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いつか

作者: 草津花堂

暗然とした場所。

微かな霊香があるのみ。

「これは夢に違いない。」

ここから出るべく、

私はただ歩いた。

独特な怪しげな雰囲気は幾度なく私を立ち止まらせた。

香りが少しづつ自分の意識を蝕むのが解る。

一つの単語が浮かび上がる。

気が付けば私は走っていた。


少しづつ光が見えた。

私はさらに速くなった。

光もさらに強くなった。


一瞬だけ目の前が白くなった。


気が付けば海の上。

見上げれば見たこともない鳥が飛んでいる。

大きく翼を広げ、こちらを睨んでいる。

動けない。

怖くなり下を見る。

気配は消えた。

代わりに残響が聞こえる。

遠くから、果てしない所から。


暖かい残響の揺らぎ。

下の海の海藻がリズムに合わせて揺らいでいる。


私の影が二つに割れ、水面に映る。

何処かで見たことのある輪郭。

私は安らぎと懐かしさを感じていた。


金縛りの時間は気が遠くなるほど長かった。

太陽を

蜃気楼を

雲を

鳥を

私は見つけた。

さえずりを

波の音を

残響を

私は聞いた。


その時間はここはどこか考えさせるのに十分だった。


そのうち私はこの世界に来てから寝ていないことに気づき、

目をつぶった。


その後の私を私は知らない。








恥ずかしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議な雰囲気が出ていていいですね。静かな、暗ーい雰囲気が。ピンクフロイドの「エコーズ」が聞こえてきそうですね。 [一言] 草津さん、私もフロイドのファンです。 こないだ「原子心母」という…
2019/10/28 13:35 退会済み
管理
[良い点] 表現は詩的ともいえますし、ロマンティシズムな小品ともいえます。現状に不安を感じて希望を望む苦しみが、上手に表現されていると思います。文章の「なめらかな流れ」に好感を覚えました。 [気になる…
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