158 所得と肥満
今年からは学力テストが始まったが、今くらいの難易度なら、お茶の子さいさいときたもんだ。いつまで余裕が保てるか分からんが、まだ暫くは大丈夫だと思う。
学力が終われば次は体力テストだ。
内容は去年と同じようなものだが、競争相手に変化があった。それはデブの比率が大きく下がったのである。
現代社会においては、所得が低いほど肥満率が高いとされる。それでは、去年の特別学級は、今年のクラスメイトより貧しい食生活をしているのだろうか?
いや、僕の勝手な分析によれば、それは違う。だってさ、1年1組は給食に文句言っとったヤツがおったからな。今年の皆は欠食児童かと思えるほど貪り食っとるんや。格差社会を垣間見た気分だぜ。
じゃあ、今の社会と現代の日本では何が違う?
病気や体質もあるが、肥満は炭水化物の摂り過ぎが主な原因とされる。
炭水化物を含む代表的な食品は米に小麦粉、つまり主食である。炭水化物は体に吸収される糖質と食物繊維で構成され、肥満につながるのが糖質だ。
糖質とは身体を動かすエネルギー源で、車におけるガソリンのようなもの。大事な栄養素であるため、舌にも美味しく感じられる。
必要不可欠な美味しい栄養素なので、ついつい食べ過ぎ太ってしまう。
「ラーメンの食べ歩きもええが、健康にも気ぃ付けなあかんで。」
麺も糖質である。バランスの良い食事を心がけましょう。
ダイエットでは糖質制限、糖質制限と、呪文のように繰り返し叫ばれる。
現代の低所得者層に肥満が多いとされる原因は、主食以外に予算をかける余裕が無いという事。
おかずが無くとも、主食があれば何とかなる。
当座を食つなぐだけという前提はありますがね。食生活が偏ると、生活習慣病になる恐れがあり医療費がかさむ。健康には気を付けよう。病気になってから後悔しても後の祭りだ。
今の食生活を考えると、農家の豊吉さん達が育てる新鮮な野菜に加えて、猟師の格兵衛さんのお陰で十分なタンパク質の摂取を維持できている。北関市は港町なため海の幸が豊富であり、町の中心部を蓬莱山脈の雪解け水が水源となる川が流れ、川魚も手に入る。栄養に詳しい春絵さんの存在も特筆すべきだろう。
蛇足かもしれないが、ここで僕の勘違いを正しておく。
北関市は南に大河が流れていると言ったが、正確には海だったらしい。
つまりは海水。
だってさ~、名前が河ってなっとるから、そりゃ勘違いもするやろ。うむ、僕は悪くない。責めるなら名を付けた過去の先人に言うてくれ。
その先人とは偉大な探検家であり、大和半島の最南端を初めて踏破した人物だ。その先には島一族の故郷である大島があるのだが、大和半島と大島を隔てる海峡はとても狭く、良く晴れた日は肉眼で対岸を目視できる。
「なんと大きな河だ!」
その光景を見た探検家が発した言葉から、河と呼ばれるようになったという説が有力である。
探検が成功したという報告がされてから、その土地への入植が行われ、新天地を求め島へ渡った者たちが現在の島一族だ。
因みに、その海峡は探検家の名前から間宮海峡と命名された。
さて、言い訳を誤魔化すために始めた豆知識の披露はこれくらいに話を戻すが、幸いな事に食事で目立った栄養の偏りは無い。
しかし、栄養の偏りが無い事と、それが美味い食事かというのは別の話だ。
例えば、前世では自然食品とかオーガニックとかいうんが人気だったらしいが、究極の自然食品というなら、野山の山菜などがそれになるのだろうか。
ちょっとした冒険気分を味わったり、採集の楽しさを否定するつもりは無いが、純粋な美味さを追求した場合、それってどうなんやと思わなくもない。
前世において、僕は田舎育ちである。
学校帰りに開拓者と称し、山へ分け入って秘密基地を作ったり、食べれる野草を食い散らかす程度の田舎者ではあった。木苺やアケビを見つけた時は嬉しかったのを覚えている。イナゴを口にするのも抵抗が無かったし、家族にはタラの芽を持ち帰ったりもした。
そん時の素直な気持ちを言っとくわ。
そんなサバイバル食よりもな、うまい棒のほうが好きやったんや。
所詮は子供舌だったってのはあるだろう。タラの芽のテンプラなんて、美味いと思ったことあらへんかったからね。採ったのは家族が喜ぶという理由のみだ。
大人になってからは大好きになったけど。
正直、山で採集しサバイバル気分を味わう事を別にすれば、自然に生えとるヤツなんかより、お百姓さんが育てたヤツの方が美味い。美味さだけで言えば、農薬を使ったものが断然美味いのである。
この世界は周りに自然が溢れてる。空気は澄んでおり山へ行けば山菜が取れる。でもさ、やっぱり炭水化物が美味いんや。ポテチなんて至高の一品やろ。
誰しも自分の好きなものを、腹いっぱい食べたい。
この世界の金持ちにはデブが多いのは、栄養学の知識が無いためなのか?
それもあるだろうが、日々の雑用は使用人がやってくれる為、身体を動かす事が少ないのかもしれん。
どちらにせよ、健康的とは言い難い。
彼らと同じ生活をしたいとは思わないが、多少羨ましいのは事実である。




