるつもりです。